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第104話 「暗黒武術の長!恐るべしカルマッ!」

 前回までのあらすじ! 圧倒的な実力差によってゴードンを翻弄するワタル! いよいよトドメというその瞬間、ワタルの前に1人の老人が現れた! 彼の名はカルマ! 暗黒武術協会の会長にして、あの魔王デウスの師匠である! どうなる、ワタル!











「それにしてもワタルくん、君は強いのぉ~。流石、デウスを……」


 カルマはそこで言葉を一旦区切るッ! そして一気に眼光を鋭くさせ、口を開いたッ!


「わしの“一番弟子”を倒しただけのことはあるわい」


 思わず耳を疑うワタルッ!


「デウスが……あんたの……“一番弟子”、だとッ!?」


「……そうじゃよ」


 カルマはコクリと頷いたッ!































 ――と、その瞬間ッッ!!


「武ッッッッッ!!!!!」


 ワタルは仁王の形相で叫びながら、素早く一歩後ろへ下がったッ!


「な、なぜいきなり後ろへ!?」


 困惑するアリアッ!


「よく見てみろ、アリア!」


 リベリオンはそう言ってワタルの顔を指さしたッ!


 読者の皆様も目を凝らしてよく見て欲しい。なんと、ワタルの頬に、かすり傷がッッ!!


「一体いつの間に!?」


「あまりにも速すぎてよく見えなかったが……おそらく、あのカルマという老人がやったんだろう!」


 口々に驚愕の声を上げるアリアとリベリオンッッ!!


 するとカルマは口角を吊り上げ、ニヤリと笑った!


「ほっほっほ。よぅ避けたな。並みの奴なら、今の攻撃で死んでおったろうに」


「恐ろしく速い手刀……ッ! 俺でなきゃ見逃していたな……ッ!」


 そう言って頬の傷口から流れる血をぬぐうワタルッ! “並みの奴”である我々の視力では捉えられなかったが、どうやらカルマはあの一瞬で、ワタルの顔面に手刀を繰り出していたようだ!


「ところでアンタ……なんで人間なのに、デウスを弟子にしたんだ……ッ?」


 ワタルは油断なく構えながら尋ねるッ!


「あいつは、弱い人類をこの世界から駆逐しようとしていた……ッ! なんで、そんな奴に技を教えたんだ……ッ?」


「なんでって、そりゃあアンタ……“力”が欲しいって奴がいて、そんでそいつが滅茶苦茶才能あったら……技、仕込みたくなるのが、武人の“(さが)”じゃろ」


 口角を吊り上げたまま、カルマは答えたッ!


 それを聞いて眉をひそめるワタルッ!


「気に食わん答えだな……ッ!」


「ほっほ、若いのぅ……力をどう使おうが、そんなものはそいつの勝手じゃ。わしは、才能ある奴に力を与えるだけ。それだけのことじゃろ」


「力の正しい使い方を教えるのも、“師匠”の役目だろッ!」


 ワタル、激昂ッ! だがカルマは、顔色一つ変えないッ!


「ええのぉ、ワタルくん。君には情熱があって、信念がある。どうじゃ、わしの弟子にならんか?」


「ふざけるなッッ!!」


 彼は憤怒の形相で叫びながら、カルマの腹目がけて正拳突きを繰り出したッ!


 だがッ!






 パシンッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!






 なんとカルマは、受け止めたッ! あのワタルの正拳突きをッ! 左手のみでッ! しかも、何食わぬ顔でッ!


「~~~ッッ!?」


 ワタル、驚愕ッ!


 するとカルマはワタルの拳から手を離し、先程とは打って変わって真剣な表情で口を開いたッ!


「ワタルくん……わしに攻撃するなら、“全力(ガチ)”でやった方がええぞ。君、まだ“本気(マジ)”じゃないじゃろ?」


「……俺が“本気(マジ)”でやったなら……“死ぬ(やばいことになる)”ぜ、お爺さん……ッッ!!」


 怒気を孕んだ声で言い返すワタルッ!


「ほ~ぅ……」


 そしてワタルとカルマは、睨みあったッ!


 スラム街裏の空き地は静寂に支配され、重苦しい空気が辺りを包み込むッ!


 まさに、一触即発ッ! いつ、どちらが先に攻撃をしてもおかしくない、危険な状況ッ!


 アリアとリベリオンは固唾を飲んで見守りッ! ゴードンは地面に突っ伏したまま沈黙を貫いているッ!


 ――と、その時――


 張りつめた静寂を打ち壊すように、カルマは笑ったッッ!!


「ガッハッハッハッハ!」


 大口を開け、一切殺気を見せることなく陽気に笑うカルマッ!


 その光景を目の当たりにして、呆気にとられるワタルッ!


「気に入った! ワタルくん、君は実に素晴らしいファイターだ!」


「……そうかい……ッ!」


「なあワタルくん……今度、暗黒武術協会のトップスリー……通称“三拳聖(さんけんせい)”と闘ってくれんかのぅ」


「“三拳聖(さんけんせい)”……ッ??」


 ワタルは怪訝な顔で呟いたッ!


「その3人は、そこで寝ておるゴードンとは比べ物にならんほどの強者(つわもの)でなぁ。皆いつも血に飢えておる。君のような強い漢ならば、3人を満足させられるはずじゃ」


「ほう……ッ!」


「まあ実のところは……今のわしでは君を確実に仕留めきれる保証がない、というのが本音じゃがなぁ」


 無邪気な笑顔で話すカルマッ!


「とどのつまり、今度は俺を確実に殺せる3人を刺客として寄越すって事かッッ???」


 ワタルが聞くと、目の前の老人はコクリと頷いたッ!


「正直想定外じゃったよ、君のパワー。だって……」


 彼はそう言っておもむろに左手を開き、手のひらをワタルに見せつけてくるッ!


「さっき君の正拳突きを受け止めた時……左手の骨にヒビ、入ってもうた。ニヒヒ」


「……とっとと失せな、お爺さん……ッ!」


 ワタルは、一瞬の隙も見せることなく言い放ったッ!


「あいよ」


 カルマは素直に返事をすると、近くでうつぶせに突っ伏していたゴードンを、怪我していない方の右手で軽々と持ち上げた! 身長190センチもある筋骨隆々のオークを片手で持ち上げるなど、常人の筋力では不可能であるッ!


 やはりカルマは、油断ならぬ男だ!


「おいゴードン、無事か? ……ありゃ、気絶しとる。まあええわ、ワタルくんと闘って五体満足だっただけでも儲けもんじゃろ」


 そして彼は、肩にゴードンを担ぎ上げながらワタルに言ったッ!


「ほんじゃ!」






 ビュンッッッ!!!






 カルマはゴードンを担いだまま瞬間移動をして、一瞬でワタルたちの前から姿を消したッ!


 こうして、なんとか暗黒武術協会の会長・カルマを退けることに成功したワタルッ! しかしあの老人が言っていたことが本当ならば、今度は協会のトップスリー、“三拳聖(さんけんせい)”が襲い掛かってくるッ!


 果たして、ワタル一行の運命はどうなってしまうのであろうか!? それは、今はまだ誰にも分からないのであるッ!


 次回、「前人未到の新章突入!三拳聖が来るッ!」に続くッッッ!!!

・参考文献

[1]“一見貧弱だけど実はめっちゃ強い老人武闘家キャラ”がやりがちな行動大百科……異世界転生出版

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