クリスマスの夜に(4)
一方ねずみはくるりと窓の方にまた顔を向け、さっきと同じように糸のようなものを、それは銀色の糸だった、手に持ちそれをくるくると巻いている。しかしよく見ると、その糸は上に向かって伸びていた。上へ、上へ、窓ガラスを突き抜け、夜の空へと延々と伸びていくのだ。
月の光を受けて、銀色の糸はきらきらと輝いていた。 ねずみはその銀色の糸を巻き取っているわけではなく、逆に空に向かって糸を出しているのが、みゆきにはようやく分かってきた。気がつくと、窓の外には、ねずみの出している糸と同じような銀色の糸が、あちこちから無数に出ており、それらは寄り集まり、一つの橋を空の上へと架けていた。それは銀色にきらめく星の橋だった。
白いねずみは、手元に糸がなくなるとやれやれといった表情をした。するとみゆきは、もう黙ってはいられないといった調子ですかさず、ねずみに聞いてみた。
「あなたはねずみよね。なんでしゃべってるの?」
「今日はクリスマスだよ、お嬢さん。ねずみがしゃべったって不思議はないさ」
「そう。じゃあ、あの橋はなんなの?」
「あれはサンタクロースが通る橋だよ」
みゆきは驚いた顔をしたが、意地悪そうな声でこう言った。
「馬鹿ね。サンタクロースなんているわけないじゃない」
「何を言ってるんだい、このお嬢さんは。サンタクロースはいるよ」
「だって私は見たことないわ」
「そんなに言うなら、見ていてごらん。あと少ししたらやってくるよ、サンタクロースが」
ねずみがきっぱりそう言うと、みゆきの心はざわついた。本当かしら。疑いながらも、わくわくした気持ちが 止められない。 それから二人は、しばらくそのままのまま、空に浮かぶ星の橋を見守り続けた。
「シャン、シャン、シャン、シャン」
まさかと思ったが、鈴の音が聞こえてきた。みゆきは思わず目をぱちくりさせた。




