第7話
「レオ、待ってよ〜」
この間聞いたんだけど、レオの方が3つ下だと聞いたのに歩くのも早いし、知識量も断然違うの。私の弟はすごいなあ!そんなことを考えていたら笑顔になっており歩くのがさらに遅くなっていた。
「…おい、早くしろ」
こうやってなんだかんだ待ってくれる優しいレオ。そんなレオに私とっておきの秘密の場所を見せてあげようと思って今日は待っていたのだ。
「レオ、こっちきて!」
レオの手を引っ張り、屋敷に戻る道とは別の方向に早歩きで向かう。どこに行くんだよ!とか言いながらも振り解かずについてきてくれる。
「ついた!はい、登って?」
「は?」
「いいから!登って!…じゃないとお父様に言い付けるよ」
うちの屋敷の中でもとびきり大きい樹。とっておきの場所はここだ。ここから見る夕陽は私にとって特別だから大好きなレオにも見て欲しかった。
お父様の名前を出した途端、舌打ちしながら渋々と言った感じで登り始める。その後に私もついていき、二人で横に並びながら景色を眺める。
「すごいでしょ?王都とまではいかないけど綺麗な街が一望できるし、見て!あの夕陽!綺麗だからレオにも見せたかったんだあ」
笑顔で言うと横目で私を見ながら少し顔を赤らめる。
「ふぅん。
これはお礼じゃないけど…ほら」
そう言いながら手のひらを上に向けるように軽くあげると、花が舞っていた。
「え?お花?」
「違う。雪の結晶だ。」
「本当だあ!冷たい!」
夕陽も沈んでいないのですぐ溶けてしまうが、綺麗に舞っているのが幻想的だった。
「お前…もし俺が…いなくなったらどうする?」
「えっ…?」
思いもよらない質問に思わずレオを見るが、レオは真っ直ぐ夕陽を見ていた。それがレオが本当にいつかどこかにいってしまう様なそんな表情を浮かべていたので、想像して涙が出てきていた。
「…?っ、おい」
何も言わない私に変に思ったのかようやく目を会わせてくれて、涙が流れている私を見て慌てて涙を親指で拭ってくれる。