詩 睨んでいる自覚はないんだけど
「何で睨むんだよ?」
彼にいきなり聞かれて、私は「え」っとびっくりして返す。
「そんなことないよ」
「いや、ずっとさっきから気になっているんだけど」
彼が顔を近づけてきて、目を覗き込んでくる。
長身の彼は少し腰を曲げて、真剣な表情をしている。
私は恥ずかしくなって、顔を俯かせると、とん、と彼の胸を押す。
「もう近いってば」
「悪い。でも嬉しいだろう?」
自信満々に言う彼に対し、私はくすりと笑う。
「それはそうよ。その…好きな相手だもの」
そう言うと、私はロングヘアーに触れ、手ですく。
ハープみたいな、さらりとした髪。
心地の良い音色が聞こえそうだが、彼が見ているので、足をぐるぐると回し始める。
「どうした?」
彼に聞かれで、ようやく重たい口を開く。
「その、最近、目が悪くなった気がして」
「へ?」
私は顔を上げると、
「眼鏡かコンタクト、作らないと駄目かな」
と彼に言う。
彼は元々、目が悪く、コンタクト派なのは知っている。
彼は顎に手を当てると、
「どっちがいいんだ? 眼鏡とコンタクト」
「それが…迷うのよね」
ふうと息を吐き出すと、文字の竜巻のように上昇し、消えていく。
「帰り、眼鏡屋に行ってみる?」
「え、いいの?」
「いいさ。大事なことだからな。俺が一緒に行ってやる」
心強い言葉に、私の不安は一掃された。
彼がついてきてくれるなら、百人力である。
「よろしくお願いします」
そう言うと、私は両方を大きく広げ、飛びつくようなハグをする。彼もしっかりと受け止めてくれ、ますます嬉しくなる。
私の大事な人、これからもよろしく!!




