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例え命尽きようとも

 時は戦国!場所はトクガワセキガハラ!ブシドーとブシドーが競い合う戦場!

 今ここに一人の武士もののふとショーグン一同がいた!迫りくるは千のニンジャ部隊!こちらは死屍累々!負傷者多数!!最早、風前の灯火!


 「最早ここまでか……皆の者!よくぞここまで付き合ってくれた。俺はこれよりニンジャに投降する!ブシドーは大将首さえ取れれば深追いはしないはずだ。」

 「何を言いますか殿!我ら一同、童より殿に仕えた身!この身、例え引き裂かれようとも命尽き果てるまで殿を守り続ける所存!どうか!どうかそのようなことを言わないでくだされ!!」


 家臣たちはショーグン・殿の言葉に涙を流しながら応えた。彼ら運命共同体。その先が例え死地であろうとも、引けぬ時があるのだ。家族同様、親同様。どうして血を分けた同胞が死を覚悟して、黙って立ち去ることができようか。


 「……そうであります殿。生きるとすればそれは殿。我らブシドーは殿の刀。生まれてこの時まで殿のために力尽くすさだめ。死など最初から恐れてはおりませぬ。恐怖というのがあるとするのならば、それはブシドーを果たせなかった時のも。」

 「宗十郎そうじゅうろう……だがしかし、無駄死には許さぬぞ。迫り来るは千のニンジャ、我々では振り切れぬ。」


 殿の言葉に宗十郎は微笑む。


 「殿、今まで御身、携わり感謝の至り。拙者、主君に恵まれ至極感激でござった。殿は振り向かず、ただ逃げれば良いだけのこと。ここは拙者が……殿しんがりほ務めさせて頂きます故。」

 「なにっ!?宗十郎!!ならぬぞ!!迎え撃つのであれば我々で迎え撃つのだ!宗十郎!!」


 ───嗚呼、良き主君。優しき主君よ。拙者は幸せの至りでござった。ブシドーと云うは死ぬことと見付けたり。拙者の死地はここであった。敵は千のニンジャ部隊、更に控える万のブシドーキバソルジャー。こちらの戦力は一人。

 勝てぬ。勝てぬ戦い。それが殿しんがりといふもの。だがそれでよし。戦い戦い戦い抜いて、主君の明日を切り拓くのだ。

 早馬に乗らされ、走り去る殿の姿を確認し、安堵する。

 迫りくるニンジャ部隊。憎きトクガワの犬!


 「止まれぃ!!今、ここにいるのは拙者一人!策も謀りもござらぬ!正々堂々、ブシドーとしてここに立つ!!」


 ニンジャ部隊のコマンドーはその叫びを聞いて立ち止まる。ハンド・サインで部隊に指示を出した。千の軍隊が足を止める。


 「お見事、天晴!お主のブシドー、とくと受け止めた!!我はニンジャ!ニンジャコマンドー、ハットリハンゾー!トクガワショーグンに仕えしニンジャマスターである!!ブシドーよ!!名を名乗れ!!」

 「やぁやぁ我こそは千刃宗十郎ちばそうじゅうろう!此度は主君の殿しんがりを承り奉った!!我がブシドー、サムライブレードに恐れぬ者はかかってくるがよい!」

 「よくぞ言ったソウジュロウ!貴様のブシドーに感服至極!正々堂々正面突破!推して参ろう!!征くぞ皆の者!!」


 一斉に鳴り響く笛の音に、千の忍びの者どもが宗十郎に襲いかかる。空中を舞うニンジャブレード、ハンドバックソード、短刀の数々!鉄火場にも似た金属音が耳をつんざく!そこはまるで人間地獄の如きものであった。


 激しい戦いが幾重にも繰り返され、嵐のごとき轟音が静まる。そこには死屍累々。無念の忍びの魂がさまよっていた。


 「はぁ……はぁ……み、見事だ宗十郎。我がニンジャ部隊、よもやよもや全滅とは!」


 ニンジャマスター・ハットリに介錯ブレードをエンチャントする。ハットリは生命活動を停止させ消滅。ニンジャ生命を終えた。

 だが……これで終わりではない。宗十郎の役目は殿しんがり。ニンジャ部隊の後ろに控える万の軍隊。ブシドーキバソルジャー達。

 宗十郎は満身創痍。ニンジャのニンジュツにより最早、気力で動くのがやっとだった。彼を突き動かす原動力は唯一つ。武士道。主君への忠誠心、主君の無事をただひたすらに望むのだ。


 「逃げてください、殿……拙者が……この身体動き続ける限り……殿しんがりを務めます故……。」


 最早、宗十郎のサムライブレードは刃が欠けボロボロだった。サムライアーマーも所々に破損が見える。役に立たないと判断しパージ。身軽な方がまだ救いがある。懸念すべきはブシドーアローだが、切り払うことで凌ぎ切る。


 見えてきたのは万の軍勢。勝てぬ事はわかりきっている。ニンジャ部隊相手にここまでやれただけでも大金星。あとは可能な限り、せき止める。


 「いざ参らん!我こそは千刃宗十郎(ちばそうじゅうろう)!殿の剣として、主らのお相手いたそう!!」


 叫びながら駆け出す。可能な限り、この命燃え尽きるまで、敵を一人でも殺し切る。


 「うぉぉぉぉぉぉぉぉおおお…………おぉぉぉお?」


 軍勢に向けて駆け出した筈だった。しかしその先には何もいない。万のブシドーはどこへ消えた。ここは……どこだ?先程の血と硝煙とソウル漂う戦場ゾーンとはまるでうってかわり、まるで平和な世界。青い空、豊かな緑。燃える大地はどこにもなく、悲鳴が少し聞こえるだけ。

 どうやら民家……小規模な村が野盗に襲われているようだ。よくあることだった。

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― 新着の感想 ―
主人公の「ブシドー」にかける強い信念を感じました。カタカナなところがユニークですね。忍者たちとの対決シーンも迫力があり、戦場の緊張感が伝わってきました。
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