表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

はじまり

はじめて小説を書くのでのんびり進行すると思います。2018/11/28 修正しました。



ダイブ型VRMMO。


仮想の世界にプレイヤーの精神をダイブさせ、まるで自分が異世界に居るように遊べるゲーム。


従来のゲームとは全く違うそのゲームは、そのリアリティとグラフィック、自由度の高さから瞬く間に世界中で大ブームとなった。そのダイブ型VRMMOで遊べるゲームの中で、新たに今日リリースが決まったこのHoly or Hellホーリー・オア・ヘルは、自らの出身地を決めることにより天使になるか悪魔になるかを選ぶ事が出来るという、少し変わったファンタジー系RPGだ。大手ゲーム会社が手掛けているのも手伝って、世界的にもとても注目を浴びている。


かくいう私… 篠宮しのみや 結莉ゆりも、高校生らしく(?)ダイブ型VRMMOにどハマりしていた。

Holy or Hellも、ベータテストの情報を聞いてからというもの数ヶ月間放課後と休日の殆どをバイトで埋めて、なんとか予約開始までにお金を用意した。そして心配だった予約戦争にも打ち勝ち、無事に第一陣の座をGETしたのである!


「…ふふ、スタートダッシュするぞ〜」


先程届いたばかりのHoly or Hellをハードにセットし、長年使ってきたせいで少しへたってきたソファに座る。…ダイブ型VRMMO専用のリクライニングシートなるものも店で販売されていたが、学生にはとてもじゃないが手の届くような値段ではなかった。まぁ長時間ログインするんじゃなければ普通のソファで十分だし…と自分を慰めながら付属のヘッドギアを頭に付け、スタートボタンを押す。


すると緩やかに視界が暗転していき……暫くすると、辺りが全体的に淡く発光する幻想的な森になっていた。周辺は少しひらけた広場のようになっている。足元を見ると、見たこともない色とりどりの美しい花が咲き乱れていて、光でできた蝶々や蛍などがその花に止まっていたり、木々の間を飛び交ったりしていてとても幻想的だ。


そんな光景に目を奪われていると、いつの間にか蝶々達が私の目の前に集まっていき、光でできた人の形を取った。


『ようこそ、Holy or Hellへ。アナタの名前を教えてください。』


「……あ…えっと、リリィ、です。」


男のような女のような、中性的な美声が聞こえた。

慌ててあらかじめ考えておいた名前を伝える。ベータテスターの攻略サイト通りならば、ここで名前と外見とステータスの割り振りの設定をするはずだ。一応どんな感じにするかふわっと考えてはおいていたが、実際に設定するのが楽しみでワクワクする。


『リリィさん…良い名ですね。では、アナタの姿を見せて下さい。』


そう声が言うと、私の目の前にゆっくりと姿鏡が現れた。最初、鏡には何も映っていなかったが、また周りの蝶々達が集まりだして光でできた人の形をつくった。しかし先ほどとは違い、徐々にデフォルトの姿であろう黒髪黒目の中性的な見た目になっていく。このデフォルトのアバターを調整していくのが基本の様だが、それだと瞳の形や輪郭などを決められた選択肢の中から選ばねばならなくなるので、結莉はリセットというボタンを押す。するとアバターがマネキンの様なのっぺりとした姿に変わり、手元に細部まで細かく調整できるウィンドウが現れた。結莉は一息つくと、作業を開始した。





「うん…できた!完成!」


『これがアナタの姿ですね?…それでは最後に、アナタの力を解放しましょう。』


サラリとした腰まである透き通るような銀色のストレートロングヘア。ぱっちりと大きく紅い瞳が印象的な、幼くも妖艶さが垣間見える美しい顔立ち。150cmという低い身長も相まって、まるで等身大の人形ドールような姿だ。…この完全に自分の趣味を詰め込んだ姿を作るのに、休憩を挟みつつも数十時間経っている。スタートダッシュとは?と言った感じだが、本人は至って満足気だ。


「この髪色出すのめっちゃ大変だったなぁ…パーツのバランスも…あー、もうこれだけで買った甲斐があった!」


他のゲームでも最初のアバター制作に納得するまで時間を掛ける結莉は、今まで作ったアバターの中でも特に渾身の力作である鏡に映る自分アバターをうっとりとした表情で見つめる。まだ設定段階にも関わらず達成感でいっぱいだ。暫く鏡に向かってモデルの様にポーズをとったりして遊んでいると、アバターの読み込みが終わったのか鏡が消え、代わりに白い光の球体と黒い光の球体が2つ現れた。


このゲームでは、先程も説明した通り今目の前に浮かんでいるこの2つの球体、聖なる光球か邪なる闇球のどちらかを選択する事により、天界か魔界かのどちらかが自分の出身地となる。天界を選ぶと光属性、魔界を選ぶと闇属性の魔法が固定で使えるようになり、公式サイトによるとどちらを選ぶかによってストーリーなども変わり、取得できる特殊スキルやイベントもそれぞれ違うらしい。

魔法の属性は、光と闇の他にも火、水、風の3つがあり、それらはスキル取得で使えるようになるが出身地として選ばなかった方の属性は使えなくなってしまうという。


「迷うなぁ……でも、この姿ならこっちかな」


暫くどちらにするか迷ったが、黒い光の球体の方に手を伸ばす。小悪魔的なアバターなので、魔界の方が合っている気がしたのだ。…黒い光の球体に手を伸ばして触った瞬間、その球体に体が包まれて周りが一気に真っ黒に染まった。いきなり森から暗闇になったので一瞬フリーズした結莉だったが、目の前にステータス設定ウィンドウが現れたのでそういう仕様かと安堵し、早速ステータスをみてみる。


【ステータス】

名前:リリィ

出身:魔界

種族:初級悪魔

職業:

level:1

HP:500(体力総数)

MP:100(魔力総数)

筋力:10(HP、物理攻撃に関係)

知力:10(MP、魔法攻撃に関係)

耐久:10(物理、魔法耐性に関係)

俊敏:10(回避に関係)

『残りボーナスポイント:10/10』

【スキル一覧】

〈先天スキル〉

・闇属性:Lv.1

【装備】

・頭:なし

・胴:黒のワンピース∞

・靴:黒のヒール∞

・アクセサリー:なし

・武器:なし


『残り取得スキル5/5』


初期ステータスはこんな感じらしい。

とりあえず種族一覧をみてみると、デフォルトの『初級悪魔』に、魔力特化の『ダークエルフ』筋力特化の『獣人』など、様々な種族がある。

ちなみに天界のデフォルトは『初級天使』で、ダークエルフはエルフのままだったりちらほら違いがあったりするらしい。魔法職がしたいので、『ダークエルフ』を選択しようと思ったが、『初級悪魔』の説明文に書いてあるランダム進化、という文字を読んで、悩みに悩み……駄目だったら転生システム(課金)を使おうと決め『初級悪魔』をそのままセット。続いて職業一覧へ目を移すと、ファイターやマジシャン、プリーストなど定番の職業からテイマーなど幅広い職業がずらっと並んでいた。その中でも特に気になったのがネクロマンサーという職業。ふと今までゲームでネクロマンサーはやった事ないなぁ、と考えた後、このアバターで死霊を従える姿を想像し……流れるように職業にセットした。すると、スキル一覧にネクロマンサーのスキルが増えた。職業をセットすると、その職業の初期スキルが追加でセットされるようだ。それでは、残っているボーナスポイントの割り振りとスキルを決めてしまおう。





【ステータス】

名前:リリィ

出身:魔界

種族:初級悪魔

職業:ネクロマンサー

level:1

HP:500

MP:150(+50)

筋力:10

知力:20(+10)

耐久:10

俊敏:10

『残りボーナスポイント:0/10』

【スキル一覧】

〈職業スキル〉

・ネクロマンス:Lv.1

Lvに応じてアンデッドを召喚できる。

Lv.1…召喚(0/1)


〈先天スキル〉

・闇属性Lv:1

Lvに応じて対象に闇属性の攻撃をする。

Lv.1…闇球


〈後天スキル〉

・ブーストアップLv.1

Lvに応じて対象のステータスを一時的に上げる。

Lv.1…1箇所 計+1


・付与:Lv.1

Lvに応じて対象に様々な効果を一時的に付与する。

Lv.1…毒化


・回復:Lv.1

Lvに応じて対象を回復する。

Lv.1…単体小回復


・光属性耐性:Lv.1

Lvに応じて光属性に対する耐性を獲得する。

Lv.1…光属性耐性小


・鑑定

対象の詳細を鑑定する。


【装備】

・頭:なし

・胴:黒のワンピース∞

黒いワンピース。壊れることは無い。

・靴:黒のヒール∞

黒いヒール。壊れることは無い。

・アクセサリー:なし

・武器:なし


『残り取得スキル0/5』



攻撃手段が全て魔法系なのでとりあえず知力に全部振り(知力が1上がるごとにMPが5上がっている模様)、ネクロマンスで召喚したアンデッドを盾や前衛にしつつ安全な後衛をするスタイルで行けるよう、支援の魔法を大量に取得。それから鑑定と…悪魔は光属性耐性必須らしいので取得しておいた。あとは強いアンデッドを召喚するのみである。


「完了です。」


『……さぁ、旅立ちの時が来たようですね。』


もうこれで設定は終わりのようで、ステータス画面が消え、また光の人の声が聞こえてきた。それと同時に視界が一気に明るくなっていき……


目を開けると、墓地に立っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ