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転職魔女、魔王と戦う その1

 

 女勇者はその場に倒れる。女勇者の体に風穴を開けた腕が、真っ赤に染まりあがっている。ヘインは、人が殺されているところを直に見るのは初めてのようで、その場で腰を抜かして失神していた。


「魔王マグマ=モルドス、どうして勇者カリン=シノハラを殺した」


「邪魔であったからに決まっておるじゃろ? こいつは始めから捨て駒、もし変な気でも起こされれば面倒じゃ。だから念の為に、な」


「ひどい……」


 女勇者に散々なことをされている私でも同情してしまうくらい、惨い死に方だ。しかし、これで分かった。魔王は救う余地が無いほど腐っている。これなら()()()()罪悪感は多少消える。ルーラーを倒したときのようなあの馬鹿力を使えば、もしかしたら勝てるかもしれない。

 私は魔王に跳びかかろうとするが、ナルーシャの腕に止められる。


「止めておけ、本当に死ぬぞ。お前は少し離れて休んでおけ」


「でも……」


「大丈夫だ。私が得意なのは魔法だけでは無い」


 そういうと、ナルーシャは魔王に跳びかかる。


「ほう、我に武術で勝とうとするか」


 魔王は空中のナルーシャに向かって左拳を飛ばす。見ているだけで伝わってくる。その拳はとてつもなく硬く、速く、強く、きっとあのガウェイン以上、ファーナさんの鉄拳よりも強いかもしれない。

 そんな拳を体を捻って華麗に避けたナルーシャは、片足を床に付けるとそのまま魔王に拳を繰り出す。魔王は咄嗟に出た右腕で拳を止めるが、たまらずナルーシャと距離を取った。暫く沈黙が続く。約1分の見つめ合いの末、魔王が口を開いた。


「クク、お前のその銀色に光る眼、その眼は希望の光を信じている眼だ。まだ我に勝てると思っているのか? 私はお前の相手だけしていれば良いが、お前はあそこでへばっている魔女を庇いながら戦わなければいけない。人を庇って戦うのは案外体力が奪われる。お前1人なら勝ち目があったかもな」


「……」


 ナルーシャは黙ったまま、魔王を睨んでいる。その行動により、私は確証する。そう、私はお荷物だったのだ。ナルーシャもユイちゃんもファーナさんも、皆私を助けていてくれた。今回だって、ナルーシャが私に無詠唱魔法を教えてくれた時間を自分のトレーニングに割けられたし、それなら魔王にだって勝てたかもしれない。現に魔王が私をお荷物だと言ったし、ナルーシャもそれを否定しなかった。


『おい、レイカ=フレーアールン。聞こえるか?』


 突然、頭の中にナルーシャの声が聞こえる。これは……テレパシーというやつなのだろうか。私は心の中で必死に返事をするが、ナルーシャは一切反応しない。どうやら、こちらから声は届かないようだ。


『お前は逃げろ、魔王の言葉全てを鵜呑みにする必要は無いが、この状況ではお前はお荷物だ。魔王は私が倒す。今のうちに逃げろ』


 ……違った。

 私が今考えるべきことは、この状況でナルーシャをどうサポートするかだった。私がお邪魔だとか、お荷物だとか、そんな当たり前のことを考える時間なんて無い。

 私は全神経を集中させ、この状況で最適な選択は何かと考え始めた。


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