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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ホラー短編シリーズ

押し入れの奥のネズミR2

作者: 斎藤由希



 とある子供の家には、ネズミがいた。


 そのネズミは、すばしっこく走って、体が灰色だった。


 だから、その家の子供は、それをネズミと考えた。


 他の人が見たら、それはネズミではなかったが、子供には分からなかった。


 ネズミと子供はすぐに仲良くなった。


 なぜなら、四六時中ずっと、家の押し入れの中で、一緒に過ごしていたから。


 子供は、そのネズミを仲のいい家族のようなものだと考えていた。


 ネズミもそう思っているのか、よく子供になついた。


 家族は大切にしなければならない。


 そう思った子供は、自分の食事であるパンを、弟か妹のように思っているネズミに分け与えた。


 パンは一日一つしかなかったけれど、子供はネズミを大切に思っていたので、お腹が鳴りやまなくなってもあげ続けた。


 そんな事をしていたためか、子供は空腹のせいで動けなくなっていた。


 子供は押し入れの中で、数日間ぐったりしていたが、ある日押し入れの扉にネズミが体当たりするようになった。


 どんどん、とうるさい音がなったので、押し入れの外で生活していた大人が異変に気づいた。


 その大人は、子供に「押し入れの中から出てくるな」と言っている。


 大人は、大きな声で何かを言いながら押し入れの扉を開けたが、飛び出したネズミに追いかけられてどこかへと逃げていった。


 倒れていた子供が目覚めると、近くにはいくつかのパンが転がっていた。


 押し入れの扉が空いていたので、子供はネズミを探すために、ひさしぶりに家の中を自由に歩いた。


 しかし、どんなに歩いても大人もネズミもみつからなかった。


 家の中にあったのは、絵の具をぶちまけたような赤い水たまりだけだった。



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