第5話
「だから今以上に小さなお友達が見えることは他の子に話しちゃダメだよ。」
パパとの約束だ、と話し、指切りげんまんした。
「ねえ、レオは?レオはどうなっちゃった?」
ベッドから思わず乗り出し、お父様にレオの現状を聞く。私の記憶にあるのはお父様とレオがすごい剣幕だったこと。自分で言うのもなんだが、お父様は私の身に何かあれば、どんな理由があろうと相手に容赦ないのだ。
「レティはどうしたい?」
「えっ?」
「本来であれば子供であれ、レティに手を出したんだから地下牢行きだ。」
そう言われすかさず反応する。
「だめっ!そんなことしたらお父様と絶縁する!」
「!!
レ、レティ…最後まで話を聞いて?」
思わず涙目になってしまうお父様は私の両手を握りしめながら、話を続ける。
「レオは…少々訳ありでね、傷だらけだっただろう?話を聞いたら地下牢に行かせるわけにもいかなかった。そこで、だ。レティにも意見を聞きたくてね。」
「なあに?」
「レオを我々辺境伯管理下の直近の孤児院に入れるか…」
その後はなかなか話進めない。
「…か?」
「……このうちの子になるか、だ」
気まずそうにお父様は話した。そしてその後焦ったように続ける。
「でもレティが嫌なら…「ううん!嬉しい!!」
レオと友達を超えて家族になるということはずっと一緒にいられるということだ。友達だったら、お家に帰らないといけないし、会える時間が限られる。それに、父は辺境の警備や、兵士の育成に忙しく家を空けているのも事実。執事たちは家族のように私が寂しくないよう振る舞ってくれるが、本物の家族ではない。
そのため、他人が家族のテリトリーに入ってくる嫌悪感は全くなく、嬉しいという気持ちのほうが大きかった。
「…そうか。じゃ、じゃあレオは弟になるから。今から連れてくるよ。」
「うんっ!」
思わず笑顔で頷いた。弟かあ。何しようかな?お茶会ごっこはもちろんだが、おままごともしたいし、秘密の基地づくりもしたいなあ!想像を膨らませながらお父様がレオを連れてくるのを楽しみにしていた。