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第1話 「烈風怒涛の最終回!さらばワタルッ!」

 時は世紀末から数年後、2017年! ごく普通の高校生である伊藤ワタルは――登校していた! 驚くべきことに、時刻は朝の4時ッ! 早朝である!


 何故だ!? 無論、読者は驚きに目を丸くするであろう!


 しかし! 彼にはこれこそが日常! 毎朝4時に家を出て! 学校に到着し! 朝の自習ッッッ!


 勤勉なワタルに我々は称賛を送らずにはいられないッ!


 漆黒の学ランに身を包んだワタルがいつものように時速120キロで全力疾走していると、前方に“赤信号の横断歩道”が現れた!


「武ッッッ!!!」


 ワタル、たまらず減速! 横断歩道の1メートル手前で見事に足を止めたッ!


「危なかった……信号無視は死につながる……」


 言うまでもない。信号無視は犯罪である!


 数秒後、横断歩道の信号がなすすべもなく足を止めていたワタルをあざ笑うかのように青に変わった!


「行くぞッッッ!」


 ワタル、ここですかさず右を見るッ! 左を見るッ! そして油断することなく、もう一度右を確認()るッッッ! この動作を怠って死亡した愚かな人間のなんと多いことッ! しかし読者の皆様には安心していただきたい! ワタルは絶対に油断しないのだッ!


 全力疾走で歩道を渡るワタルッ! しかし、その時事件が起こった!


「――なッッッ!!!」


 なんということだ! 左の曲がり角から、突然トラックが急旋回しながら彼に迫ってきたではないか! どれだけ確認していようが防ぎようのない事故ッ! トラックがその超スピードのままワタルに突っ込んだ!


 間違いない、死ぬ! 凄惨に、死ぬ!











 ――常人であれば!











 読者の皆様には安心していただきたいッ! ワタルは最強なのだッ! ごく普通の、最強の高校生なのだッ!


「破ッッッッッッ!!!!!」


 気合いと共に両腕を広げトラックを受け止めるワタル! 見よ!!! あのトラックを受け止める構えは、沖縄に古くから伝わる琉球武術“車止(くるまどめ)”の構えに他ならない!!!


(※車止(くるまどめ)……かつて琉球で空手を学んでいた青年が編み出した技。姿勢を低くし、両手を大きく広げるのが特徴。青年はこの技で、琉球に住む伝説の魔獣“シーサー”を倒したと言われている)


 ここで読者の皆様に説明しておくッ! ワタルは、空手、柔道共に十段!!! 趣味は相撲!!! 完膚なきまでに武闘派の高校生だ!!!


 故に、今心配するべきなのはトラックに轢かれているワタルではない! ワタルを轢いているトラックの運転手だ!


 猛スピードのトラックを受け止めた場合、車内にいる運転手には想像を絶する衝撃が襲い掛かる! このままでは運転手が危ない!


「クソッッ!!」


 ワタルは、優しかった! このままトラックを受け止め続けると、衝撃のせいで運転手が死ぬことに気付いた! そしてあろうことか、力を緩めてしまった! 読者の皆様に弁明しなければならない。これは決して油断ではないッ! 優しさであるッ!


「ヌアァァァ!」


 ワタル、吹っ飛ぶ! その距離およそ50メートル! そして頭からコンクリートの地面に激突ッ! ワタル、昏睡ッッ!!


 ついでにその衝撃で道路が爆発ッッッ!!!


 道行く通行人が困惑ッッッ!!!


 なんという事だ! ワタルが昏睡してしまった! 恐らく死んではいないが、衝撃の展開である!


 この怒涛の最終回には読者の皆様も熱い涙を流さずにはいられないッッッ! しかし、主人公が昏睡してしまった以上、意識を取り戻すまでこの小説を連載するわけにはいかない! これが最終回だ!!!!!


 さらばワタルッ! 君の熱き戦いは読者の心に永遠に刻まれるであろうッ!!!!!


 次回「その時奇跡が起こった!ワタル、生き返るッ!」に続くッッッ!!!


・参考文献

[1]信号の正しい渡り方全集……異世界転生出版


[2]琉球に伝わる武術全集……異世界転生出版


[3]トラックを受け止めたらどうなるのか・解説と実践……異世界転生出版


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― 新着の感想 ―
[良い点] 冒頭から死にそうでしたが 2話のネタバレ予告で無事死亡しました。 1話からこんな感じなの…?腹筋死なないようにしなきゃ。
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