クリスマスの夜に(5)
これは夢なんだろうか。 橋の上にはあのお馴染みの服装のサンタクロースが、トナイカの引くソリに乗って現れた。
「メリークリスマス!」
サンタクロースは背負った白い袋からプレゼントを取り出すと銀色の糸に、それを滑らせた。プレゼントは糸を伝って、みゆきとねずみの元に届けられた。 みゆきは確かにプレゼントを受け取ったと思った。しかし手には何も残っていなかった。きれいさっぱり何もないのだ。 けれどもみゆきは、あったかくて大きなものを受け取った気がしていた。
「私のプレゼント消えちゃったわ。あなたのも、ないわね」
よく見ると、ねずみも何も持っていない。
「ううん。僕も君もしっかり受け取ったよ。祈りの箱をね」
「祈りの箱?」
不思議な顔をしているみゆきにねずみは説明した。
「サンタクロースが僕ら一人一人のために、来年が幸せであるようにっていう祈りを込めてくれた箱なんだ。だから目には見えないんだよ」
「毎年もらえるの」
「そうだよ。こうやって銀の糸を伝わって、みんなに届けられるんだ。でもみんな眠っているし、それに目にも見えないから、気づいていないだけ」
「じゃあ、来年もあなたはここで橋を作るの」
「ここで作るかは分からないけど、でもサンタクロースは必ず来るよ」
「そうだったんだ。知らなかった」
みゆきは、ぽつんと呟くと銀色に輝く橋を眺めた。 サンタクロースがその橋を鈴を鳴らしながら、ゆっくりと渡って行くのが見える。 みゆきはその後ろ姿に向かって叫んだ。
「メリークリスマス! ありがとう、サンタさん。来年も来てくださいね」
みゆきは微笑むと、しばらくその場にたたずんでいた。
こうしてクリスマスの夜は、過ぎていった。
おわり




