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シド。15歳。
なんの秀でた才能もなく、特別優れた容姿もしていないごく普通の平民である。ただ、1つだけ特徴的なのは蒼い眼である。
家族は、農家をしている両親と今年18の姉が1人。毎日平和で穏やかな日々を送っている。
弟の自分がいうのも変だと思うが、姉はとても美人だ。
これは、何も自分だけがそう言ってるわけではなく、村の大人や老人の方達からもそう言われているし、隣の街で行われる美人コンテストで優勝している程なので、美人なのは確かである。
「シドー?ちょっと手が足りないから手伝ってー!」
「サラちゃん?ちょっとまっててねー」
「その呼び方やめてっていつも言ってるよね!?ていうかはやくして!!!!!」
「あはは。わかったってばー」
因みにサラちゃんというのは村の皆の姉さんの呼び方である。だから僕も便乗して呼んだりするとぷりぷりと怒るのである。そういった表情も可愛かったりするのでついまたやってしまいたくなるのである。
こんな感じでちょっとした喧嘩(?)はするが、家族の皆と一緒にいるだけでとつい頬が緩んでしまう。そのくらいには、家族みんなの事が大好きだと思っている。
だが、その幸せな日常がもうすぐ壊れてしまうなど、この時の僕は知らなかった。
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時は既に太陽の沈む頃―――
日課のトレーニングを終えた僕は、いつもの山から降り始めた。
なぜわさわざ山まで行っているのかというと家でトレーニングするとトレーニング中に家事や何やら無理矢理させられてしまってトレーニングどころではなくなってしまうからだ。
それとただ努力してるところを見られるのはダサいなどと思ってしまう思春期ならではの理由もあったりするのだが本人はその理由に気付いてないふりをしていたりする。認めてしまうと羞恥心が限界突破してしまうだろう。
そしてふと真っ赤に染まっている空を見上げる。
「今日の空はなんだか赤いなー」
ぼーっとしながら帰っていると、
ドォォォン!!!
耳をつんざくものすごい爆発音が村の方から聞こえてきた。
「な、なに!?」
正体を確かめるために僕は全速力で村まで走った。
そして、村の全容が目に映った瞬間、頭の中が真っ白になった。
朝まであった、平和な日常が嘘みたいに崩れ去っていた。
とてつもない胸騒ぎと焦燥感を感じて急いで家まで走った。
家に着くまでに通り過ぎた民家はほとんど全てが火だるま状態になっていた。
そしてそれは僕の家も例外ではなかった。
頭が真っ白になる。
現実を受け入れたくない。
そんなわけない。そう思いながら急いで燃えてる扉を蹴破り中に侵入した。
すると、そこには受け入れがたい現実が2つ転がっていた。
「母さん!?父さん!?血が!!!何があったの!!!」
家の中には、腹部からドロドロと血を流す母と父が地面に横たわっていた。
これは夢だ。ほんと質の悪い夢だなぁ。
なんて現実逃避を繰り返していると、
今にも切れてしまいそうな細い声で言葉を紡ぎ始めた
「に⋯げろ⋯⋯。お⋯⋯ま⋯えだ⋯⋯け⋯⋯⋯でも。サラ⋯が⋯⋯。」
「シド⋯。ごめ⋯⋯ん⋯⋯⋯⋯ね⋯⋯。」
それだけ言うと、2人は静かに息を引き取ってしまった。
「嘘⋯だよな⋯⋯?ねぇ!!父さん!母さん!!返事してくれよ!!!そうだ⋯⋯⋯姉さんは??姉さんがどうしたの!!?」
父は一体僕に何を伝えようとしたのだろうか。
慌てて姉さんを探すがどこにもいない。父さんと母さんはしんでしまった。それはもう俺の目の前で。これはもう認めよう。認めざるをえない。そして諦めよう。俺には力がないのだから。だが、姉さんは違う。まだしんでいないはずだ。ただの希望にすぎないのだが。
そしてどこかに隠れているのかと思い村を見渡してみるが、どの家も揃って火だるまとなっている。見た限り隠れれる場所などどこにもない。
困惑しておどおどしていると右足で何かを踏んだような感覚があった。
右足を退けて地面を見ると手のひらサイズの紙が隠すように埋まっていた。
紙を拾い上げて見てみるとそこには、
〘ごめんね。シド。私、領主様に目をつけられていたみたいで突然村を襲撃してきたの。村のみんな私を守ろうと反抗してくれたみたいだけど訓練された兵士にはかてなかったみたい。私、これからどうなるのかな。。怖いよ。。シドだけでも幸せになってね。あんたのその生意気なとこもすきだったよ。ばいばい。。〙
今日、生まれて初めて僕は涙を流した。
そして、シドの胸中に渦巻くのは怒りと後悔と疑問であった。
この日の事を僕は一生忘れることはないであろう。
――――――確信した―――――
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