六
クリスマスは二十五日、イヴは二十四日。
でも、終業式は二十三日。
冬休みに入ってしまいます。
だから、クリスマス会は、前倒しして、二十二日の学級活動の時間にやる……ということに、前々から決まっていました。
陽太くんはその予定を利用したのです。
「サンキャッチャーって、高いやつは高いけど、わりと安いやつもあるんです。三、四百円の。全員でなくていいんで、欲しいやつがそれぞれ買って、いくつか持ちよれば、きれいなんじゃないかなって……一個で、コレなわけですし」
陽太くんは、手にしたサンキャッチャーをゆらしました。
虹がゆれて、また、教室がざわめきます。
「でも、近所のお店で、取り扱いがなくなって……どうしようかって、相談を」
よくまあこんなどうどうとウソをつくものだ。
われながら、陽太くんは、あきれました。
「そしたら、やってみたことはないけど、自作もできるはずだって、中島さんにきいて……工作セットも売ってるみたいだし、百均の材料で作れるみたいな話もあって。それで、何回か情報をもちよって。で、もう日にちもないことだし、さっそく、試作してみないかって……」
でも、半分は、ウソではありません。
いつものお店がコーナーを閉めてしまった話は、実際にしたことがありました。
そのとき、サンキャッチャー初心者の陽太くんは、近くにほかの取扱店があるか、とばかり考えましたが、中島さんのほうは「ばかね、自作すればいいじゃない」なんて、かるくいってのけたのです。
「サンキャッチャーって、作れるの!?」と、陽太くんがびっくりすると、中島さんは材料の名まえを列挙したうえで「いっぺん、作ってみたかったのよね」なんて、にやっと笑ってみせたのでした。
陽太くんの説明がおわると、べつの意味で、教室は騒然としました。
サンキャッチャーに興奮する女子。工作に興味をもつ男子。三村くんと早川くんの「早とちり」を責める声、ボソボソと弁解する二人。
中島さんの席の近くの子たちは「中島さんもあれ持ってるの」「ほんとに作れるの」なんて質問攻め。
陽太くんのまわりにも、実物を見ようと、何人かがむらがってきました。
「はいはい」
日暮先生が、パンパンと手を鳴らしました。
「なにもナイショにすることなかったでしょうに」
「サプライズになるかなーって……」
陽太くんが頭をかくと、日暮先生は、はあっと、ため息をつきました。
それから、気をとりなおしたように、クラス全員をみまわしました。
「無断で持ってきたのはたしかによくなかったけど、そういう話なら、先生、賛成よ。サンキャッチャーって、長くて厳しい冬のあいだの、ささやかな楽しみにって、北欧でうまれたものでね。サンタクロースだって、北欧でしょ。時期的にもぴったりだわ」
そして、中島さんに「くわしいことは、学級委員が中心になって……できる?」と、きいたのです。中島さんは、あわてて「はい」と、返事しました。
あとは、三村くんと早川くんを筆頭に、クラスのみんなが、中島さんにゴメンナサイして……
内心のシコリはさておき、その日、その場は、一応、落着したのでした。




