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パレアナ・プリズム  作者: 七瀬みる


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6/7

 クリスマスは二十五日、イヴは二十四日。

 でも、終業式は二十三日。

 冬休みに入ってしまいます。

 だから、クリスマス会は、前倒しして、二十二日の学級活動の時間にやる……ということに、前々から決まっていました。

 陽太くんはその予定を利用したのです。


「サンキャッチャーって、高いやつは高いけど、わりと安いやつもあるんです。三、四百円の。全員でなくていいんで、欲しいやつがそれぞれ買って、いくつか持ちよれば、きれいなんじゃないかなって……一個で、コレなわけですし」

 陽太くんは、手にしたサンキャッチャーをゆらしました。

 虹がゆれて、また、教室がざわめきます。

「でも、近所のお店で、取り扱いがなくなって……どうしようかって、相談を」

 よくまあこんなどうどうとウソをつくものだ。

 われながら、陽太くんは、あきれました。

「そしたら、やってみたことはないけど、自作もできるはずだって、中島さんにきいて……工作セットも売ってるみたいだし、百均の材料で作れるみたいな話もあって。それで、何回か情報をもちよって。で、もう日にちもないことだし、さっそく、試作してみないかって……」 

 でも、半分は、ウソではありません。

 いつものお店がコーナーを閉めてしまった話は、実際にしたことがありました。

 そのとき、サンキャッチャー初心者の陽太くんは、近くにほかの取扱店があるか、とばかり考えましたが、中島さんのほうは「ばかね、自作すればいいじゃない」なんて、かるくいってのけたのです。

「サンキャッチャーって、作れるの!?」と、陽太くんがびっくりすると、中島さんは材料の名まえを列挙したうえで「いっぺん、作ってみたかったのよね」なんて、にやっと笑ってみせたのでした。


 陽太くんの説明がおわると、べつの意味で、教室は騒然としました。

 サンキャッチャーに興奮する女子。工作に興味をもつ男子。三村くんと早川くんの「早とちり」を責める声、ボソボソと弁解する二人。

 中島さんの席の近くの子たちは「中島さんもあれ持ってるの」「ほんとに作れるの」なんて質問攻め。

 陽太くんのまわりにも、実物を見ようと、何人かがむらがってきました。

「はいはい」

 日暮先生が、パンパンと手を鳴らしました。

「なにもナイショにすることなかったでしょうに」

「サプライズになるかなーって……」

 陽太くんが頭をかくと、日暮先生は、はあっと、ため息をつきました。

 それから、気をとりなおしたように、クラス全員をみまわしました。

「無断で持ってきたのはたしかによくなかったけど、そういう話なら、先生、賛成よ。サンキャッチャーって、長くて厳しい冬のあいだの、ささやかな楽しみにって、北欧でうまれたものでね。サンタクロースだって、北欧でしょ。時期的にもぴったりだわ」

 そして、中島さんに「くわしいことは、学級委員が中心になって……できる?」と、きいたのです。中島さんは、あわてて「はい」と、返事しました。

 あとは、三村くんと早川くんを筆頭に、クラスのみんなが、中島さんにゴメンナサイして……

 内心のシコリはさておき、その日、その場は、一応、落着したのでした。


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