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14話 サステナ王子のイベント

 


 それは嘘。悪役令嬢の執着に、サステナ王子は強がって見せていたけど、内心怯えていた。

 そこを、相手(ヒロイン)と出会い、守りたい存在が出来た事で、強くなった。


 悪役令嬢と婚約破棄した後、サステナ王子はヒロインの胸の中で安堵して泣いちゃうんだよね……それだけ、サステナ王子は悪役令嬢が憎くて、嫌いで、畏怖の対象だった。

 だから私は、これから先、一生、サステナ王子と関わる気は無かった。


「私を油断させて、後から息の根を止めるとかなら勘弁して下さいね」


「しねーよ!」


 なら良かった。攻略対象キャラに攻撃されたら、私なんて一発でお陀仏です。


「……あの後、お前んとこの執事が来てーー」


「!」



『ティセお嬢様は今回の件を、貴方の為に胸に秘め、大事にしないつもりのようです。光の聖女様の虐めの件含め、もう一度調べ直すことをお勧めしますよ』




「それで……もう一度ちゃんと調べ直したら、お前がーーー本当にマリアを虐めてなかったことが分かってーー」


「……」


「本当にーーーごめーー」


「格好良いーー!ウィル、私の為に、サステナ王子にそんなことを言ってくれてたんだ!素敵ーー!やっぱり、好き!」


 サステナ王子の謝罪の言葉を遮り、ウィルへの思いが口から溢れ出る。

 何だかんだ、悪役令嬢のために動いてくれるなんてーー優しい!好き!格好良い!


「は?お前、執事なんかが好きなのか?」


「そんな言い方止めて下さい!失礼ですよ!」


「あ、わりぃ」


 私の圧に押されてなのか、すんなり謝罪するサステナ王子。もしかして、意外と素直?


「ウィルは、すっごい仕事が出来て、優しくて、顔が良くて、格好良くて、ちょっと強引で、意地悪でーーーでも、いつも助けてくれるんです!」


「お、おお」


 元・婚約者に、熱烈に好きな人を語る構図ーーーちょっとカオスかも。

 サステナ王子がウィルを馬鹿にするような発言をするから、つい、意地になっちゃった。


「マリアの誤解が解けたのは何よりです。でも、マリア本人も、私に虐められていないって言っていたんですから、ちゃんとお話を聞いてあげないと駄目ですよ」


「う、うっせーな!分かってるよ!後で、マリアにもちゃんと謝る……」


 そこら辺ちゃんとしとかないと!嫌気がさしたマリアが、他の攻略対象キャラを選んでしまうかもしれないんですから。


「今日私のペアになってくれたのは、そのお詫びのつもりですか?」


「……あーもーうるせぇ!いいから黙ってついて来い!」


 横暴ーーー流石俺様キャラーーー全然私のタイプじゃない。過去の私は、サステナ王子のどこが好きだったんだろ。

 今の私のタイプは、勿論、迷うことなくウィル一択です!




「で?お前、隠れるしか能が無くて、戦えねぇんだろ?」


 直球過ぎる物言いーー!その通りですけど、少しは言い方を考えて!!


「そうでーす!お役に立てなくてすみませんねー!」


「はっ!そんなん初めから知ってペアを組んでやってるんだから、俺に感謝しろ!」


「はーい!すっごい嬉しいでーす!」


 まぁでも、サステナ王子がペアを組んでくれて助かったのは事実!あのままじゃ私は、ぼっち確定で授業に参加出来ないところでした!

 今日は冤罪のお情けでサステナ王子がペアを組んでくれたけど、次からはそうはいかないし!マリアにはゲームの進行もあるし、迷惑かけてばかりはいられないからって、週一でペアをお願いしてるけど、それ以外はぼっち確定!

 このままでは、確実にやばいーー!!!



「Fランクの魔物だろ?よゆーでケリをつけてやるから、お前はそこら辺で待ってろ」


「待って下さい!」


「あ?」


 このままサステナ王子に魔物を退治して貰えば、確かに今日は乗り切れますが、その後が無い!

 この学園の森の授業はランクをクリアしない限り、上のランクに進めないようになっているけど、このチュートリアル的なFランクのステージからは、私を除く全員が、すぐにいなくなってしまうはず!


 折角サステナ王子がペアを組んでくれたんだから、今のうちに、なんとかFランクの魔物くらいは、一人で倒せるようにならないとーー!


「私、自分で倒せるように頑張るので、サステナ王子は私を見守っていて下さい!」


「ーーは?」


 サステナ王子は私の発言に、露骨に顔をしかめた。


 ペアを組まないと魔法授業に出れないって言われてるけど、Fランクのステージなら、ぼっちでも一人で倒せるようになれば、先生も許可してくれるかもしれないし!とりあえず、最低ランクの魔物一匹倒せないと、始まりません!

 目指せ!打倒Fランク魔物退治!!




 ***



 一時間後ーーーー。



「はぁっはぁっはぁっ!」


 駄目だーーー!!全く倒せない!!!


 Fランクの小さな可愛い魔物が、まるで私を馬鹿にするように、周りを飛び跳ねているのを、肩で息をしながら見つめた。


 Fランクの魔物にこんなに苦労するなんてーー!ゲームでヒロインを操作していた時は余裕だったのに、悪役令嬢の能力の低さには絶望しかない!!


「おい!さっさとFランクの魔物くらい倒せよ!」


 既にFランクの魔物を倒しているサステナ王子は、疲弊して座り込んでいる私に向かい、容赦なく怒鳴りつけた。


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