表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私の嫌いな空色

作者: 海山 里志

 空色は嫌いだ。いや、小さい頃は好きだった。私のパパは戦闘機乗りで、吸い込まれるような蒼色の空に真っ白な飛行機雲を描いてくれたものだ。


 私はその様子を描いて、パパの誕生日に贈ろうと思った。でもその日、パパは帰ってこなかった。パパの友達に尋ねると、その人は渋い顔で、パパは空に食べられたんだって言った。


 パパを食べちゃう空なんて嫌いだ。だから私は空を鈍色で、塗りつぶして、塗りつぶして、塗りつぶした。


 そんな私を見てママは言った。パパは雲の上の世界で、今も自由に飛んでいるのよと。


 やっぱりパパにはあの透き通った蒼空を飛んでいてほしい。だから私は絵を描き直した。鈍色の雲の上、どこまでも広がる空色の中で、スカイグレーの戦闘機が真っ白な飛行機雲を描く絵だ。


 空のことはいまだに嫌いだ。でもパパが愛した空だから、許してあげようとも思う。今日も私は飛行機雲に手を伸ばす。その手は決して届くことはないけれど、想いだけは届きますようにと願いながら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ