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強襲!乱入者シデン 4

シデン編、完結です。

この作品を読んだ友人から、「FPSと銃について詳しくないと読めない」と指摘されたので、来週から細かい修正にはいっていきます。ストーリーに変更はない予定です。

 もうすでにA対Bの決着は着いていたらしく、僕がシデンを倒すと同時に僕達の勝利を告げるメッセージが浮かび上がる。

「いよっしゃ!」

 冷静に考えれば自分はほとんどチームの勝利には貢献していないわけだが、それでも嬉しかったのでガッツポーズ。シデンは、といえば自分がやられた場所に座りこんで考え事をしているようだ。

「あのーシデンさん?何かあったんですか?」

 チーム勧誘云々より先に気になったので聞いておく。

「いや、どうしてスナイドル、キミは地面を撃ったはずなのに、何故いきなり爆発したんだ?どうしてもそれが解せない」

「解せないって、どこのサムライですか…っとまあそこはいいとして、僕が撃ったのは地面じゃなくて、そこに置いてあった接触信管式手榴弾です」

「せ、接触信管式、手榴弾?」

「安全ピン抜いてから爆発するのが時限式信管、あなたが張った煙幕吹っ飛ばしたのがそれです。でピン抜いてから振動や衝撃を与えると起爆するのが接触信管。下手にいじればドカン。ですけど上手く使えば即席のトラップになります」

「そうか、私の足元を撃つと見せかけて起爆か…考えたな

 ところで、もう一ついいか?なぜ私が後ろから来る事が分かった?」

「ああその事ですか?シデンさんなら僕が狙撃回避した時点でまた違う手で攻めてくるだろうと思って、そうなったとしても今までと同じ「死角からの不意打ち」だろうかな~と思って」

 今までの戦いを振り返れば、過程こそ違えども結果はいつも同じ奇襲だった。という事からこの作戦を思いつき、罠を張ったのだ。

「じゃあ、反撃に弾丸バラ撒いた理由は?」

「こっちが反撃することでシデンさんの危機感を煽り、次の行動に出やすくするためです」

 うわぁといった表情のシデン。なんだか可哀想な気持ちになってくる。

「罠にはめ、裏をかいているつもりがこっちが裏をかかれるとはな…」やられたぁと悔しそうな、でもどこか嬉しそうな様子で、続ける「このゲームを始めて半年だが、ここまで知恵の回るガンナーは初めてだ」

「って初めてまだ半年だったの?こんなに強かったから、てっきりベテランプレイヤーかと…」

 射撃と銃剣さばきから、かなりのベテラン(といってもARG発売から二年しかたってないんだけどね)ではないかと密かに予想していた僕は、その言葉に驚く。麻乃といいこの少女といい、成長の速い新人が多いな僕の周り。

「そうだ、僕のチームに来な…っと通信来た先にそっち出ちゃうね」

 発信者はサフラン。シデン撃破のログを見て、祝電でも入れに来たのだろう。

『は、はいスナイドルです』

『ログ見たぞ、シデン撃破おめでとう』

『こちらこそ、勝利おめでとうございます』

『今からメンバー変えずにもう1ゲームやるけどどうする?』

『すみません今回はパス。今日来たのもスカウトのためですし』

『そうか、今キミ達のチームは戦力不足だったけ。分かった』

 通信を切り、目の前の少女に向け、口を開く。

「ちょうど昼前だし、どっかで食事でもしながら話さない?」

「分かった。いい店があるからついてきて」


 いい店、というからには喫茶店などに案内されるのかと思っていたのだが彼女が案内したのは全国チェーンのファストフード店。若干拍子抜けしながらもそれぞれメニューを注文し席へ移動。四人席に向かい合って座る。

「っとまぁ、どこから話せばいいのか…とりあえず僕の名前は種子島勇気。中学一年です」

「私は真田光也(さなだみや)。キミと同じ中一だ」

「え、そうだったの?」

 若干大人びた口調と容姿から、絶対年上だと思っていたのだが…。

「じゃあ敬語で話す必要なかったな。改めてよろしく真田さん」

「こちらこそ種子島君」

「ところで自己紹介も済んだところで、聞きたい事がある。どうして乱入を繰り返していたの?」

 お金は一気に稼げるものの、手間とリスクが高い(非マナープレイヤーとしてマークされ、最悪の場合普通に交流戦参加すら拒否されることはあるのだ)乱入をしていた理由が気になったので聞いてみる。

「私がARGを始めたのは父がソフトとハードをなぎなたの練習用に買ってきた事がきっかけだ」

 確かに三八式に銃剣付ければなぎなたや銃剣の練習にはなる。

「それで、最初の三ヶ月間はひたすら練習モードでなぎなたの練習だけをしてきた」

「さ、三ヶ月間も?」

 そりゃあ上手くもなるわ…

「で、ある日このゲームが対戦ゲームであることを知ったの、そして竜間山とかに行ってみたはいいのだが、どちらのチームに入ったらいいか分からなくて…気が付いたら「乱入」を選んでいた」

「へ、へぇ~」

 そもそもARGが対戦ゲームであることを知らなかったなんて、FPSド初心者の麻乃でもそれくらい知ってたぞ。

「銃剣でも思ったより戦えるし、お金も大量に稼げる。クラスメイトや友人にARGやってる人いないし、これでいいやって」

 なるほど、そういう理由があったのか。

「あーあのー僕友人達とチーム組んでで、そのリーダーやってるんだ。その…誰かと組んで戦ってみたいなら、チームに入ってほしいな真田光也さん」

「分かった、もとより君が勝ったらチームに入るという約束だからね。よろしく、種子島勇気君」

 そんな約束した覚えないけど、まぁいいや。

「やった。これで麻乃も喜ぶ…」

「麻乃?」

「僕のチームメイトの一人で幼馴染。ARG始めて日は浅いけど、スナイパーやってる」

「苗字は、橋立?」

「そうだよ。もしかして知り合い?」

「知り合いも何も、私のクラスメイトで同じ委員会の仲間だ」

「そうなんだ…ってええええ!」

 世間は広いようで狭い、という事を初めて実感した。

「よもや麻乃ちゃんもARG始めてたなんて…このチームに入ってよかった」

 月曜日にでも麻乃に話してみよう。きっと驚く。

「っとまぁそれはいいとして、これからどうしよっかな~」

 予定より遥かに早くスカウトに成功してしまったため、時間が余った。(想定では最低三試合くらいする予定だった)今から竜間山に戻るには若干少なく、家に帰るには多すぎる。

「あ、そうだ。これからどっかの公園とかで練習でもしない?お互いの武器とかスキル。戦法とか確認したいし」

「分かった、それならいい場所があるからついてきて」

 さっきもこんな展開だったな…


 今度はどんな場所に連れて行かれるかと思っていたのだが、意外にも普通の神社の境内。なんか調子狂うよなぁ。

「ここ、体感型ARやっても怒られない?」

 以前チーム戦を行った境内では神主に見つかって追い出されたので念のため聞いておく。

「ああ、ここの神主は私の父親だ。だから問題ない。ちなみに祀っているのは軍神だからその点でも問題ない。むしろ無様な戦いとかしたら罰が当たるかもな」

「そ、そうなんだ…」

 ここ練習場所に使えるかも、と考えるが今は練習が先。

「ええっと僕のハンドルネームはスナイドル。名前の由来は戊辰戦争の時に使われたライフルから。メインポジションはアタッカー。主な武器はM4A1とトンプソン」

「私のハンドルネームはシデン。名前の由来は旧日本陸軍の戦闘機から。チームに入るのは初めてだからポジションとかは無いけど銃剣には自信がある。主に使うのは旧日本軍の三八式と百式機関短銃、九九式軽機関銃」

 またまたマニアックな銃ばっかり。でもいい趣味だなぁ…。

「武器、特に百式機関短銃の方。軽く撃ってみてくれていい?」

 お互いすでにバイザーとサポーターを装着済みなので真田さんは手際よくメニューを操作し、銃を装備。出てきたのはドイツのMP18をベースに作られた日本で最初のサブマシンガンである百式機関短銃。しかもストックが折り畳める所を見るとどうやら空挺部隊仕様だよこの銃。メーカーも頑張るねぇ。

「よし、では撃つぞ」

 そう告げると彼女は初弾を装填。いきなり腰だめに構える。

「ストップ、ストーップ!」慌ててストップをかける「ライフルならともかく、SMGで腰だめはまずいって!」

「ご、ごめん。何せ初めて手にするもので…」

「は、はい?」

「いってなかったっけ?六か月前にARG買ってもらってから今まで、三八式だけで戦ってきたって」

「え、本当にそうだったんだ…」てっきり言葉の綾かと。

 「じゃあ正しい構え教えるね、とりあえず頬づけから。えーっと右手で銃身支えて、左手でトリガーに指をっとそれはもうできているから、今度は右肘を垂直、左肘を平行に構えるとよく当たるよ」

「こ、こうか?」

「そうそう、あと両脇締めて。このゲームモーションセンサーと命中率関連するから、こういった細かい所も気をつけて」

「あ、ああ」

 僕の指導の下、細かいフォームを修正していく真田さん。サブマシンガンに関しては素人だが、飲み込みは早くみるみる射撃の腕前は上達していく。

「だいたい基本は覚えたね。じゃあ実戦訓練、いってみる?」

「実戦?種子島君と戦うのか?」

「いや、そうじゃなくて。後僕の事は勇気でいいよ」

 そう答えつつ、メニューを操作。「集団銃撃戦モード」を選択。すると僕と真田さんの視界に大量の敵が現れる。

「うわっ!こんな訓練あったっけ?」

「チームリーダー専用コマンド。本来3~6人用だけど、まぁ大丈夫でしょ」

 と答えつつ僕も武器を選択。今回は彼女を援護する事も想定し、禁酒法時代のアメリカで有名になり、現在でも製造されているというトンプソン・サブマシンガンを選択。ドラムマガジンに百発装填できるのが個人的にお気に入り。欠点は(サブマシンガンにしては)重いため、フルオートの制御はしやすいものの、しっかり構えないと命中率が落ちること。

「準備オッケー?あ、そうそうこの敵動くし反撃してくるから気を付けて?」

 ガチャッとコッキングレバー、(この銃は上についている)を引き初弾を送り込み、訓練開始を選択。茂みや木に隠れ撃ってくる相手に、こちらも動き回りながらの反撃。

「弾切れしたらリロードって言って!カバーに入るから」「はい!」「回避パターンを一定にしないで、この敵それを読んでくるから」「ああ!」「リロード!」「へ?」「じゃなくて早くカバーに!」「ご、ごめん…」「マグチェンジは見ないで出来るよう心掛けて!」「はい!」「リロード!」「って遠!あまりばらけないで!」「ご、ごめん…」「いいから次っ!」

 初めてにしてはなかなかの連携に、バタバタと倒れていく敵。妙にクリアな思考の中、浮かんでくるのはここにいない三人の仲間。正宗と真田さんが前衛、僕と圭太がアサルトライフルで中距離を制圧、後方で麻乃の狙撃がこっちが撃ち漏らした敵を仕留める。この連携だったら十分にいける―――。

 と余計な事を考えてたせいか弾切れに気付かず、やられてしまい、それに続くように真田さんも倒される。

「ハァ、ハァ…疲れた~」

 真田さんの援護の為にいつもより激しく動き回っていた僕は地面にへたり込む。スコアに目を向ければ100を超えてる。これまでの二人で挑んだハイスコアは僕と圭太の80後半。

「ハァ、ハァ…す、すごい…」

 隣では真田さんも倒れている。こちらも相当疲れているようだがその瞳は輝いている。

「今まで私にとって、他のプレイヤーは全て敵だった。でも今日勇気君に出会えてこうやって仲間と協力する事の面白さを知れた」

「誰かと競い合うことも、仲間と協力しあう事、どっちもFPSの魅力だからね」

 これは何もARGに限った事ではなく、2D時代からのFPSの醍醐味だ。今のは父と兄の受け売りだけどね。

「これからもよろしく、勇気君」

「うん、来週の週末には他のメンバーにも紹介するから。あそうだ麻乃にはどうする?」

「麻乃ちゃんには明日にでも伝えて驚かせる。じゃあな」

「じゃあ、また来週」僕も心地よい疲労感と共に家路を急ぐ。





拙い文章ですが、ご意見。ご感想等ありましたら、コメントください。


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