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9話 戦闘訓練前のイベント

 


 重要な攻撃魔法も回復魔法も一切使えない!

 ゲームでは、取り巻き達とペアを組み、相手に戦わせてたけど、現在の私には取り巻きはおらず、ずっと先生とペアを組んでいた。


 ゲームの私は、いずれサステナ王子と結婚して王妃になる私に勉強なんて不要!と、王妃になるからこそ、勉強は大切じゃないのか?という正論を無視して、真面目に授業を受けていなかったけど、今の私は周りも驚くくらい真面目に授業に取り組んでいる。

 前世ではあまり学校自体通えていなかったけど、勉強するのは好き。何より、健康な体で授業を受けれることが何より嬉しい。

 だーけーど!それでも、魔法だけは上達しなかった。

 どれだけ遅くまで魔法の特訓をしても、魔法書を読み漁っても、無駄!だからもう魔法は諦めた。


「大丈夫……私が、ティセちゃんを守るから」


 何この愛されヒロイン……!攻略対象キャラだけじゃなく、悪役令嬢まで落とす気?恰好良すぎるんですけどーー!もう好き!


 想像通り、私とマリアの組み合わせに周りがざわめいているけど、マリアは気付いてもいないみたい。


「では、生徒同士の戦闘訓練を始めます」


 本日の魔法授業、戦闘訓練ーーーその名の通り、生徒同士、魔法を交え戦う訓練ーーー



炎魔法(フレイム)!」

水魔法(ウォーター)!」


 他生徒達が戦闘をしている間、他生徒は見学、もしくは、戦いに備えての準備運動をしたり、ペア同士で連携の確認をしたりと、各々が過ごす。私とマリアは、隅っこで大人しく見学。

 この時間も乙女ゲームでは、ヒロインと攻略対象キャラが触れ合い、様々なイベントが起きるようになっている。


 ヒロイン達と出来るだけ関わらないように過ごしてきたから、正直、マリアが今、どの攻略対象キャラとどのくらい進んでるのか、全く知らないんだよね。


 悪役令嬢断罪イベントが終わったんだから、中間までは来ているーーはず。

 少なくともサステナ王子と一緒に私を断罪したんだから、サステナ王子はそれなりに攻略が進んでるってことーーだよね?

 このゲームにはハーレムエンドもあって、同時進行可能だから、他が今どうなっているのか分からない。


 いいのかな?貴重な攻略対象キャラとの時間を、悪役令嬢なんかに使って……いまさら不安になってきたんだけど。


 ふとマリアと目が合うと、嬉しそうに優しく微笑み返してくれた。


 駄目!やっぱりこんなに可愛いマリアの誘いなんて断れない!



「ーーマリア!」


「!」

「……サステナ王子……」


 げっ、来たか……大好きなヒロインを悪役令嬢に盗られたから、攻略対象キャラの誰かが取り返しに来るかもしれないとは思っていたけど……サステナ王子が来るんですね。

 やっぱりマリアは、サステナ王子推しなのかな?


「マリア!その女に何か脅されているんだな!それで、ペアを組むように強要されたんだな!」


 せめて疑問文で行こうか。決めつけないで下さる?


「ち、違います…!私が、ティセちゃんをお誘いしたんです!」

「嘘をつかなくて良い!ティセちゃんなどと、無理矢理、愛称を呼ばしているのが何よりの証拠だ!」


 私が攻撃魔法使えるなら、今この瞬間に貴方の顔面に投げつけていました。


「ほ、本当…です!私、ティセちゃんには一度だって虐められてなんかいないんです!それどころか、光の聖女だって、皆が特別扱いする中で、唯一、普通に接してくれた人なんです…!」


「マリア…」


 ゲームの中のマリアは、悪役令嬢(わたし)にも、マリアが貴族の常識を知らない生い立ちを理解されず、誰にも注意されなかった。

 だから私も、ゲームをプレイしていた時は、普通にイベントとして攻略対象者とデートしたり、婚約者のいる攻略対象キャラとファーストダンスを踊っていて、それが駄目だとは知らなかった。


「マリアはこの女に騙されてるんだ!こいつは人の迷惑を顧みない!我儘で最低な女なんだ!マリアが庇う価値なんて無い!」


「……」


 必死に私を悪だと訴えるサステナ王子の姿は、過去の私の行いがもたらした結果だろう。

 私が彼に執着して、彼の周りを引っかき回して、滅茶苦茶にしてしまったからーーーこう思われてしまうのは、仕方が無いーーーと思う反面、今はもう更生して、貴方に関わらないように生きてるんだから、関わってこないでよ!とも思う。


「そんなこと……!」


 まだ何か私の為に反論してくれるマリアの手を取り、止めると、今度は私が、サステナ王子の前に立った。


「何だ!この悪役令嬢!」

「……過去の所業については、本当に申し訳なく思っていますーーごめんなさい」


 私は深く、サステナ王子に頭を下げ、謝罪の言葉を口にした。


「なっーー」


 私が頭を下げたのを初めて見たサステナ王子は、一瞬、驚いて言葉に詰まったが、すぐに、また口を開いた。


「何の真似だ?!油断させておいて、後から裏切る戦法か?!」


 どこの戦場だよ。とは思ったけど、とりあえずスルーします。


「私が悪いのは認めますが、サステナ王子も、今、こうやってか弱い令嬢を公衆の面々で怒鳴りつけてますよね?婚約破棄もそうですし、それは、酷い事をしているのには当てはまらないんですか?」


 お母様の言う通り、公衆の面々で婚約破棄を告げる必要は無かったですし、いたいけな令嬢に対する仕打ちを考えて、もう手打ちにして欲しい。



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