↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/18

習作・宴

あんたがほしかった。あんただけがほしかったの。

切り裂いて 祈り

叶わない愛なら全部全部

噛み砕いて飲み込んで

絨毛(じゅうもう)のそばに たゆたえばいい



ひとりなんて 怖くないわ

あたしははじめッから一人きり一つきり

だからそう 一個体なのが当たり前


滑りそうに濡れた 包丁の柄(え)ぎゅって握りしめ

冷えゆく毛皮の前に黙祷

ねえ あんたなんてケモノも同然なんだから

あたしの祈りで十分でしょう?


涙なんてウソくさいのよ

あなた方の そんなお綺麗な女優泣きに

信憑性のカケラなんて

これっぽっちも有りはしないの



ひとりだって 寂しくないわ

あたしははじめッから一人きり一つきり

だからそう 何を恐れることがある


ねえホラ 零れた液が

どんどんスライムになってゆく

あんたには見えてるのかしらね

凍りそうに冷たい息や 見開いた瞳

あんた自身のデッド・エンドが


慟哭だって演技なんでしょ?

あなた方の 完璧なカルテットの前じゃあ

笑いさざめき ワルツだって踊れちゃいそうよ



切り裂いて 祈り

叶わない愛なら全部全部

噛み砕いて飲み込んで

絨毛のそばに たゆたえばいい


両の掌 あんたのスライムそォッと掬い

喉の奥へと流し込む

手に入らないなら食べちゃえばいいの

そしたらあたし達 いっつも一緒


だあれも知らないだろうけど

ひとりなんて怖くなかった

あんらを識(し)るまで怖くなかった


だからだから

あたしを愛したあんたが悪いの

可愛いあたしをここまで壊した

ひとりのあたしを誘惑しちゃった

あんたが悪いの



ねえどうせ 途切れた耳じゃ

声なんてもう 聞こえないんでしょ?


口唇(くちびる)あかく染めたまま

泣き叫びながらあんたを掻き抱く

あたしの悲鳴なんて

ねえ、……信じないんでしょう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。