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タナカさんについて行くと、車が見えてきた。

四角いボディに丸みを帯びたフェンダーがあり、ソリッドタイヤがついている

ボンネットは少し縦に長い。

二人乗りの座席は革でできていて、高級感を感じる。

ルーフはなくオープンになっている。

1900年代初頭の車っぽいかも。


「異世界にも車ってあるんだ」

「まぁ、これは試作品ですけどね。

 ほとんど完成してはいるんですけど、まだ公道を走れないので市場

 に出せていないんですよ」

「なるほど」

「では、乗って下さい。街に行きますよ」


タナカさんに言われるまま、その車に乗った。

革製の椅子の肌触りはいい。

それに柔らかいから座り心地も良好。

でも、知らない人の車に乗るから少し緊張する。

タナカさんが前に回り、手動クランクでエンジンをかける。

ガタガタという音と振動が伝わってきた。

そして、タナカさんが隣に座ってきた。

座ってきてから一拍置いて彼はペダルを踏み運転を始めた。

動き出すと地面の凸凹が伝わってくる。

ギアが入るたびに金属音と共に速度が上がっていった。


「そういえば、あなたの名前を聞いてませんでしたね」

「あっ、たしかに」


上原壮馬。それが僕の名前。

でも、流石に本名を名乗るのは良くない。

だって、知らない上に性転換について説明すると絶対めんどくさいことになる。


「ええと、リーナ」


テキトーに考えた名前を名乗った。

我ながらいい感じの名前を思いついたと思う。


「リーナさんですか。いい名前ですね」


タナカさんの印象は悪くないようだ。


「あの、タナカさん」

「どうしました」

「僕ってこれからどうすればいいんですかね」

「そうですね。

 しばらくは私と共に行動していただいて貰うことになりますね。

 世界について色々と知って欲しいですし、少女一人ですと危ないの

 で」

「もしかして、ここって治安が悪いの?」

「場所によりますけど、女、子どもを狙った犯罪は少なくないです

 よ。

 うちの社員も狙われたことがあったみたいでして、幸い助かったよ うですけど。

 あなたは顔が非常に整っていますし標的にされやすいかもしれない ですね」

「えっ!?うぅ、なんかこわい」


なにそれ。

普通に怖いんですけど。

心拍が上がった気がした。

それに肌に悪寒が走ったような気もした。

ホラー映画を見た後に近い感じ


「まぁ、スラムに近づかなければそうそうないですよ」

「なら、良かったけど……」


そんな話をしながらタナカさんは車を走らせる。

森に流れる風を肌で感じていると、森の出口が見えてきた。

これからどうなるのか。

一旦、息を整えて落ち着いた。

なんとかなるといいが、ぶっちゃけ不安しかない。


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