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転職魔女、無詠唱魔法を使う

 

 地中から現れたそれは、先程私が作り出した岩の何倍もあるゴーレムだった。赤い色をした目がこちらを見つめている。


「こいつは1300年前に魔王軍が使っていた巨大兵器ゴーレム『ベルヘルモス』、偶然この地中に埋まっていて、偶然この瞬間に目を覚ましたのだろう」


「そんな偶然って有り得るものなの!?」


「だから言ったであろう? 魔女はそういう厄介なものに関わる宿命なのだ」


 私は溜め息を1つ漏らすと、目の前のゴーレムに目を向ける。まず、このゴーレムを何とかしなければならない。だが、このゴーレムは魔王軍の兵器らしいし、私では歯が立たない。ナルーシャでも倒せるかどうか……


「ふむ、丁度いい。レイカ=フレーアールン、習得した無詠唱魔法でこいつを倒してみろ」


「うん……うん? わ、私が!? 無理に決まってるじゃない!」


「大丈夫だ。お前は確かに強くなった」


 私は不満の声を上げながらも、ゴーレムに向き直る。ナルーシャが嘘を言うことは滅多に無い。多分、このゴーレムが相当弱っているか、元々そこまで強くないのだろう。なら、またとないせっかくのチャンス、活用しないのは勿体無い!


 私はそう意気込むと、魔法を構築する。ゴーレムと名前がついているのだから、水は苦手なはず。あの大きな体を倒すには足場を崩すしかない。そして、体を地面に付かせたところで、水と雷で叩く。作戦が決まった私は、水と雷を構築する。どれくらいの威力でどういう風に動かすか、そういう細かいところを拙くすれば、無詠唱魔法は上手く作動しない。


「よし! はぁっ!」


 まず、ゴーレムの頭上に大きな水玉を作る。水玉は落下し、頭に直撃してゴーレムはその場で暴れ回る。やはり水が苦手なようだ。私は同時にゴーレムの足元を大量の水で満たす。暴れ回っているゴーレムは私の思惑通り、地面の水に足を取られてズルっと滑る。が、何とか踏ん張って倒れない。


「これだけでは足りない。じゃあ、これでどうだ!」


 私は即座に風の魔法を構築し、ゴーレムの足元に送る。踏ん張っていたゴーレムの足は今度こそ地面から離れ、ゴーレムは派手に倒れる。そこを狙い、構築していた水と雷の魔法を放つ。


「これで終わりっ!」


 ゴーレムの体全体を水で潤わせ、そこに雷魔法を放つ。水は電気を良く通す、という誰もが知っている知識を使ったものだ。そして、その認知度に恥じないくらい、その威力は凄まじい。


「ウグゴオァァァ!」


 ゴーレムは呻き声を上げ、意識を手放した。その瞬間、私の心の中に罪悪感が生まれる。このゴーレムが昔魔王軍にいた、という理由だけで攻撃してしまった。このゴーレムからすれば、起きた直後に誰かもわからない奴に不意を打たれて倒されてしまったのだ。迷惑極まりない。


「お、よくやったな。まさか本当に倒せるとは思っていなかった。大したものだ。やはり魔女というだけあって、魔法の威力は凄まじいな。私も魔女だが。まあ、今回はよくやった……」


「ナルーシャ、私になんてことさせたのよぅ!」


 私はこの罪悪感をナルーシャに味合わせるべく、ナルーシャの体をぐわんぐわんと何度も揺らした。


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