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強襲!乱入者シデン 3

シデン編、とりあえずバトルは終了です。なので今回は短め。定期テスト以降修学旅行あったり、リリカルなのは見てたりでペースが・・・・

早く元のペースに戻りたい。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 どうにか戦闘エリアを離れ、シデンはやっと一息つく。開始直後の余裕に溢れた姿は何処にいったのか、盛大に肩で息をしている。

「まずい、かなり追い込まれているぞ。私が」

 さっきまでは狩る側だったのが、今となっては狩られる側に回ったような気分だ。思考を支配しようとする不安と諦めの影を、懸命に振り払いながらどうにか対策を考える。

(とりあえず、下段で命中率を落とす作戦は、もう使えんな。相手のHPは残り三割、こっちは残り二割か)今までの戦いを振り返り、ここまで追い込まれたのは初めてだな、と改めて思う。

「いずれにしても、次に彼と出会った時、この勝負に決着は着く」

 第四ラウンドは無い、泣いても笑ってもこれが最後。悔いの無いように戦いたい。


「あちゃあ~また見失ったよ~」

 どうやらシデンは逃げに徹する事を決めたらしく、またもや見つからない。やっぱりあそこでトドメを刺しておくんだった、と嘆いても始まらない。

「でも、さっきの一戦でシデンさんの戦法も分かったし次は勝てる。きっと」

 怖いのは銃剣、つまりクロスレンジだけ、距離の取り方さえ間違えなければフルオートで弾丸をバラ撒ける僕のM4で圧倒できる。

 としか考えられないほど僕がバカだったら、とっくにやられている。彼女はここまで奇襲に煙幕、さらには寝たふりと、ここまで一度たりとも同じ手は使ってこない。つまり、もう一手策があっても何もおかしくない。

 ではどういう手で来るか?彼女自身のプレイヤースキルについては予測しようがないので、敢えて考えず、三八式使いという視点から考えてみよう。

 三八式歩兵銃(通称三八式)、第一次世界大戦、日中戦争、太平洋戦争の頃の日本軍の主力小銃。ボルトアクション式。歩兵銃なのだが数多くの派生型があり、そのなかには騎兵銃の四四式や狙撃銃の九七式もある。(ちなみにどちらもマニアックな銃だがARGで使用可能だ)特に九七式は三八式の中でも特に精度のいい物に狙撃用スコープを付けただけという。この銃の命中率の高さを窺わせるエピソードだ。

 という事は、ここからシデンが取ってくる戦法の一つに、狙撃があるという事だ。人の裏をかくのが好きな彼女のことだ。思いつけば実行に移す可能性が高い。

 そうと分かればこっちにも対策の立てようは有る。マップを呼び出し、狙撃向けのポジションを確認。その内の一つの前を何事もなかったかのように通る。視界の端に銃口を確認、同時にしゃがむ。すると予想通り威圧的だが高く澄んだ銃声が響き、頭上を弾丸が駆け抜ける。こちらの思った通り狙撃だ、二発目が来る前にあらかじめ決めておいた茂みに転がり込む。

「ふぅ、それにしてもすごいな三八で狙撃なんて」改めてシデンの技術の高さに感嘆しつつもM4だけを茂みから出し、シデンがいると思われる場所目がけてフルオートで弾丸をばら撒く。片手撃ちのため命中率は期待できないがそれでも一マガジン分盛大にまき散らす。

 この場合は当たる当たらないより(まぁ当たるに越した事はないのだけど)「僕がそちらの位置に気づいた」という事が大切だからだ。恐らくもう使わないであろうM4をスリングで肩にかけ、ファイブセブンを抜く、そしてこの戦いの幕を引くであろう武器、接触信管の手榴弾を腰のポーチから引き抜く。


山林エリアの高台のような場所で三八式を構え、相手を照準に収めたシデン。こちらに気づいた様子はない。

「もらった」と呟き、トリガーに指を掛け、引く。しかし彼は避け、次弾装填の前に障害物の影に転がり込んでしまう。そして間髪いれずに襲い来るライフル弾。空気を切る鋭い音と共に彼女の周囲を駆け抜ける。距離もありどれ一つとも当たりはしなかったものの、スナイドルは恐らくこちらの位置を特定しただろう。 

(どうする?ここで狙撃体勢を維持して、ヤツが出てきた時に仕留めるか?)確かにそれは有効な手段に思えたが、シデンはそこではっとなる。

「アイツに同じ手が、二度も通るのか?」

 奇襲、煙幕、寝たふり、さらには下段での命中率下げ。どれも彼は見破り、的確な対処をしてきている。恐らく今頃は、狙撃への対策も練っているだろう。

「だったら、こっちもっ」

 狙撃手による牽制という優位を敢えて放棄し、愛用の銃剣で決着をつける。掛値なしの全力で。


 その後、シデンの隠れている所からもう一発狙撃が、しかし先の一撃に比べれば若干精度に欠ける。

 まるで、慌てて撃ったかのように。その事で僕は確信する。

 シデンは今、こちらに接近してきている。と。

 僕は集中し、耳を澄ます。足音はもちろん、踏まれた木の枝の音さえ聞き分けられるように。

 集中し始め一分も経った頃、微かな足音が僕の耳に届く。後ろからで、距離はまだ遠い。ドンピシャッと心の中で喝采を上げつつも、両手で構えたファイブセブンに全神経を集中する。シデンはとっくにこちらに気が付いている。しかしまだ撃ってこないのは僕の後ろは森で、木が邪魔だからだろう。もちろん最初からそうなるように位置取りしてたんだけどね。

 近づき、それに伴い大きくなる足音。まだだ、まだ早い。あと少し、もう少し…。

 一瞬の、だが僕にとっては長すぎる時間が過ぎた。

 シデンが大地を踏み込む音が響く。

 その瞬間、僕は振り返り、両手で構えたファイブセブンを放つ。


 シデンは森の中を進みながら、敵との距離を詰めていく。とっくに姿は見えているものの、茂っている木が邪魔で撃つ事ができない。

(まあいいさ、銃が使えないなら銃剣を使うだけ)己が得物、三八式歩兵銃。その先に光る銃剣に視線を移し、またしても不敵な笑みを浮かべる。

 一息で銃剣の距離に迫れる。その位にまで詰め、彼女は大地を蹴る。それと同じタイミングで相手も振り返り、手にした拳銃を地面に向け放つ。その意図を彼女が理解する前に、爆発のエフェクトがシデンを包み、そのHPを燃やし尽くす。

 





最後の最後まで銃剣のシーンが微妙だった・・・

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