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魔法使い達の夢  作者: 想 詩拓
第一部:ファトルエルの決闘大会
41/114

41『砂漠の民を護る者』

 砂漠はとっても危険な所。

 昼は灼熱、夜は極寒。

 道には迷うし、いつも飢えてる怪物にも遭う。


 しかし砂漠にはあいつがいるさ。

 サソリに乗ってやってきて、助けてくれる、砂漠の民を護る者。


 あいつの居場所は誰も知らない。

 あいつの名前も誰も知らない。

 ただ、あいつは“マスター・スコーピオン”って呼ばれてる。


 あいつの居場所は誰も知らない。

 あいつの名前も誰も知らない。

 ただ、あいつは困った時に必ず来てくれる。


 あいつは砂漠のヒーローさ。




「撃つべき目標は一つにあらねば、我《散り拡がる紫電》を放たん!」


 ファルガールが放った雷は途中で枝別れし、彼ら三人を襲って来た《グインニール》の触手を皆吹き飛ばした。

 続いてマーシアが魔法を詠唱する。


「我らを照らし出す星の《紅炎》よ! 我が導きによりてこの場に現れ、汝が望むがままに燃やし、焦がし尽くせ!」


 マーシアの足元の地面から炎の龍が生えた。

 巨大な蛇の頭に襲い掛かり、焼き落とした。


 しかし《グインニール》はすぐに失った部分を再生し、咆哮をあげて水弾を三発吐き出す。

 その水弾にはカルクが立ち向かう。


「我が前に立ち塞がりし《増幅する魔鏡》は、受けた光を倍に増して反射する!」


 カルクの前に光の板が現れ、水弾を全て受け止めた。

 水弾は一旦、その光の板に当たったところでその動きを止め、その大きさを三倍くらいまで膨れ上がらせる。

 そして光の板を離れると真直ぐ生みの親に向かって飛んでゆく。


「そのもの、《帯電》によりて、裁きの力を与えん!」


 続けて唱えたファルガールの魔法によって弾き返した水弾に雷が当たり、バチバチと電気が通る。

 それを喰らった《グインニール》は増幅された水の勢いに押され、ファルガールが帯びさせた電気にしびれた。


 マーシアの《白き灼焔の恒星》で、消え去りかけてから青白い光の身体を持つ蛇だった《グインニール》は、あの強大な大水流を三度放った後、元の触手のある巨大な化け蛇の姿に戻っていた。

 ファルガールの推論によると、“ラスファクト”の防衛能力は二段階あるという事だった。

 つまり一段階目の防衛本能で大災厄を起こす。

 そして大災厄をも倒されそうになった時、二段階目の防衛本能が発動し、あの大水流を三度放つまであの青白い光の化け蛇になるという事だ。


 即ち、グランクリーチャー《グインニール》は一撃では倒せない。

 必ず一度、青白い光の状態にしてから、改めて必殺の一撃を加えなくてはならないのだ。


「結果的に言うと、マーシアが先に闘ってくれていて良かったぜ。俺の考えていた作戦も一撃必殺だったからな。あのまんま闘ってたら、あの青白い光の状態での大水流に飲み込まれてたかもしれねぇ」

「しかしどうする? マーシアはもう《白き灼焔の恒星》は撃てまい」


 カルクは後ろで汗だくになっているマーシアに目をやって言った。

 その答えとしファルガールは親指で自分の胸をさす。


「俺がいる」

「しかし私は後に続けるほど威力の高い魔法は使えない」


 あの激しい大水流を防いだ事実が示す通り、カルクは防御系の魔法が突出した魔導士だ。防御力が異常に大きい代わりに攻撃力は犠牲にされている。

 ファルガールの一撃目で《グインニール》を青白い光の蛇の状態にしても、続く魔法が使えないのでは止めがさせない。


「まだアイツがいるさ」

「……リク君か? しかし彼がそれほど威力の高い魔法を使えるとは思えない。魔力だってそれほど高くはないだろう?」


 カルクくらいの超一流の魔導士ともなれば、会うだけでどのくらいの力量を持っているかは容易に見抜ける。

 ましてやカルクは教師なのだ。その眼力は他の者の比ではない。


「アイツの力は見ただけじゃ分からねぇよ。俺も初めは才能がないとは思ったが、一緒に生き残ったのも何かの縁だと育ててみたらビックリだ」


 ファルガールは楽しそうに語る。

 その目をしばらく覗き込み、カルクが頷いた。


「……よし、お前を信じよう」

「ありがとよ。取り敢えずこいつを止めとくぜ。チャンスは一回こっきり。アイツが来るまでは我慢比べだ」


 そして、三人は《グインニール》と闘い続ける。



   *****************************



 ファトルエル北門では大量のクリーチャー達をファトルエルに入れまいとする防衛戦が展開されていた。


「《鷲掴む炎》よ、その灼熱の炎によりて我が敵を燃やし尽くせ!」


 カーエスの掌から炎が放たれ、正面にいたクリーチャー五体が一瞬にして燃え尽きた。

 その後ろから二足歩行型クリーチャー《切り裂く者》がその長い爪のある腕を振り上げた。

 しかしカーエスはいち早くそれに気付く。


「だあぁっ! おんどれらマジでうっとうしいんじゃぁっ!(訳注・あなた達は本当にうっとうしいのです)」


 方言丸出しの怒声と共に《風玉かざだま》を放ち、《切り裂く者》をファトルエル北門の向こう側まで吹き飛ばす。

 今度は、《噛み千切る者》と呼ばれる、口に鋭い牙を持った四足歩行型クリーチャー四体が四方から飛びかかってくる。


「ええっ…、加減にっ…、せいやぁっっ!(訳注・いい加減にしなさい)」


 カーエスが怒鳴ると同時に発動したのは《弾きの壁》だ。

 その鋭い牙がカーエスに届く一寸前で止まり、後は全てそれぞれ元来た方向に弾き返される。

 と、その弾き飛ばされた一体が闘っているジェシカに向かって行く。

 しかしジェシカは当てられる前に、その一体を槍で叩き落とした。

 そしてカーエスを睨み付けて怒鳴る。


「貴様っ! 魔法を使うならもう少し周りを考えて使え!」

「どアホッ! こんな闘いン中で周りの事なんて考えられるかァッ!」


 二人とも、その会話の間にもクリーチャーを倒す。

 カーエスの言い分はもっともだった。

 何しろ次から次へとクリーチャーが襲い掛かってくる。

 しかも一体ずつなんて優しい気遣いはしてくれない。運が悪ければ五、六体を一度に相手しなければならない。


 更に悪い事に、クリーチャー個体で見ても並の強さでは無い。

 一匹一匹は常人の運動能力を遥かに上回り、しっかり、もしくはよほど魔導に長けた魔導士でないと太刀打ち出来ない。

 それだけ強いクリーチャー達が何百何千何万、と一度にやってくる。

 それが、大災厄が大災厄たる大きな要因の一つなのだ。


 カーエス達の参戦により一時盛りかえした戦線であったが、先程からクリーチャーの数が増え始め、戦線が少しずつ下がって来た。

 いつまで経っても終わる目処がつかない闘いに魔導騎士団員の志気も低下し始めている。

 このままでは駄目だ、と判断したジェシカはクリーチャーを槍でどかしながら、カーエスの方に進んで行った。


「カーエス=ルジュリス!」

「何やッ!?」

「私と魔導騎士団は一度この場を離れる! 少しの間、お前達だけでこのラインを保っておいてくれ!」


 ジェシカの要求にカーエスは眉を潜めた。

 それも当然だ。

 ここにいる戦力のほとんどは、魔導騎士団だ。それがこの場を離れると言っている。つまりこの場に残るのは、カーエスとクリン、クラン、後はほとんど戦力になっていないコーダとフィラレスだけだ。


「ちょ、ちょっと待てェ!」

「一瞬だけだ! 隊列を組み直して再び突入する。少し荒っぽくなるので、怒号が鳴ったら何とかして避難しろ!」


 カーエスの疑問が初めから分かっていたかのように答えると、後は返事も待たずにクリンとクランの元に行き、同じ事を伝える。

 続いてフィラレスとコーダにも伝えると、クリーチャー達のスキを伺い、槍を振り上げて叫んだ。


「魔導騎士団に告ぐ! 戦列を組み直す! 戦線を一時離れて退け!」


 すると魔導騎士団員達はさっと、槍と退き、後退して行く。

 かなり寂しくなった戦場でクリンとクランは目の前のクリーチャーの大軍を見つめた。


「信頼して任されたからには責任を全うしなくちゃね、クリン」

「その通り、全力をもってしてこの仕事に当たるべきだよ、クラン」


 そして構えをとり、魔法の詠唱を始める。


「冷気よ、凍てつく霜と共に降り…」

「《氷の足枷あしかせ》として、敵をいましめめ捕縛せよ!」


 砂漠の夜の冷気がクリンとクランの目の前にいた数十体のクリーチャー達の足元に集い、その足の自由を奪う足枷を形作った。

 突然、足の自由を奪われ、クリーチャー達の足が止まる。


「おーっ、さすがクリン=クラン先生! やるのう。よっしゃ俺もやったるでぇっ!」


 カーエスも負けじと魔法の詠唱を始める。


「火誘う水よ、湧き出て《油溜あぶらだまり》となれ!」


 クリーチャーの行く先の地面に油が湧き出て水溜まりのようになる。

 そこに足を踏み入れたクリーチャー達は当然、つるりと足を滑らせ転倒した。次の者も最初に転んだ者を踏み台にして乗り越えようとするが超えられず、敢え無く転倒。

 クリーチャー達が後から後から《油溜まり》に突っ込み、面白いように足を滑らせて転倒して行く。

 恐ろしい風貌であるクリーチャー達だったが、そのコントのような光景でかえって滑稽に見えた。


「ハッハッハ! バナナの皮やったらもっとおもろかったんやけどな~」


 笑い声をあげるカーエスに向かって“屍”を踏み越えてとうとうクリーチャー達が油溜まりを越えようとしている。

 しかしカーエスは余裕の笑みを崩さない。


「でも、バナナやったら……」指先に小さな火をつけ、油溜まりに投げ入れる。「……あんましよう燃えへんよってな」


 その言葉が引き金になったように油溜まりが燃え上がり、その上にいたクリーチャー全てをその炎地獄の中に包む。




「……流石にやるな」


 魔導騎士団員達に指示をして隊列を組み直したジェシカは前方で氷に自由を奪われたり、油で足を滑らせ転ばされた挙げ句、火にまみれたりしているクリーチャー達を見て呟いた。

 今魔導騎士団員は、大通りの幅一杯に一列に広がっている。

 その感覚はまさにぎゅうぎゅう詰めで、これ以上どう詰めても人一人、犬一匹入りはしない。

 後ろにクリーチャーを漏らすのを防ぐ為だ。

 勿論一列横隊なので一人でも倒れれば、穴が出来てしまう。

 しかしそんな穴を作る気など毛頭ない。


「ジェシカ様、戦列が整いました」


 ジェシカの隣に配置されていた騎兵が報告する。ジェシカはこくりと頷き、槍を振り上げて言った。


「これより我らはあのクリーチャーの群れの中に突撃する。あの北門の入り口からクリーチャーを全て押し出すように突っ込むんだ。遠慮はいらん、遅れはとるな、以上! ……全員構えっ!」


 ジェシカの言葉が終わると同時に、魔導騎士団員全員が片手に各々の武器をたずさえたままクラウチングスタートの構えをとった。

 全員が見据えるのは前方に見えるクリーチャーの大軍だけだ。

 そしてジェシカはその魔法を唱え始めた。


「刃よ、槍先よ、鋭くなれ! 盾よ、鎧よ、堅くなれ! 兵士達の志気よ、高まれ! 我らを見守し《軍神の加護》の元に!」


 中心にいるジェシカから外側に向かって魔導騎士団員達の身体に光が灯っていく。

 全員に魔法の効果が行き渡ったのを確かめ、ジェシカは掛け声と共に槍を天へ振り上げた。


「突撃ィィッ!」




 後方から光を感じ、ジェシカの掛け声が聞こえたカーエスは近くの端にいたフィラレスの腕をとり、上空に《飛躍》で逃げた。

 クリン、クランも同じ方法だ。

 コーダはひらりと道路沿いの商店の屋根によじ登る。


 そのすぐ後に光を纏った魔導騎士団が横一列に並んだまま弾丸のような早さでクリーチャーの大軍の中に突っ込んだ。

 同時に前線にいたクリーチャー達がまとめて吹っ飛ぶ。

 突っ込んだ勢いはクリーチャーの大軍の中に入ってもほとんど衰えなかった。

 一人一人、の剣を、槍を振るうスピードと力強さが段違いに上がり、クリーチャーの攻撃に遭っても、全く傷付かない。

 クリーチャーはほうきに掃かれるゴミと同じようにファトルエル北門の向こうに押し出されて行く。そのほうきが掃いた後にはチリ一つ残らない。


 ともかく圧倒的な勢いでジェシカ達はファトルエル北門の内側にいたクリーチャー達を一掃した。

 その時点で、魔導騎士団員達の纏っていた光が消える。《軍神の加護》の効果が無くなったという事だ。

 しかし勝利の時の声をあげるヒマもなく、再び門からクリーチャーが入って来たのを見てジェシカはその顔をゆがめた。


「くっ……、本当にキリがないな……」


 そこに一人のカンファータ兵が走って来て、跪いた。


「ジェシカ様、申し上げます! この門より入り込んだクリーチャーの数が増え始め、各決闘場の防衛が厳しくなってまいりました!」

「何!? もうそんなにか?」


 確かにここで闘っていて幾らかクリーチャーを中に入れてしまった事は分かっている。しかしその数は大した事はなく、残りの兵達で何とかできると思っていたのだが、思ったより多いらしい。


「どうか、各決闘場に戦力を分けていただきたい!」

「しかしここの戦力にも余裕はない」


 今までの戦力でもいくらかクリーチャーを漏らしていたからこそ、このような事になったのだから、その言葉は疑いようもない。

 両者が思案にくれていると、意外な第三者が口を挟んで来た。


「あの、俺に提案があるんスけど……」

「お前は確かリク様の従者をしていたな」

「ちょっと違うけど、まあいいっス……ここは俺に任せてもらえやせんか?」


 いまいちよく分からないコーダの発言にジェシカは眉を潜める。


「どういう事だ?」

「ここを守るのは俺に任せて皆で行って来いと言ってるんス」


 ジェシカはますます訳の分からなさそうな顔をした。

 それも当然である。さっきまでほとんど戦力になってなかった男が、いきなり全員分の戦力になろうと言っているのだから。

 そんなジェシカの心情を理解したのか、コーダは更に言葉を続ける。


「信用出来ない気持ちは良く分かりやスよ。だから見せやス」


 そう言ってコーダは再び迫るクリーチャーの大軍を見据えた。

 そして片手を天に振りかざす。


「おいで、《シッカーリド》」


 それだけ唱えると、クリーチャー達の上空に光が現れ、それが大きなサソリを形作る。その後、その巨大な質量がクリーチャー達に向かって墜落した。

 カーエス、クリン、クラン、ジェシカ、フィラレス、魔導騎士団員各位、そして報告に来ていたカンファータ兵。その場にいた者全てが目を丸くした。


「何や……アレ?」

「まさか、……“召喚魔法”……!?」


 “召喚魔法”。その名の通り何もないところから生き物を呼び出す魔法の事だ。

 しかしそれはそう見えているから便宜上そう呼ばれているだけで、実際はただ別の場所から呼び出す魔法ではない。

 この魔法は魔力による物質の構成、つまり魔力で形を作って具現化させる魔法なのだ。

 言うだけなら簡単だが、実際使う事はほとんど不可能だとされている。

 ファルガールの《ヴァンジュニル》も魔法武具召喚という召喚魔法の一種だが、生物を召喚する難しさはあれの比ではない。

 魔力で形を作って具現化させる、それは即ち術者が魔力をもってそれを創造する事なのだ。それには外観だけではなく、内臓や関節、筋肉の仕組みも全て知っておかなければならない。しかも、非常に正確な魔力制御も必要とされる。

 よってまともに“召喚魔法”を使える者は滅多にいない。


 周りが騒然とする中、コーダは《シッカーリド》の上に飛び乗り、御者席につく。

 そして、その大きなサソリの背中に手をついて言った。


「《シッカーリド》、“対集団戦闘モード”っ!」


 それが呪文であったかのように大サソリの身体から光が発せられた。

 そして光が収まると、大サソリの身体は関節を動かす邪魔にならない程度に装甲に覆われ、ハサミも金属製っぽくなっていた。

 尾は長くなり、その先は鋭いかまがついていた。


 後はもう暴れ放題だった。

 飛び回ってクリーチャーの集団を腹の装甲で押しつぶす、ハサミで一度の何体もクリーチャーを切る、そして鎌のついた長い尾を振り回す。

 獅子奮迅の勢いだった。


「まさか……、“マスター・スコーピオン”!?」と、言ったのは報告に来たカンファータ兵である。

「知っているのか?」


 ジェシカが問うと、カンファータ兵はコーダの活躍に目を奪われたまま答えた。


「はっ、自分はここファトルエルの常駐兵でありまして、度々この砂漠の噂を耳にする機会がありました」

「それで“マスター・スコーピオン”とは?」

「いわゆる正義の味方です。この砂漠では危機に見舞われると、どこからともなくサソリに乗った男が現れ、助けてくれるそうであります。

 彼を見たという証言がたくさんあるのでどこかにいるとは信じていました。しかしその中で何件か『“マスター・スコーピオン”は何もないところからサソリを呼び出す』という証言がありまして、いくら何でもそれはないだろうと思っておりました。しかし……全て本当だった!

 このファトルエルではデュラス=アーサーが無敵を誇っておりましたが、その実、もし闘えば、本当に最強なのは“マスター・スコーピオン”であるとだれもが思っています」


 砂漠のヒーローを目の当たりにした興奮か、そのカンファータ兵は少々熱っぽく語ってみせた。

 説明を聞いたジェシカは改めてサソリに乗った白い髪に褐色の肌を持つ青年を見る。

 一旦あらかた片付け終えたコーダがサソリでジェシカの方に飛んで来た。


「どうッスか?」

「……見事だ、認めよう。お前は信用に足る実力を持っている」


 ジェシカがそう言うとコーダはニカッと笑った。


「それはよかった」

「コラッ、コーダッ! おんどれサソリ呼び出せるんやったら、何で今まで呼び出さんかったんじゃ!」


 横からカーエスが怒鳴り付けると、コーダは照れ隠しか、後頭部を掻きながらあっけらかんと言った。


「だって、もしそうしてたらあんたらの仕事が無くなるでしょう?」


 その不敵な発言に全員が唖然あぜんとする。


「……ともかく、これでここは“マスター・スコーピオン”一人に任せて、私達は全員でファトルエルの中のクリーチャーの駆逐に当たる事ができるな」


 そして全員は頷きあい、コーダ一人を残して南の方に走って行った。

 残ったコーダは再び北門から侵入しつつあるクリーチャー達を見据えて一人ごちた。


「さて、砂漠の平和の為にひとがんばりしやスか!」

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