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果たし状はラブレターの前に!   5

戦闘シーン、続きます。もうすぐ夏も終わりかぁ…


 圭太と銃剣使いの少女が爆発に巻き込まれた時には、やってしまったぁ。と焦った杏梨だが、圭太達の位置取りが良かったせいで一撃死を免れたと知りほっとする。

『ちょっと杏梨ッ!今なんか爆発音したけど誰?』

 誰?というのは誰を吹っ飛ばしたか?ということだろう。

「友長君とシデンって子」

『シデンって…あの銃剣使い!よもや殺したんじゃないよね?』

「ちがうよぉ~ってかそもそもキルログ見れば分かるじゃん」

『あそっか~、じゃあウチは爆発音した場所に向かうね。杏梨は何か所に爆弾設置したら一度拠点に帰還して、まぁその頃にはウチが敵殲滅してゲームセット。だけどね』

「が、がんばって~。後ゴメンね、一気にシデンのHP六割も奪っちゃって」

『いいって。どーせウチのウィンチェスターは一撃必殺。体力が何割あっても関係ないわ』

 通信のむこうで沙耶の足音が響く。杏梨も負けじとバックから新たな地雷と仕掛け線を取出し、次なる設置ポイントへと静かに走る。


「圭太?圭太?何で通信が繋がらないのさ」

 いきなり圭太から通信があり、向こうが何か言おうとした途端に大爆発。キルログにカトラスとシデンの名前が無いから死んではいないのだろうけど…

「正宗はどう思う?」

「俺は、トラップに掛かったんじゃないかと思うんだが」

「確かに」

 さっき通信が途絶する前、何か言ってた気がする。

「じゃあとりあえず、周囲に警戒しながら進むぞ」

「わかった」

 今はとりあえず偵察を続けよう。僕と正宗はトラップ(特に爆発系)と敵に警戒しながら先に進んでいく。と目を凝らせば案外見つかるもので、張られた仕掛け線と対人地雷の存在に気付く。

「なーる。圭太と光也ちゃんはコレにひっかかったのかー」

「ってか正宗?いつの間に名前で呼んでいい許可取ったの?」

「いや、取ってない」

「あそう」

 と会話しつつもある程度距離を取って通信を開き…かけた所で気づく。

 圭太も当然、爆弾の存在には気づいていたはずで、当然爆弾からも距離をとったはず。けれど恐らく巻き込まれた。

「正宗、あと十歩くらい下がって」

 と指示し、僕もそうする。ここで圭太への通信を始める。

「もしもし圭太?こちら種子島分隊。そっちは大丈夫?」

『勇気?勇気かッ!バカッ今すぐ通信切れ!』

 ここで地雷の奥に設置されていたもう一つの地雷が爆発、爆炎のエフェクトと爆発音が辺りに轟く。が僕達にダメージはほとんど無い。予想通り二発目の爆弾は通信の電波に反応するようになっていた。

『今爆発音が!大丈夫かッ!』

「こっちは大丈夫だよ、そっちは?」

『よかった、こっちは真田とサヤエンドウが近接戦闘中…って待て真田ッ!いくら敵が逃げるからって…』

「は、はい?」

『す、すまない勇気。一回切る!』

ツーツーツー

「き、切っちゃったよ圭太。僕等もそっち行く?」

「いや大勢で押しかけても混乱するし、俺らは先に爆弾使い本人を叩こう」

「そうだね」

 爆弾使いが佐和田さんだとしたら武装はさっきのルガー、つまりハンドガンだけ(対人地雷等の仕掛け爆弾はメインウェポンと一緒に持ち込めないため)のはず。アサルトライフルやサブマシンガンの敵ではない。

「じゃあ探すぞ~」

「おう!」


 勇気が圭太に通信を送る少し前、互いの銃に弾丸を送り込んだ圭太と光也は背中合わせで沙耶の襲来を待つ。

「へー逃げないんだぁ圭太とそこの銃剣使い」

 学ランにショットガンという格好の沙耶がこちらに近づいてくる。視界に浮かんだハンドルネームは「シエラ」。

「ああ、そっちの武器はショットガン。下手に逃げようとして曲がり角で鉢合わせたらそのまま即死。ってな展開が容易に想像つくからな」

 彼女がショットガンを構え、圭太と光也がそれぞれの銃を向ける。

「友長君!打ち合わせ通りに!」双方が睨みあって十秒程、しびれを切らした光也が着剣した三八式歩兵銃で沙耶に斬りかかる。

「ハァァァァァァァァァァァァッ!」

 沙耶を一刀両断せん勢いで放たれた唐竹(上からの打ち下ろし)をバックステップで回避。直後に右手の散弾銃が火を噴き、細かい弾丸が発射される。しかし唐竹が外れると分かった時点でこちらも下がっていたためほぼ0ダメージ。ウィンチェスターショットガン独特のレバーアクションで空薬莢を排出しもう一撃撃とうとする沙耶にさせまじと刺突を放つ光也。

 撃つ、躱す。躱す、突く。撃たせまいと突く。突かせまいと撃つ。接近戦闘型同士特有の激しい近距離銃撃戦闘が繰り広げられる。

(両方とも激しいなぁ、それにどっちも下はスカートなのに…捲れるぞこりゃって俺のアホ今戦闘中だろ!)

 変な方向にスライドしかけた思考を無理やり押し戻し、援護射撃を始めるべくAK47のサイトを覗く、しかし両者ともにやりすぎなほどに動き回るため、なかなか狙いが定まらない。

(真田がダメージさえ受けてなかったら多少ミスショット覚悟で撃てるんだが)

今彼女の体力は三割程、大口径ライフル弾を使うAK47の場合、ちょっと当たり所が悪かっただけで死にかねない。

「やってくれるぜ佐和田…」

 思わず毒づいた時丁度勇気からの通信が。

『もしもし圭太?こちら種子島分隊。そっちは大丈夫?』

「勇気?勇気かッ!バカッ今すぐ通信切れ!」

 自らを襲った爆発、恐らく電波反応式の対人地雷を思い出し、慌てて警告を送るも遅く、通信の向こうで爆音が轟く。

「今爆発音が!大丈夫かッ!」

『こっちは大丈夫だよ、そっちは?』

 どうやら気づいて回避してくれたらしい。

「よかった、こっちは真田とサヤエンドウが近接戦闘中…」ここで視線をそちらに向ければ、沙耶は突如光也に背を向け逃走する。「って待て真田ッ!いくら敵が逃げるからって…」と慌てて警告するが、「その首、貰った!」と勢いに乗っている光也は聞かずに追撃を開始。

『は、はい?』

「す、すまない勇気。一回切る!」

 強引に通信を打ち切った時には既に、少女二人の姿は曲がり角に消えていった。

「嫌な予感しかしない…」

 AK47をスリングで肩にかけ、オートマグ44を抜いて後を追う。


 さっきまで激しい戦闘を繰り広げていた敵のショットガンナー、シエラがいきなり光也に背を向け走り出した時、光也の心に浮かんだのは悔しさだった。強敵、しかも自分と同じファイトスタイルを持つ相手との戦い、この一週間行った訓練(銃剣百振り、小銃、サブマシンガン、軽機関銃それぞれ百発ずつ)火、木、金の放課後に参加したゲーム。そのどれでも味わえなかった、下手したら先週勇気と戦った時に匹敵するスリルと興奮。その相手がいきなり自分に背を向け逃げたのだ。もちろんここで終わりにはできない。

多少の危険性を覚悟の上で、光也は追撃を決意。圭太が止めるのも聞かず、必死で後を追う。

「ぐっ、こいつやけに足早いっ」

 こちらも走りながら三八式で刺突を放ってはいるものの、距離があるせいかギリギリで当たらない。向こうも右手のショットガンを発砲してはいるものの、その狙いは甘くい。

(マズイ、これ以上逃げられるとっ)

 このフィールドの地理に疎い自分は迷う可能性がある。次の曲がり角を曲がる前に決着をつけることを決めた光也はさらに加速する。と同じタイミングで前を走っていたシエラがいきなり足を止め、たかと思えば壁に足を付ける。

「な、何のつもりか知らんが」

 ここで決める。

 後半は口の中で呟き、光也はこれまでで一番鋭い突きを放つ、しかしシエラが体をググッと沈めたため、その刺突は空を切る。

「チッ」ならばそこから横なぎに…と思った刹那、ショットガン使いの体が――跳んだ。右足で壁を、左足で床を。まったく同じタイミングで二つの跳躍を合わせた事でかなりの距離を稼ぎ、一瞬で光也の背後を取る。

「えっ?」

 追う側が一転して追われる側に。一瞬の逆転劇に体が追いつかない光也に至近距離からの散弾が襲いかかりそのHPを喰らいつくす。


 視界の上に浮かんだキルログに、シデンが撃破されたと表示される。やったのはシエラ、武器表示がウィンチェスターだったので、サヤエンドウだろう。

「真田さん、やられたか…」

「ああ、そうらしいな」

 彼女の銃剣捌きを実際見たことがあるどころか敵として戦ったことのある僕としては、俄かに信じ難い。

「あの真田さんを倒したとなると…サヤエンドウめかなり出来るぞ」

「そんなに凄いの?」

「うん、日曜日の戦いでは一人で十五、六キルしてたな」

「うわーマジで?その真田さんがやられたとくれば、こりゃ手負いの圭太にはちょいと荷が重い」

「じゃあ一刻も早く圭太と合流して、三人でサヤエンドウ叩くしかないね」

「で、その為には先に佐和田さんから倒して、後顧の憂いを除くってな感じか」

「正宗正解!」

「じゃあ早速探そうぜ、おーい佐和田さーん!」

「そんな「ヘイ、タクシー」みたいなノリで見つかるわけないじゃん…って何だ?」

 今僕の見間違いでなければ、曲がり角からルガーの長い銃身の先っぽがちらっと覗いた気が…。

「何だって何だよ?」

「正宗アレ」ルガーを指さす。

「あれって―――」

「いいよ皆まで言わなくて」

 とりあえず威嚇射撃。ファイブセブンの二連射を近くの壁に叩き込んでみる。

「ひゃあ!」

 という間の抜けた声と共に、数発の銃声。どうやら佐和田さんが撃ちかえしてきているらしいのだが、全く当たってない。命中率に定評のあるルガーが泣くよまったく。

 そのまま、バタバタバタッ!足音を立て逃げていく。

「ま、待て!」

 この機を逃さず正面火力で圧倒すべく後を追う。

「ゆ、勇気?爆弾大丈夫か?」

「たぶん問題ない!」

 向こうだっていきなりこちらと鉢合わせしたんだ。仕掛けてる余裕は無かったはず。


 佐和田さんは部室棟の中に数少ないながらあった教室に逃げ込んだ。

 後を追って僕達も入った瞬間、気が付いた。

 ハメられた。と。佐和田さんはここに逃げ込んだんじゃない。部屋中に地雷を設置しそれを全て線で繋ぎ、ただの教室を必殺のトラップルームにしたのだ。

 そして、わざと怯えたふりをして、僕達を誘い込んだ。

「ごめいと~う!」

 舌なめずりした佐和田さんが答える。ちなみに四つある入り口の三つには爆弾が、もう一方は佐和田さんが塞いでいる。

「そ、そうと分かれば佐和田さんを倒してここを出るだけ!」

 僕はM4A1を、正宗はアメリカの小型サブマシンガン、イングラムM10を向ける。

「おおっと?そんなコトしていいのかなぁ~」

 彼女の左手には起爆スイッチ。

「――――ッ」

 佐和田さんに体には爆薬がびっしり。

「そ、そんな事したら佐和田さんも…」

「でも、これだけの量が爆発すれば勇気君と圭太君は巻き添え。そうしたら紗枝ちゃんが確実に麻乃と圭太君を仕留めてくれる」

 どうすればいい?何か策は…このままここで三人心中というのは避けたい。でも…そうしている間に佐和田さんはホルスターからルガーP08を抜き、上部の尺取虫に似た形のトルグを引き初弾を送り込む。

「さあどうする?」

 問いかける間にも佐和田さんは発砲してくる。手足を撃っているせいかダメージは小さいが、七割、六割と僕等の体力は減少していく。まずい、どうすれば…

 ビシュッ―――――

 空いた窓から飛来した弾丸が起爆しスイッチを吹き飛ばし、

 タァァァァァァァ――ン。銃声が高く響く。

「?―――ッ!」佐和田さんは一瞬、今何が起こったの?といった表情を浮かべたものの、すぐに机の下に隠れ第二射を回避。そのまま煙幕手榴弾を使う。どうやら起爆は諦めた(あるいは全ての爆弾の起爆装置がアレだった)らしくそのまま教室を後に。

『ま、間に合ったよぉ~』

「あ、ありがと…」

 弓道のことを聞いていた正宗もこれには驚いている。

「さすが麻乃!橋立流弓術は伊達じゃあない!」

『ちょ勇気!それ恥ずかしいからやめて!後一回屋上来て。圭太とミヤミヤもいるから』

「わ、分かった」


 再び屋上、しかし意気揚々と出撃したさっきとは異なり、それぞれの戦いで死線をくぐり、あるいは力尽きた五人の口調は重い。

「圭太、大丈夫だった?」

「ああ。俺が行った時には既に真田はやられてて、サヤエンドウと俺は数発程撃ち合った後どっか行っちまった」

 そう言っている圭太は麻乃が持ってきた応急処置キットで体力を回復中らしく、その体を青いエフェクトが包んでいる。

「そ、そうなんだ…」

「まあミヤミヤもそう気を落とさずに、ゲームなんだから勝ちもあれば負けもあるよ」

「わかってる、あの動きはすごかった…勇気君と同じくらいに目指すべき目標に出会えたのは嬉しいんだが、それにしても悔しい」

「まあでも、さっきはありがとう橋立さん。勝ったらMVP。もし負けても敢闘賞ものだよ」

「ありがとう近藤君、でも私はまだ負ける気はないから、出来るならミヤミヤの仇は討ちたいし」

「ですよね~」

 疲れた表情から一転、笑顔の正宗がみんなを見渡す、僕、圭太、麻乃はもちろん、すでに倒れた真田さんもまだ諦めてはいない。

「じゃあ、こっちの反撃、勢いよく始めようか、まずはあの爆弾使いからどうにかしよう」

「だな勇気。またあんなトラップルームはこりごりだ」

「じゃあ爆弾使いの排除、そしてから拠点の爆破。この二段構えで行こう。で麻乃?第一段階の重要な所、麻乃にやってもらっていい?」

「ふぇえ、わたし?」


正宗の出番が…書こうと思ったけど書けなかった。

次とその次くらいでこの章終わる予定なんで、そこで圭太と正宗も活躍する…はずです。

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