クリスマスの夜に(1)
また今年もクリスマスがやってきた。お店のショーウィンドウには真っ赤な服のサンタクロースが微笑んでいる。背には大きな白い袋を一つ持ち、これからプレゼントを渡しに行こうとしているようだった。子供達は誰もがプレゼントを心待ちにして胸を躍らせている、楽しい、楽しいクリスマス。
けれどもみゆきにとってはひどくつまらないものに見えた。なぜなら今年は、プレゼントがないのを知っていたからだ。
みゆきは今年で中学生になった。親に言わせれば、もうサンタクロースといった年齢でもないから、今年はクリスマスプレゼントは無しということだった。プレゼントを楽しみにしていたみゆきはとてもがっかりした。 なんだ、私はもうクリスマスプレゼントをもらえないんだ。プレゼントのないクリスマスなんて、意味ないじゃない。
にっこり笑っているサンタクロースがなんだかいまいましく見える。夕方になって街中は光り輝くイルミネーションで彩られていく。店内からは陽気なクリスマス曲が流れ出す。サンタさんは今年は何をくれるのかな、小さな子供が親にそう言っているのが聞こえてきた。
サンタさんなんかいないのに…。私も、もっと小さい頃はそう思っていたけど。
みゆきはため息を一つつくと、辺りが随分と暗くなったことに気がついた。 もう帰ろう。寒くなってきたし、それにケーキだけはあったみたいだし。 みゆきはやり切れない気持ちのまま、家へと帰って行った。
家に着いたみゆきは、予想していた通り、夕飯後にケーキを食べた。メリークリスマスと書かれたチョコレートの板をバリバリ食べながら、とろけるような甘くて白いクリームが、一時だけ楽しいクリスマスを思い出させてくれた。でもそれも終ってしまうと、よけい寂しくなってしまい、なんとも言えない気持ちで、自分のベッドの中に潜りこまなければいけなかった。




