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果たし状はラブレターの前に! 2

ガンガン更新!とかいった矢先に突如ログイン不可能になって三週間、ついにログイン可能になりました!

VRMMO物でログアウト不可能ってのはあってもログイン不可能ってのは無い。今回の経験をもとにログイン不可能物でも書こうかなぁ~

でもログインできなくてどうやって話進めるんだろ・・・

「よう、遅かったじゃないかスナイドル」

 昼食を終えた僕が屋上に向かうと、すでにサヤエンドウはそこにいた。

「待たせてごめんサヤ…遠藤さん」

「結局言ってんじゃん。撃つわよ」

「ご、ゴメン。ところでちょっといい?」謝るついでに朝からの疑問を尋ねる「遠藤ってどこかのチームとかに入ってる?」

「ウチは入ってないわ、仲間はいるけど」

 意外だ、てっきり『ミストラル・マギサ』所属だと思っていたんだけど。

「あ、そうだ!土曜日の戦いが終わったら、僕のチームに入らない?」

「ウチはいいけど…今度相談してみる…ってそれより他に何か聞くこと無いの?」

 ああそうだったすっかり忘れてた。

「集合時間と細かいルールはどうする?」

「いくら校内限定とはいえ、部活やっている人に迷惑掛けないようにしなくちゃならないから…」

「となると五時半集合で六時にゲーム開始ってのがいいと思う」

「それでいいわ、時間は二十分一ゲーム。防衛側はウチらでいい?」

「いいよ」こっちは五人いる。攻撃でも防衛でもOKだろう。

「ありがと、じゃあ土曜日に」とだけ言って、サヤエンドウは廊下に戻る、僕もしばらくしてから後に続く。

「「「よ~う勇気ィ」」」

 ドアを開ければ知った顔が三つ。

「圭太に中沢に…前坂?どうして三人とも殺気立ってんのさ?」

「さっきお前がみょ~に周囲気にしながら教室出るからさぁ、何があったか気になって後つけたらぁ~」と中沢。

「向かった先が屋上と来たもんだから暫く張り込んでたんだよ俺達」と前坂が続ける…暇人どもめ。

「そしたらその屋上からサヤエンドウが出てきて、その直後にお前が出てくる、ときたもんだ。どーいう事か説明してくれると嬉しいんだが」と圭太が締める。

「えっと、あーこれは…」

 あらぬ誤解を受ける前に説明を試みるも…

「面倒だ、やれ」「イエッサー!」

 前坂の指示で中沢が僕を捕獲せんと襲い掛かる。わざわざ捕まるのも嫌なので逃走を開始。

「者ども出会え出会え!ホシが逃げるぞ!」

 圭太の怒号が廊下に響く。なんか最近こんなことばっかだ。

 あと圭太!休み時間に説明したから事情知ってるよね、知ってて僕追いかけるの楽しんでいるよね絶対!


「ハァ、とりあえずセーフ」

 校舎中を追いかけ回された挙句、やっとのことで図書室に逃げ込んだ僕は内側から鍵をかける。学校に居ながらARGやってる気分ってのはいい物だが節度ってモンがある。僕は『武士道シックスティーン』の磯山香織みたいに常在修行、常在戦場と思えるほど修行が成っていないんだ。

「まぁ何にせよ、これで時間は稼げる」

 追っ手共が諦めるのを待つか窓からベランダに出るか。いずれにせよ体力の回復が先。


「開かねぇ!クソッ!」

 図書室のドアを開けようとして、鍵が掛かっていることに気付き毒づく中沢。恐らくもう一つのドアも同じだろう。

「前坂、ちょっといいか?」何やら秘策を思いついたらしい圭太「勇気に見つからないようにベランダに二人くらい配置して、それとなんでもいいから本を一冊お願い」

「了解」

「中沢はここで俺と見張り、雑談でもしながら気長にやろうぜ」

「おう。ところで圭太?例の果たし状の相手とはいつ戦うんだ?」

「土曜日の予定だが」

 顔なじみの少女、サヤエンドウこと遠藤沙耶の強気な表情を思いうかべ、よもやあいつもARGプレイヤーだったとは、と考える圭太。

「土曜かぁ、俺も見たいけれどこっちはこっちで午後から廃工場に遠征の予定だからなぁ」

 土日が休みの日はもちろん、半日だけ授業がある土曜日も高校生や大学生も交えたハイレベルな戦いが各地で繰り広げられる。

「そうか、じゃあせいぜい負けて来い、『ミストラル・マギサ』とでもかち合って派手に全滅してしまえ」

「イヤだ。つーかマギサと正面からやり合って勝てんのってDDDかアンタレスくらいだろこの市じゃ」 特攻命のという独特の戦法を誇るDDDと結成以来公式戦無敗のアンタレス。マギサと並んでこの竹川市で三強と讃えられている。

「ところで圭太、大口径ライフルの…って早いじゃん前坂」

「まあな、ほれ」圭太にミリタリー雑誌を投げ渡す前坂。

「ベランダには?」

「寺内と谷野がいる」

「準備OK、それでは…っと」

 おもむろにページをめくり、SOPMOD―M14のページに差し掛かった所でいきなり大爆笑を始める。

「な、何だいきなりっ?」

 驚きつつも小声で問いかける前坂。

「何をって、中沢よ、勇気の特徴を思いつくだけ挙げてみ」

「えーっと、ゲーマー、一家そろってFPSプレイヤー、大の読書好き…ってまさか!」

「そう、そのまさかさ!つられて出てきた所を中沢と前坂で捕まえるってわけ」

「そんな『トムとジェリー』みたいな作戦だ大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない。俺の予想では一分くらいで落ちる」


「う~~~~気になる~~~~」

 さっきから図書室まえでページをめくりながら大爆笑しているヤツがいる。教室でならまだしも、廊下でまで爆笑しているなんて…どんだけ面白い本読んでんのさ一体。確認すべくドアを開けようとして、圭太の罠である可能性に気付きはっ、と思い止まる。

「ふぅ、危ない危ない。またしても圭太の策に引っかかるところだったよ~」

『ギャハハハハハハハハハハハハハハァ――――ッハハハッハ!』またしても大きくなる笑い声。ここまで笑い声が大きくなるともはや演技とは考えづらい。

「何の本読んでるのかホント気になる…ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ確認するくらい問題ない…よね?」

 万が一圭太だったらすぐに中に戻れば良いしドアちょっとだけ開けてそこから顔出しさえすれば問題ない。

 ガラガラッ! 視線の先にはにやぁ、と笑みを浮かべる圭太。

 僕は慌てて体を引っ込め…られない。誰かが襟と肩を掴んでいるからだ。 僕はギ、ギ、ギと油の切れたロボットみたいにそちらを向く。

「ま、前坂?中沢?」

「そんなバカな話があるもんか!と思っていたんだが…ほんとにかよ」

「GJ!圭太!」

「二分か、よく持ったな」としたり顔の圭太。

「「「さーて話して貰おうか~?サヤエンドウと一体なにがあったんだ?」」」

 知っているはず圭太までもが怖い顔で問いかける。ので全て白状した。言ってないのはサヤエンドウが挑戦者って事だけ、ARGプレイヤーであった事を隠していたんだ、あまり人には知られたくないのかもしれない。

「なーんだサヤエンドウはただのメッセンジャーかぁ~」

 がっくし、という感情が語尾に出てしまっている前坂。サヤエンドウがARGプレイヤーだとしても女子禁制のスコーピオンズには入れないから関係ないと思うけどね…。

「あんだけ追いかけ回してこのオチはないよ…」

「まあ俺は全部知ってたけどな」

「「「圭太ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」

 今度は一転、逆ギレした僕たちが圭太を追う。

「って今度はオレかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉぉ!」


「ってな事があったんだよぉ~」

 時間は一気に飛んで放課後、僕はもう一人の読書部員である佐和田さんに今日の昼休みの出来事を話して、というか僕が一方的に愚痴っていた。

「ははは、相変わらず男子っておもしろいねぇ」

「今回ばっかは迷惑だよ…あそういえば」

 たしかサヤエンドウと佐和田さんって友達だったよね?

「サヤエンドウの特技、特に運動系ってなんかあったっけ?」

 ARGはプレイヤースキルの関係する割合が大きいので、こういう事前の情報戦も盛んだ、向こうだって多分この四日間で調べ終わってるだろう。

「そうねー足が速い。とか?」

「ああ確かに!」だったらその機動力を殺す作戦で行こう「ありがと佐和田さん。あとこれもありがと」月曜から借りっぱの『文学少女』の三巻を返す。

「どうだった?」

「いつもどうりいい話だったが、最後の最後で全部持ってかれた」

「あ~それわかる~ところで今はなにを…ってまた深見真!?」

「月曜日もいったけど僕が何の本読もうと勝手じゃん、それに大藪春彦や河原礫、有川浩に赤松中学の作品も読んでるよ」

 ライトノベル関連は主に兄から借りている。唯一の例外は深見真の作品だけだ。

「へぇ~」

「な、何さその信じてないかのような顔は!」

「まぁ種子島君の読書趣味は置いといて、例の果たし状の件、どうなった?」

「ああ、あれ?今度の土曜日にやることになった」多少の雑談を挟みつつゆっくりと読書部の時間は流れていく。僕もページを捲るも心は土曜日の決戦へと流れてしまい全くといっていいほど集中できていない。――――深見真の小説でさえ集中できないなんてこりゃ重症だな僕。


 と、そういうわけで今日は部活を早く切り上げ帰宅。兄は高校のパソコン研究会(とは名ばかりのFPS同好会)、妹の美紀は今日確かクラス対抗サッカーの助っ人やってるので忙しい。母はちょうどキッチンで炒め物中。

「あ、そうだ母さん、ちょっと話がある」

「なに?」

「とても速い敵と戦うことになったら母さんならどうする?」

「速い敵?ああFPSの事ね!それなら母さんに任せなさいな!」

 元全国クラスのプレイヤーからアドバイスもらえるのは正直うれしい。

「ていうかそもそもね勇気?単純に速いだけの相手にならいくらでも対処できるの」

「ええっ!ああそうか進行方向予測して…」

「せいか~い!ハンドガンでも亜音速、ライフル弾なら長音速。単純な『速さ』においてこれに勝てる人間はいないわ」

「は、はぁ…」

「でもね勇気、『もう一つの速さ』には警戒が必要よ」

「もう一つの、『速さ』?」

「もう一つの速―――それは運動量よ。つねにこちらの予想しない方に回避、あるいは移動しつづけ、それでいて狙い、ARGなら体勢も崩さない相手そういった相手に至近距離で張り付かれたら…正直考えたくないわ…」

「対策方は?」

「あったらとっくにわたしが使ってる」

「って事は、無い。と」

「そうよっ、あー思い出しただけでも腹立つはあのナイファー。ベタベタベタベタと私の近くに張り付いてってあぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ここでやっといま自分が炒め物の最中で長話している場合でないことを思い出す母。

「ってコラ勇気ッ!…あれ、いない」

 当然だ。この展開を密かに読んでいた僕はとっくに自室に撤退している。


 僕達の(七割母で三割僕)のせいで野菜炒めの量は減ってしまった(それ以外は無事)夕食を終え、自室に戻った僕。相変わらず散らかった机の上にはARバイザーとグローブ、プロテクターがそろっている。バイザーの方はそろそろ充電完了。終わり次第日課の射撃訓練―といってもARGのトレーニングモードで遊ぶだけだけどね―を行う予定だ。まだもう少し時間があるので、ベッドに寝転がって音楽を聴いている。曲は水樹奈々の「Pray」。リピート再生でそろそろ四週目を迎えるか否かの所で充電完了の電子音が鳴る。

「いよっし、こっちも充電完了!じゃあ今日も始めるか!」

 手早くARGセット一式を装着。バイザーによって拡張された視界にARGのロゴが浮かぶ。今日使う銃はお気に入りのFNファイブセブンではなく、最近買ったSIGP226。スイスで開発された自動拳銃で9㍉弾が十五発入るのが特徴だ。基本徹甲弾が好きな僕だが、試し射ちの時に当てやすかったので買ってみた。

 訓練モード開始と同時に浮上する目標目がけて、P226を照準、発砲。うーん狙いは正確なはずだが日頃使ってるファイブセブンとは勝手でが違う(主に反動的な意味で)ためスコアはいまいち。それにさっき母から聞いた、『もう一つの速さ』の話が頭に焼き付いて離れない。佐和田さんはARGどころか普通のFPSもやった事ない(多分)ので、単なる「足の速さ」のことだろうと思うけど…何か嫌な予感が拭えない。今度の土曜日、たとえ敵がサヤエンドウたった一人でも油断は出来ない…ってそれはFPSプレイヤーとして当たり前の事か。



書き溜めていたのがいくつかあるので、しばらくは更新のペース早いと思います。

感想、誤字脱字等あったら指摘ください。

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