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果たし状はラブレターの前に!   8

ラブレター編、一応バトルは完結します。このあとの後日談、なるだけ早く投稿する予定です。

 廊下にの中央に仁王立ちし、こちらを見据える沙耶。そのガンを飛ばすような視線に捉われた圭太は、槍衾に突っ込む騎馬武者のような気分を味わっていた。

(前々から思ったんだが、遠藤の眼力(めじから)って結構のモンだな…まぁ今回の俺らの目的は倒すことじゃなくて突破なんだけどね)

心中でそう呟き、腰のポーチから煙幕手榴弾を抜き、その手を背中に回し、すこし投げる。それが地面に落ちる前に、ファイブセブンの銃声が鳴り、起爆される。

 ブワァァァァァ―――ッ と廊下一帯のに立ち込める黒煙。ここで圭太は立ち止まり、右手に愛用の拳銃オートマグ44を、左手にはアサルトライフルAK47を装備。二挺のトリガーを一気に引き絞る。

(ライフルとハンドガンの同時持ちか…今は銃の重さとかはフィードバックされないけど、そう遠くない未来に五感全て拡張できるようになったらこんなの絶対無理だな)

ガッ!ガウン!ガガガッと圭太好みの大口径の銃声を楽しみつつそんな事を考える。AK47の7.62㍉もオートマグ44のマグナム弾もかなりの大口径だ、それを片手で、しかも反動制御リコイル・コントロールなどお構いなしに撃ちつづけては、当然当たるわけがない。撃つだけ弾の無駄である。

――でも、いいか。

 今回に限ってはこれで正解だ。いま撃ってる事(、、、、、、、)自体で、作戦目標は達成できてるのだから。

(勇気ッ!)


 威勢よく突っ込んできていきなり煙幕手榴弾。そこまでは何となくやりたいことが分かったのだが、その後のライフルと拳銃の乱射の意味が沙耶には全く理解できない。

(ウチにビビって錯乱でもしてんのかな…)

 一向にこちらに当たらない弾丸を、それこそバカの一つ覚えのように撃ち続ける圭太。てんで的外れの弾道といかにも圭太か大好きそうな大きな銃声。そのせいで妙に弛緩した空気のなか、ぼんやりと分析を続ける。

「ッ、っとォ!」たまたま顔スレスレに飛んできたオートマグ44のマグナム弾。圭太の狙いは未だふめいだが、下手な鉄砲数撃ちゃ当たる。ということわざもあるくらいだ、これはもう狙いとか考えずに速攻でぶちのめすきゃないね、そう決めた沙耶は手元の手榴弾を圭太と思わしき人影に投げつける。

 いつも通りの大きな爆音とくすんだ赤色の爆炎と共に廊下を覆っていた黒煙が晴れ、視界には『カトラス』を撃破したというメッセージが出現する。カトラスというのが圭太のハンドルネームだということは先ほど銃剣使いとの接敵時に既に確認済み。

「何をたくらんでいたのか知らないけど、残りは勇気一人。ウチの…いいえウチらの勝ちね」

煙が晴れると同時に圭太に告げると、圭太は悔し涙をうかべ――――ることなくにやっと満面の笑み。

「いや、俺の…俺たちの勝利だ、なぁ勇気(、、)ィ!」

「うん!」

その声が聞こえたのは、上から(、、、)


 廊下にたちこめる黒煙と、圭太が乱射する二つの銃声、これを確認した僕は床を蹴り、廊下に飛びだす。事前に決めてある地点までダッシュで駆け、天井の水道管まで―――最初の跳躍と窓枠を使ったジャンプで、到達し、水道管を両手で掴む。(ちなみにM4A1はスリングで背中に掛けてある)

 「ふぅ」

 小声でため息をつき、主戦場となっている廊下を見下ろす、ちょうどサヤエンドウが手榴弾で圭太を倒していた。視界に撃破ログが浮かぶと同時に黒煙も晴れる。

「何をたくらんでいたのか知らないけど、残りは勇気一人。ウチの…いいえウチらの勝ちね」

 …残念ながらその答えは百点満点の五十点だ。たしかに前衛は残り僕一人だ。しかし勝つのは僕、いや僕達。

「いや、俺の…俺たちの勝利だ、なぁ勇気(、、)ィ!」

 戦友の叫びに僕も「うん!」と大声で返す。

 下で唖然とする、サヤエンドウを見下ろして。


「なっ、何で勇気が…」

 廊下には自分と圭太だけしかいないと思っていたのに…煙幕で見えなかったとしても足音は聞こえるはず、そこまで考えてはっとする。

「ま、まさか、さっきの乱射って」

「そのまさかさ」と圭太「俺のAK47とオートマグ44は大口径の銃弾を使う、それゆえ銃声も大きいいのさ、中学生一人くらいの足音ならなんとか消せる」

「もらったぁぁぁぁ!」

 天井から出た水道管に両手でつかまっている勇気が吠える。片手だけはなしてこちらを撃つつもりかどうかは知らないが、こちらもウィンチェスターショットガンを天井に向け盛大にぶっ放す。天井をなめるように襲う散弾の粒に対し勇気は、足を後ろに振り、体ごと回避する。


 サヤエンドウが撃ってくることを予想した僕は鉄棒の要領で足を振り体を後ろに反らす。直後襲い来る散弾の雨。頭や胴体に被弾することは避けられたものの、手に被弾し一割ほど体力を削られる。

 これがもし実弾だったら指が千切れて落下、そのままトドメだな…益体のない思考と同時に、いい事を思いつく。元の位置に戻りかけた体をもう一度大きく後ろに振る。

「っ、りゃぁ!」

 そして一気に前へ!天井にぶつかる前に手を放す。

『夢で、高く跳んだ』着地までの刹那脳裏に走ったのはLISAの『crossing field』。三年ほど前に放送されたアニメの主題歌だ。僕や圭太、麻乃に真田さんに正宗。それに佐和田さんやサヤエンドウがお互いの技術や知識、体力といった持てる力を全て使った戦いも、時が過ぎれば夢のようなあやふやな記憶になって忘れてしまうのだろうか…それとも僕等はこの先に何かを見出すのだろうか?

 いや、ここで考えても仕方ないな、その時になってみないと分からない。だから今は悔いの残らないように全力で戦えばいい。『crossing field』だってこう続く――――。

「体はどんな不安纏っても、振り払っていく」

 着地と同時に続きを口ずさみ、僕は拠点までの最後の数メートルを一気に詰める。


 かかったな、バーカ。着地するや否な一直線に拠点へと向かう勇気を見て、沙耶は心の中で嘲る。仕掛け爆弾に気付いていないはずはないので、杏梨がもったまま麻乃に撃破されたと思っているらしい。

「だったらコレで」

 学ランのポケットから起爆装置を取り出す

「終わりだァ!」

 そう叫びスイッチを押そうとする右手を狙撃銃の弾丸が襲い、装置を破壊。先程の三人をの小競り合いで半分を割り込んでいた体力ゲージがついに二割を切り、赤く染まる。

「ぐぅぅ、まだだ!」

 次弾を回避すべく姿勢を低くし、ウィンチェスターを両手で構え、やや先行する勇気を追う。


 後ろから迫ってくるサヤエンドウを足音で感じつつ、僕はM4A1を肩に掛け、腰のポーチ(いつも手榴弾を入れてある所)から拠点爆破用の爆薬を取り出す。これを拠点にセット。そして起爆すれば僕達の勝利。逆にこの爆薬は一チーム一個だけなので、これを持っている僕がやられたらその時点で敗北だ。

 背中全体に突き刺さるような殺気を感じ僕はスライディング。拠点とすれ違いざまに爆薬をセット。その真上を散弾が駆け抜ける。立ち上がり爆薬に信管を差す。そして起爆を試みる。


背後からのウィンチェスターショットガンの銃撃をスライディングで回避。その勢いで自分が守る拠点に爆薬が付けられても、沙耶は必要以上に焦ることはなかった。信管を付け、そして起爆する。その二動作のために勇気は必ず立ち止まる。そのタイミングでもう一度銃撃すればいい。ただそれだけだ。そして立ち上がった勇気が信管を手に爆薬に向かった時に、沙耶は冷静に散弾銃の引き金(トリガー)を絞った。しかしこの一撃で勇気の残り少ないHPを削り切るはずの散弾は、発射、されない。

「た、弾切れ!」

 いつもは残弾にしっかり気を配っているのに…。一瞬のショックから立ち直った時、勇気はすでに爆薬に信管を突き刺しかけている。

「ッ!させないわよ!」

 ウィンチェスターを床に投げ捨て、腰のホルスターからサブアームであるイスラエルの大型拳銃、デザートイーグルを抜く。

「そう来るよねぇ!」

 ここまで来たら早さ勝負。すなわち大型拳銃の一撃が先か爆破が先か。それが分かっているから勇気は全く怯まない。

 そして両者が次の行動に移る直前、廊下に響く第三者の怒号。

「お前たち!何やってんだ!!」




 



 

ラブレター編、と言っていますがもうラブレター一切関係ないよね…

今回もこのような駄文にお付き合いいただきありがとうございます。

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