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プロローグ

初めまして。

産まれて初めてこんな形で文章を書きました。

お目汚ししてしまい申し訳ない感と、保育園児の「みてみて!できたの!」レベルの達成感で葛藤しております。

気が向いた方が読んで頂ければ幸いです。








「お久しぶりです。奥様。」




この家に滅多にない御客が現れた。

出迎えた玄関先で彼はホンブルグハットを脱ぐと、胸に軽く押し当てた。



「この様な形で挨拶となるとは…彼のことを耳に致しましてね。…今、墓地に参ってきたところです。」


私は遠慮する彼をリビングまで案内すると、紅茶と焼き菓子を振舞った。



「お気を使わせて申し訳ない。…3人での初めてのティータイムを心待ちにしていたのですが、終ぞその願いは叶いませんでしたね。」



そう言って紅茶を一口飲み込むと、彼はボロボロと両の眼から涙を溢れさせた。



「慌てて帰国したのですが、葬儀には間に合わず、彼にも貴女にも不義理な事をしてしまいました。」



涙ながらに謝罪の言葉を言う彼。



あの人が亡くなって、葬儀も埋葬も済んだ今。

私の心に少しは余裕ができたのだろう。

泣き出した彼の涙を嬉しく感じた。

純粋に私と彼を想ってくれていると、そう思った。



ハンカチーフを彼に渡すと、彼は断った。

私は無理矢理押し付ける様に渡して、席を立つ。



片手にハンカチーフをもう一枚持って、反対の手に鼻紙を大量に持って席に戻ると、彼の涙は止まっていた。



私は言った。

ねぇ、あの人の思い出話を沢山しましょう。と。



私の意図を理解した彼は微笑んで、こう続けた。

「では、アカデミー時代のとびっきりの話をしましょう。」



彼の話は時に面白く時に悲しく、時間を忘れる程だった。

気がついた時には夕食どきで、慌てて彼を夕食に誘うと断られてしまった。

聞けば、彼はこのまま蜻蛉帰りするらしい。

これは悪い事をしてしまったと謝ると、またこうして彼の話をしましょうと、彼は泣き腫らした目で笑ってくれた。









玄関先。

来た時と同じ様にコートとホンブルグハットに身を包む彼に、私は迷っていた言葉を打ち明けた。




すると彼は目を見開いて驚いた顔をして、まるで自分のことの様に笑って喜んでくれた。



「彼奴は馬鹿だなぁ…こんな綺麗な奥様とお腹の子供を置いて逝っちまうなんて。…本当に馬鹿だ…」




彼は悔しそうな恨めしそうなそんな顔をして、眉間に皺を寄せてぐっと涙を堪えている。



私よりもあの人と付き合いの長い、あの人の幼馴染み。

本当に自分のことの様に感じて貰えて、私はとても嬉しかった。




「おめでとう。いや、まだ早いかな。でも兎に角おめでとう。体に気をつけて。何かあればすぐにここに連絡を入れてください。すぐに飛んできますから。それとは別に時折顔を見に来ますね。」




彼は名刺を鞄から取り出すと、そこにプライベート用の番号も書き足した。

そこには走り書きで何があったら必ず連絡すること!とも書かれていた。



思わずクスクスと笑い出したを彼は優しい目で私を見ていた。




「そうだ!どんな名前か決まっていますか?今度帰国する時には必ず贈り物をお持ちします。」







私は迷わずこう言った。












えぇ。生前彼が決めたんです。女の子ならアリステア。男の子ならーーーーーー

巷に溢れている物語。

沢山面白いお話はございますが、私の性癖に突き刺さるお話が少ないのです。

そう、無ければ書けばいいと思い、書き始めました。

私は主人公が不幸であればあるほど、その主人公が報われる時に突き刺さるタイプです。

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