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強襲!乱入者シデン 1

やっとライバルキャラの戦闘シーンとか書けます!


 勇気と菫が未知の乱入者の情報を得る少し前、Bチームの拠点付近の木の上に先程の少女がいた。

 彼女はARGのメニューを操作し、《乱入》を選択。本当にいいのか?というシステムの問いに再び『Yes』を選択。そして己のメインウェポンである三八式歩兵銃を装備するとボルトハンドルを引き薬室(チェンバー)に初弾を装填。アイアンサイトを覗く。

 そうして気配を完全に消し、待ち伏せる事三分程。彼女が登っている木の下辺りをBチームの兵士が二人組で通過する。乱入者を警戒してるのか周囲を確認しつつ移動している。しかし木の上にまで注意を払っていない。

「馬鹿め」抜き身の刀剣の様に整った顔を愉悦に染め、引き金を引く。タァァーンという銃声と共に発射された6.5㍉の弾丸が右のプレイヤーの頭蓋を貫き、彼のHPバーを一気にゼロに。もう一人が何が起こったか理解する前に木から飛び降り三十年式銃剣を三八式に着剣。背後から脳天を叩き割らん勢いの一撃!当然の如くHPバーを吹き飛ばす。ようやく自分の身に何が起こったのか気づいた二人目が振り返った時にはもう少女は次なる獲物(ターゲット)を求めて駆け出す。


 同時刻、Aチーム本陣

 視界上部に表示されるログ、そこに表示される情報で、リーダーのサフランはその戦闘を知った。

「な、一瞬で二人だと…」 

 戦闘中のどちらかの軍勢に途中参加する「援軍」とは違い、一人で両チームを相手にする「乱入」は成功すれば大量の経験値と金(このゲーム内での単位はGG(ガナーズゴールド))を手に入れることができる。しかし滅多に成功しない上に非マナープレイヤーという評価を受けてしまうため、ほとんどのプレイヤーは「援軍」を選ぶ。

「乱入してくるってことは、よほどのバカか自信家のどちらかだろうと思っていたが、こりゃどうも後者っぽいな」

 そう呟くと味方に通信を送る。


 謎の乱入者が一瞬でBチームを二人撃破。

 この情報自体は予想の範囲内だ。上手く奇襲をかければ一気に二キル三キルは可能だし、乱入してくる事自体、かなりの使い手という事だ。

 僕と菫が驚いているのはそこじゃない。

 キルログに表示されたアイコンが示す、乱入したシデンという人が使っていた銃である。

 彼(もしかしたら彼女の可能性あり)は三八式歩兵銃を使って二キルしたのである。命中率には優れているものの、ボルトアクション式の為連発できず、狙撃用に使おうと思ってももう少しお金を出せばさらに高精度の九七式狙撃銃が買えるため、完全にネタ武器と化してる三八式で。

「ルカ、コイツかなりできるよ」

「フィアールカよ!ってそれは置いといて確かに強そうね。今の所Bチームの方で暴れてるからいいけど、こっちに来る前にBの誰かが仕留めてくれればいいけど」

『聞こえているかAチーム諸君、少々厄介な事が起こっているようだ。単独行動は危険だ、最低でも三人一組で動くように、乱入者――キャラ名はシデン――を発見しても決して無茶はするな。逃走を装いつつ仲間のいる場所まで誘導、その後に火力を集中させ排除する。以上、幸運を祈る』

「だってよ」

 サフランさんからの通信での指示が来た。

「そう、お姉さまの命令ならしょうがないわね、あたし建ちは目の前の敵に集中しましょう」

「りょーかい」

 僕も同感だったので、とりあえず敵の方に銃口を向ける、と何を思ったのか、Bの前衛と思われる人が、両手を挙げて遮蔽物から出てきた。

「待て撃つな、Aのメンバーに話しがある…ってそこにいるのはスナイドルとフィアールカ!」

「よう中沢じゃなかったエッジ!」

 またしても僕のクラスメイトでスコピのメンバーの一人中沢だ。

「ってことは今日はこっちで戦うの?」

「いや、家が竜間山に近い俺と寺内だけこっち。あとは廃工場の方」

「それより話ってなに?内容しだいじゃこの場で蜂の巣よ」オーストリア製のブルパップ式アサルトライフル(マガジンがトリガーの後ろに付いている銃の事)シュタイヤーAUGの銃口を中沢に向け、勝気にそう言う菫。

「まあそうカッカせずに、で話って?」

 僕はライフルをスリングで肩にかける。罠かもしれないので念のため、腰のホルスターにあるファイブセブンをいつでも抜けるように準備しておく。

「そっちにも届いてるだろ?シデンって奴の事」

「うん、三八式で連続二キルってなかなかすごくない?」

「ああ、今シデンはBの陣地付近で暴れ回っているらしい」

「やられたの二人ともBチームだもんね、あまたシデンが誰か倒した」

「くそったれ、またBのメンツだ」

 圭太と同じかそれ以上に負けず嫌いの中沢が悔しそうにつぶやく。「っとまあこんな感じで今のうちにシデンのクソ野郎ぶっ殺さねーとAとシデンの挟み撃ちになっちまう」

「まさに前門の虎後門の狼ね」

「ルカちゃんは虎っていうより子猫だねハハハ」

「むきーっ!コイツ銃殺していい?」菫は今にも中沢の顔面目がけてAUGをぶっ放しそうな勢いだ。

「俺か?クソ乱入者殺した後なら好きにしろ」

「決まったわね!Bと組んでシデンを倒すわよ!」

「だとよ、スナ助はどうする?」

「スナ助って…まあ僕としてはいくらクラスメイトの頼みとはいえ今は敵チーム。このままBとシデンが共倒れになってくれるにこした事はない…と言いたいところだけど、シデンが標的をAに変えた場合、今度はこっちがBとシデンの挟み撃ち」

 ここで言葉を切り、中沢に手を差し出す

「よろしくエッジ、一緒に乱入者倒そう。みんなもOKだよね?」

 自軍のメンバーに視線を移す。特に反対は無いようだ。Bチームの方はといえばもともとAに共闘を持ちかけただけの事はあった全員が賛成だ。

「これでAB合わせて十九人か、これならいける」と中沢。

「じゃあどうする?こっちからシデンを探す?それともここで銃撃戦やってるフリでもして敵さんをおびき出す?」

 とりあえず思い浮かんだ作戦をBのメンバーに伝える。

「AにはLMG持ち、こっちにはRPG持ちがいるからな、それをうまく活用したい。となると同士討ちを起こしかねん待ち伏せは分が悪い。こっちから仕掛ける。スナ助、全体のマップ出してくれ」

 中沢から言われた僕はメニューからフィールド全体のマップを出し、他の人にも見えるように設定する。

「で、どう攻める?やみくもに動き回ってもみつからんと思うが」

「それを今から考えるんじゃん、あそうだルカ、一応本陣に「Bの前衛部隊と共闘関係に入った」って連絡入れといて」

「なんであたしが…まあいいけど」

 通信メニューを開きサフランに連絡を入れようとした菫。まるでその行動を予測していた様に銃声が轟く。

「え、えええええ!」

 一瞬にしてHPゲージを0にされる菫。

 緊張が走る。誰もが襲撃者、おそらくはシデンの影を探す中、ソイツは戦場に姿を現す。旧日本軍の軍服にその身を包み。腰に軍刀と南部式大型自動拳銃(通称南部、あるいは南部大拳)を装備し、銃剣付きの三八式を構えている。間違いない、コイツがシデンだ。


 同時刻、Aチーム拠点

「な、ルカまで!という事はこっちに来てるのか?」

 Bチームの方で暴れているというサフランの希望的観測は、チームの仲間の戦死によって崩れ去った。

「おのれ、よくもルカを…私が直々に出て叩きのめす!続け!」

 前回のゲームと同じように、自ら前線に出ると決意。本陣に残っていたメンバーも出撃の準備を整える。


 同時刻、Bチーム拠点

 Bのリーダーにして自身もチーム「ダイナミック・ダイナマイト・ダンスホール」(略してDDD)のヘッドを務めるジェットは、またしても表示されたシデンの撃破記録に怒号を上げる。

「ちっくしょう!!!!またかよあの野郎!さっきは突撃、特攻が売りのオレらが突撃されて負けるし、なんなんだよ今日は!」

 ライバルチームであるミストラル・マギサのリーダーに止めを刺されたジェットは、先の敗北の報復と乱入者の排除のため、全軍での突撃を決意。

「いいか!今から突って乱入野郎とAの前衛どもぶちのめす!行くぞ!」

「で、でもヘッド?前衛もいるしあまり大人数でいっても混乱するだけじゃ…」

 DDDの副長のターボがそう進言する。

「ああ、でもオレらDDDのメンツにかけても乱入野郎は叩く!ヤツもかなりの強さだ、多いに越したことは無い!総員出撃準備に入れ!」

 かくしてたった一人のために、両チームの主力部隊が真っ向からぶつかるという事態が勃発しようとしていた…


舞台は再び、草原エリア

 累計で四人を撃破した乱入者、シデン。

 AとBの十八人が一斉に銃を彼女に向ける――より速く、シデンはBのアサルトライフル持ちに斬りかかる。首筋の一撃に、なす術もなく戦死。

「って、手前ェ!」

 恐らくいまやられた少年の友人であろうBのアタッカーが逆上し、ライフルを乱射する。しかしそれを前もってわかっていたかのようにシデンは横にすっと動き近くにいたアタッカーの腹に銃剣を突き刺す。一撃死とまではいかないものの大ダメージを受け、外れた弾丸は別の味方のHPを奪う。この混乱に追い討ちをかけるように煙幕手榴弾を投擲。白煙が立ち込める。僕は誤射を避けるためライフルではなく拳銃を抜き、構える。しかし多くの仲間は白煙の中、当たるを幸いと各々のメインウェポンで反撃。同士討ちでさらに被害が拡大してしまう。

 まずい、このままじゃ僕までやられる。敵に倒されるならまだしも、味方になんて嫌だ。なんとかしてこの煙をどうにかしないと…そうだ!

「手榴弾いっくよー!」

 近くにいる味方にそう告げ、腰のポーチから手榴弾を抜き、ピンを外す。今回のゲームには煙幕手榴弾を一つと通常の爆発型を二つの計三つを持ってきている。

 もう一度「投げるよ!」と宣言して頭上に手榴弾を放り投げる。

 ドガァァァーーーーーーーーーーン!

 僕の上で爆音が轟く、距離があったため爆発そのものには巻き込まれなかったものの、爆風と衝撃波はの一部を浴びてHPを一割近く削られる。しかし僕達の視界を塞いでいた白煙は、爆風により完全に吹き飛ばされ、視界はクリアだ。

「ナイスだぜスナ助!」

「ありがと!それよりシデンは?」

 周囲を探すとシデンは今まさにBのアサルトライフル持ちに止めを刺そうとしている。慌ててファイブセブンを抜きスライドを引き、ろくに狙いをつけずに高速二連射(ダブルタップ)。残念ながら二発とも外してしまったものの、彼女は僕に気づいたようだ。

「貴様か、先程手榴弾を使ったのは?」

「そうだよ」

「面白い」ここでフッ、と笑う「だからこそ、貴様を倒す!」そう宣言し、銃剣を構える。

「シッ」という短い気合とともに突き出された首狙いの一撃をギリギリでかわす。体勢を立て直し、拳銃を向ける余裕もない程に足狙いの二撃目、続いてストックを使った打撃(威力は低いが当たり判定がある)が襲い掛かる、今の所はどうにか凌いできているものの、だんだんと逃げ場が少なくなっていく。

「チッ、ここまでか」そろそろやばいかも、という所で何を考えたのかシデンは突如背を向け森林エリアの方に撤退する。

「ふう、命拾いしたな僕」

 なんでいきなり逃げ出したのだろうと疑問を持った僕は森林エリアの方に視線を移し、理由を知る。そして愕然とする。

 Bチームの、おそらくは本隊が前線にでてきている。さらにそれを指揮しているのは恐れ七割呆れ三割で『ザ・カミカゼ』と呼ばれている、

「ディ、DDDのジェット!」

あまり銃剣使ってるシーンの描写がうまくいかなかった。もっと銃剣の事とか調べなきゃダメかなぁ。

評価、感想とかあったらよろしくお願いします。

銃器解説コーナー!

シュタイヤーAUG

オーストリア製のブルパップ式アサルトライフル。

ブルパップとはマガジンや機関部がトリガーより後方にあるタイプの事。このタイプの銃は銃身を短くすることなく小型化ができ、反動を抑え集弾性を上げることが可能

菫が使っているのは初期のA1型

M4A1

M16シリーズに代わり米軍が制式採用したアサルトライフル。銃身が短いためCQB(接近戦闘)などにも対応できる他、レイルシステムで様々なオプションパーツを装備可能。

勇気がこの銃を気に入っている理由の一つでもある。

AK47

旧ソ連の傑作アサルトライフル。悪環境でも故障しにくいタフさから、世界中の紛争地帯で使用されている。

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