表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/114

共に誓う師弟の絆

 消えることのない業火。燃え広がる炎。灼き尽くすような大気。この世の地獄となったオルヴェリン。だがそれと同時にハンゾーは印を結ぶ。


 「水遁!電子雨でんしう!」


 そう、大火災など関係ない!いかなる状況にも対応するのがニンジャの本懐なのだ!

 印を結ぶともに流れるのは電流!空気の絶縁を破壊し稲妻となりてハンゾーを中心に雷神の如く迸る!更にハンゾーが手にしたニンジャブレードは炸裂!ナノマシンが周囲に飛散し大気中に拡散していくのだ!ナノマシンはハンゾーの放つ電流を介して結合していき、空気中の水分子をイオン化させ粒子増幅!瞬く間に雨雲が発生し、そして豪雨となりてオルヴェリンに降り注ぐ!


 本来ならばナパーム弾が引き起こした火災は降雨程度では消火しきれない。それほどまでに絶大な兵器なのだ。だが、此度の雨はハンゾーのニンジュツによるもの。通常の道理では計り知れない。その豪雨の威力や凄まじく、ナパーム弾が起こした火災などものともしなかった!


 「宗十郎!それがし、上空の爆撃機を撃墜する故、ここを離れる!お主らは先に行け!」

 「承った!だが急げ、おそらくは第二波、第三波と来るぞ!」


 ハンゾーは跳躍した。遥か上空!爆撃機の方角へと!


 降り注ぎ続ける豪雨。視界は悪い。ましてや市街地戦。都市構造を熟知しているのはカーチェのみであるためか進軍は難しくなった。だがしかしそれは相手も同じこと。視界奪われるほどの豪雨、当然数百メートル先の相手を狙うことなど不可能。故に種子島を使っての遠距離戦は不可能となり、近接戦を余儀なくされたのだ。


 だがそれはリュウの計算の内であった。爆撃機は囮。連中が本来とるべき最適解は、燃え盛るオルヴェリンを無視して攻め入ることにあった。だがそれはできない。何故ならば奴らにはカーチェがいるからだ。信じていた。あの甘い女ならば、何かしらの手段を用いて対抗措置をとると。

 そしてその可能性が一番高いのはハンゾー。ドラゴンの時のように意味不明な技で何とかしてきた。その手段までは想像もつかなかったが、ナパーム弾の炎をもかき消す豪雨を降らすのは恐ろしい。

 だがそれもそこまで。爆撃機の撃破にやつは向かった。そして豪雨は好都合。リュウの生きていた時代にはそもそも鉄砲などなかった。故に慣れた戦い。あとは宗十郎という圧倒的武力をどうにかすれば良い。


 「ノイマン曰く、圧倒的な個には圧倒的な個をぶつけるしかない……か。ちげぇねぇ……なぁ?」


 笑いながらリュウは"それ"を見た。宗十郎とカーチェにぶつける切り札。そしてリュウにとってカーチェは恐れるに足らないと判断している最大の根拠。


 ざぁざぁと降りしきる雨。ナパーム弾が起こした大火災は鎮火され、焼け焦げた住宅地が広がる。この先の見えない豪雨の中、種子島を使った狙撃はない。それは確かだがその威力絶大で射程も長いことに変わりない。従って幽斎は部隊の分散を指示した。もとより都市攻略戦では定石である。大勢で攻撃しても的になるだけ。ここから先はゲリラ的に動く。


 「部隊の編成は任せる。今、重要なのは時間だ。膠着状態になれば補給路のないこちらに勝ちの目はない。」


 本作戦は電撃作戦であることが前提にある。オルヴェリンには都市内に潤沢な補給物資があるため籠城することは問題ない。しかしこちらは住宅区画を占拠しただけ……。兵站の差で負けることが確実なのだ。故に敵が体制を立て直す前に倒す必要がある。

 そして、そして幽斎にとって非常に不本意だが命令しなくてはならないことがある。


 「ただし……うぅ~ただしシュウ、イアソン、カーチェは別だ。お前たちは三人でチームを組んで中央へ向かえ。それが敵全体の撹乱にも繋がり、我々の勝利にも繋がる。」

 「三人……?師匠は来ないのですか?」

 「儂は……儂はここを離れるわけにはいかんだろう!指揮官が遊撃部隊に参加するやつがあるかばかっ!」


 心底悔しそうに幽斎は拳を握りしめる。

 当然である。ここで活躍することこそが愛弟子ポイントの稼ぎ時だというのに、此度は指揮官としてこの場にいる。故に宗十郎の前で自分の勇姿を見せることができないのだ!


 「確かに……ではこの戦では師匠と此度でお別れですか……。」

 「ああ……そうだ……そうなんだ……。」


 後は無事、宗十郎たちが中央に乗り込み玉座を手にしたら終わり。幽斎の仕事は亜人たちを率いて、この都市の占領と、亜人たちの暴走を防ぐことにあるのだ。

 それはとても大事な仕事。故に外すわけにはいかない。ここで投げ出して一緒に行くなどと伝えること、それこそまさしく宗十郎の強い失望を買うことになるのは明白だからだ。


 「……別れることはつらいですが、必ずまた再会しましょう。拙者は師匠の名誉汚さぬ戦いをすることを誓います。そして無事全てが終われば……また共に修行をしましょうぞ!」

 「!……あぁ!あぁ!!勿論だシュウ!!敵は底しれぬ相手、ブシドーとしてこのようなことを言うのは些か間違いかもしれないけども……必ず生きて再会するぞ!」


 師弟の絆、固く誓い合う。そして宗十郎たちは立ち去っていった。連合軍とは別に、敵全体の注意を引き付けながら目指すはオルヴェリン中央庁へと!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価、感想、レビューなどを頂けると作者の私は大変うれしいです。
更新報告用Twitterアカウントです。たまに作品の内容についても呟きます。
https://twitter.com/WHITEMoca_2
過去作品(完結済み)
追放令嬢は王の道を行く
メンヘラ転生
未来の記憶と謎のチートスキル


小説家になろう 勝手にランキング
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
[良い点] 師匠とは別行動、戦いが終わるまで再会はなし。 お互い離れがたさを感じているところが良いですね…!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ