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転生

思いついたから書いて投稿した

ちょっとした水たまりに映るのは木々が生い茂る森。

木の葉と葉の隙に光が漏れ出て神秘的な光景を作っていた。

そして、そこに立つ一人の美少女。

腰まで伸びるシルクのような長い金髪。

宝石のように光る目。

整った鼻にぷるんとした唇。

完璧といってもいいほどのバランスに配置された様はまるで芸能人のよう。

芸能人でも滅多にないかもしれない。

視線を落とすと、小柄で華奢な体があった。

背丈も低く全体的に小さい。

それらを包むのは白く安っぽいドレスだった。

「どういうこと……?」

えっ?なにが起きてるの?

なんで……

これってあれ?流行りの転生ってやつ?

でもなんで少女に……。

僕は死んだんだよね。

たしか、トラックに引かれて……


僕は死んだ。

自殺したわけではない。

ここ最近、メンタルがやられて自ら人生を終わらせる人が増えているみたいだけど、僕はそんなんではない。

鋼の心を持っているとかではないよ。

普通の人生を歩んできたつもりだ。

普通の家庭で生まれ、地方の小学校、中学校、高校と可もなく不可もない学校生活を送ってきた。

高校2年生のある日。もうすぐ夏休みだという頃、僕は塾の帰り道に友達とコンビニに寄った。

僕「◯◯、お前金あるよな~。

  そんなに沢山買ってさ」

友達「そりゃ、あんたみたいに無駄遣いしてないからな」

僕「うう、なにも言い返せない……」

友達「そういや、これ美味しいよな」

僕「そうでしょ!」

そんな感じで他愛もない会話をしながら歩いて、信号を渡ろうとしたときある巨大な何かが突進してきたのだ。

僕は速やかに確認した。

トラックだった。

運転手は気づいていなかった。

意識が朦朧としていたようにも見える。

いや、そこはどうでもいい。

今は自分の身を守らないと……。

でも、トラックと僕の距離は片手で数えられるほどの距離しかない。

どうあがいても助かりそうにない。

そうして、思考を巡らせているうちにそれは体に当たった。

幸い友達は助かったようだ。

僕の人生、普通だったな。


と思ったら、美少女に転生したという。

全く持って状況がわからないんだけど……。

しかも、ここどこなの?

森だというのは分かるよ。

でも、土地勘がないから自分がどこにいてどこに向かえばいいのかが掴めないんだよ。

下手に動いたら、死ぬかもしれないし、なにもしなくても死ぬ。

どう動いても積み。

「どうしよう……」

いやいや、折角転生したんだ。

今度は下手な死に方をしたくない!

何だったら、天寿を全うしたい!

「動こう。ここにいてもなにも始まらないし。

 取り敢えず、人でも探そう」

人を探すことにした。

人がいる保証はないけど。

それに言葉が通じるかどうかは分からない。

相手にされないかもしれない。

でも、いい人に巡り合う可能性も0ではない。

だから、足を踏み出すことにした。

前世より幾分小さくなった足をおぼつかない様子で前に出す。

やっぱり、体が変わると以前と比べてコントロールし辛い。

でも、バランスを取りながら歩く。

景色は変わらない。

相変わらず、視界には木々の樹皮が見え、見上げると一面に広がった葉の天井。遠くには鳥のさえずりが聴こえ獰猛な鼻息に鉄の匂いが……これは気の所為だよね。

まぁ、そんな感じの森を歩いて歩いて歩き回る。


結構歩いた。

多分、5kmは歩いた。

と思ってもGPSなんて便利なものはないし、地図もないから位置がわからない。

そもそも歩いている方向が合っているかどうかも怪しいし、そもそも人がいるかも分からない。

でも、藁にも縋る思いで歩けば誰かに出会えるかもしれない。

知ってる木の実があったりするかもしれない。

だから、まだ歩く。


それから、長い時間森を彷徨った。

足は重くなり、喉も乾いてきた。

危険な状況になり始めてきたかも。

疲労に水分不足。喉の渇きは体が水を求めているサインだと聞く。

3日は大丈夫らしいが遭難と対して変わらないこの状況だとほぼ時間の問題。

それまでになんとかしないと。

今いるところには川も湖もない。

これまでの道で水を見かけたこともない。

ちょっと休憩してから、探しに行こう。

うん、そうしよう。

僕は隣の大木の木陰に腰を下ろした。

背からお尻にかけてどっと力が抜ける。

慣れない体で長い間、歩き続けたんだ。

そりゃ、疲れる。

足も長距離走をしたときみたいに痛いし、体に力が入らない。

とてもじゃないけど、しばらくは動けなさそう。

休んでいると声が聞こえた。

人と人の話し声みたい。

もしかして、人がいるかも。

体の疲れを無視するように勢いよく飛び起き声の方向に向かって走った。

無我夢中で走る。

足にどこからか湧いてきた力を込め、柔らかい土を蹴る。

地面を蹴り続けたら、人影が見えてきた。

希望が見えた。

だからか走る速度も上がる。

やがて、その人が見えてきた。

ちゃんと人間だった。

「あっ!」


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