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5 王子の視察

 淡い金髪に澄んだ青の瞳。長身で均整の取れた体格に、背でゆったりと編んだ長い髪が流れる。絵画から抜け出したような美貌を持つ青年――セレスタ王国第二王子、カエリウス・セレスタが、豪奢な祭服に身を包んだ大司祭と大聖女を前に姿を現した。

 彼は自らの美しさを熟知し、外交の場ではそれを最大限に利用する。そのための装いは隙なく整えられており、堂々と差し伸べられた手には人を魅了する力があった。


「セレスタ王国第二王子、カエリウス・セレスタ殿下であらせられる」

「よろしく」


 軽やかに手を差し出したカエリウスに、大司祭マルケルスが握手を返す。

「私は殿下の秘書官を務めております、アドリアン・ヴァロリス。この度は視察を受け入れてくださり、感謝いたします」


 アドリアンは切れ長の藍の瞳を持つ長身の青年だった。短く刈られた黒髪に感情を映さぬ無表情。その姿は、華やかな主君の隣に立つほどに鋭さを際立たせている。


「こちらこそ。お迎えできて光栄でございます」

 大司祭と共に、イレーネも純白の祭服を纏い、聖光教会式の礼を取った。


「聖光教会アルテンベルク教区会大司祭、マルケルスです。こちらは大聖女イレーネ。どうぞよろしくお願いいたします」


 それから一行は、礼拝堂の見事なステンドグラスをはじめ、教会内の施設を巡ることになった。

 カエリウスのみならず、最側近アドリアンをはじめ、護衛や記録官までがぞろぞろと同行し、その行列は壮観である。


 イレーネは経典の一節をモチーフとしたステンドグラスを手で示しながら説明していたが、ふいにカエリウスに腕を掴まれた。

「……殿下?」

「あぁ、すまない。美しい女性だからね。つい手を取りたくなってしまった」

「殿下……」

 アドリアンの冷たい咎めに、カエリウスは朗らかに笑ってごまかす。

「いや、すまない。話を止めてしまったな。続けてくれ」


 彼がアドリアンに目で合図をしたようにも見えたが、その意図まではイレーネには読み取れなかった。

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