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転職魔女、罪悪感に苛まれる

 

「ナルーシャ、私になんてことさせたのよぅ!」


「は!?」


「このゴーレムは何の罪も無いじゃない。それなのに私に攻撃させて倒すなんて、あんまりじゃないの?」


 私はナルーシャの目の前に歩み寄り、睨む。


「お前は阿呆か? このゴーレムは呪いをかけられて意思のない人形にさせられていたのだ。お前がやつの気を失わせたことで、その呪いが消え、ゴーレムは救われたのだ!」


 ナルーシャはゴーレムが倒れている所を指差す。私は反射的にそこに視線を送る。とその瞬間、倒れていた巨大なゴーレムが急速に萎んでいき、とても小さいゴーレムの姿になっていた。体長は30センチメートル程だろうか。先程とは全く異なっており、その赤ちゃんのような動きは愛らしくも感じてしまう。


「な、言ったであろう? お前はそんなことも分からなかったのか。やはりまだまだだな」


 褒められた直後に貶され、気分を落としたその時、ゴーレムが現れた時と私が倒した時の2つの振動に異変を感じたのか、ユイちゃんとファーナさんが家から出てきた。


「レイカ、何ですか? さっきの揺れは……って何コレ!」


「ゴーレムでしょうか? 少し可愛いですね」


 2人の目の前に歩いていたゴーレムをファーナさんが抱きかかえ、私達の方に走ってきた。


「さっきの振動はそのゴーレムがですね……」


 私は2人に事情を説明する。しかし、何故こうも偶然に目が覚めたのだろうか。たとえ魔女とはいえ、それが理由にはならない。何か別の理由があるはずだ。そう頭を悩ませていた時だった。丘の下から人々の歓声と大勢の馬が走る音が聞こえる。


「あ、見てください。あれ!」


 ユイちゃんが真っ先に様子を見に行き、丘の下を指差す。私達はユイちゃんの所まで走って、ハアハアと息切れしながら何とか辿り着く。


「……あ、あれは!」


「王女様!?」


 人々の歓声を背に受けて馬に乗っているのは、紛れもないラルドーラ王国第1王女様だった。後ろに王女様直属の精鋭部隊『蘭』を連れている。

 そして、精鋭部隊は丘の上に登ってきた。


「レイカさん、大丈夫でしたか!?」


「え、大丈夫って……何がですか?」


「先日の報道を見ませんでしたか? 先日、ファルオード王国がこの国に宣戦布告しました。内容は貴方を渡せというもの。すみません、ファルオード王国がどうしてレイカさんの正体が暴かれているのか知るために貴方の個人情報を調べさせてもらいました」


 王女様は隣にいるヘレンに合図すると、ヘレンは手元の資料に目を通し、その内容を読み上げる。


「レイカ=フレーアールン、16歳。誕生日は11月8日血液型はO型。ファルオード王国にて生誕。王国の第3王子ヘイン=ファルオードと結婚を約束するも、直前で破棄。その後何らかの理由で王国を追放され、ラルドーラ王国に移住……と書いてあります」


 すごい、そこまで細かく調べているなんて! と声を出せるような雰囲気では無く、王女様達は何故かピリピリしている。


「レイカさん、貴方危ないですよ。現在、ファルオード王国とラルドーラ王国で戦争が勃発する可能性があります。勿論、ラルドーラ王国民の殆どが戦争なんてしたくないはず。そして、国民が願うのは平和的解決です。レイカさんさえ、魔女さえファルオード王国に渡せば、1人の犠牲で沢山の人々が助かる、とそう考えるでしょう。レイカさんの安全を守るため、王宮にお連れします。ついてきてください」


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