習作・宴
あんたがほしかった。あんただけがほしかったの。
切り裂いて 祈り
叶わない愛なら全部全部
噛み砕いて飲み込んで
絨毛のそばに たゆたえばいい
ひとりなんて 怖くないわ
あたしははじめッから一人きり一つきり
だからそう 一個体なのが当たり前
滑りそうに濡れた 包丁の柄ぎゅって握りしめ
冷えゆく毛皮の前に黙祷
ねえ あんたなんてケモノも同然なんだから
あたしの祈りで十分でしょう?
涙なんてウソくさいのよ
あなた方の そんなお綺麗な女優泣きに
信憑性のカケラなんて
これっぽっちも有りはしないの
ひとりだって 寂しくないわ
あたしははじめッから一人きり一つきり
だからそう 何を恐れることがある
ねえホラ 零れた液が
どんどんスライムになってゆく
あんたには見えてるのかしらね
凍りそうに冷たい息や 見開いた瞳
あんた自身のデッド・エンドが
慟哭だって演技なんでしょ?
あなた方の 完璧なカルテットの前じゃあ
笑いさざめき ワルツだって踊れちゃいそうよ
切り裂いて 祈り
叶わない愛なら全部全部
噛み砕いて飲み込んで
絨毛のそばに たゆたえばいい
両の掌 あんたのスライムそォッと掬い
喉の奥へと流し込む
手に入らないなら食べちゃえばいいの
そしたらあたし達 いっつも一緒
だあれも知らないだろうけど
ひとりなんて怖くなかった
あんらを識るまで怖くなかった
だからだから
あたしを愛したあんたが悪いの
可愛いあたしをここまで壊した
ひとりのあたしを誘惑しちゃった
あんたが悪いの
ねえどうせ 途切れた耳じゃ
声なんてもう 聞こえないんでしょ?
口唇あかく染めたまま
泣き叫びながらあんたを掻き抱く
あたしの悲鳴なんて
ねえ、……信じないんでしょう?




