転職魔女、基礎を学ぶ
「魔法には3段階ある。1番下が初級魔法、その上が中級魔法、1番上が上級魔法だ。お前には、初級魔法の基本であり、とても重要な魔法5つを教えてやる」
ナルーシャが指を鳴らすと、5つの塊が宙に現れる。赤く燃えているもの、青くぷよぷよなもの、黄色く轟いているもの、白く回転しているもの、黒く尖っているもの。
「この5つはそれぞれ『炎』、『水』、『雷』、『風』、『土』だ。まず、これを自由自在に出現させることが出来れば、次のステップだ。では、やってみろ」
「ナルーシャ、その魔法の詠唱は?」
私が発言した途端、ナルーシャは「は?」の言葉を丹精込めて練り込んだ表情を向ける。その後、ナルーシャは頭を抑えて溜め息を漏らすと、「そこからか……」などと呟く。
「いいか、この世界の魔法には2種類ある。詠唱魔法と無詠唱魔法だ。この5つの魔法は想像するだけで作り出すことが出来る。この5つの魔法『五大元素』を組み合わせて魔法を作り出すのが無詠唱魔法だ。しかし、詠唱魔法はその組み合わせが出来ないと喚くへっぴり腰でも、詠唱することで勝手に想像がつき、魔法を使用することが出来るのだ。だが……」
「わわわ、ちょっと待って! まだ頭の整理が……」
私は脳内の細胞をフル稼働させて情報を消化する。無事消化でき、ナルーシャにグーサインを出す。
「だが、詠唱魔法は無駄が多いため魔力の消費が激しく、詠唱している時間は隙だらけだ。確かに詠唱さえすれば簡単に魔法を使用することが出来るが、簡単な魔法ではまず使わない!」
「な……なるほど……」
私は詠唱魔法を使うように、体内から魔力を取り出す。が……
「違う!」
「ち、違うの!?」
「その魔力は唯の魔力。魔法を色々な物質に変化させる、即ち構築するには、体内でその作業を終わらせておかなければならない。魔力を取り出す前に魔法を構築しておくのだ!」
「え……えと……こうして……こうして……」
「違う!」
こ、この人スパルタだぁ!
ナルーシャ先生の愛情たっぷりスパルタ魔法指導は丸2日続いた。(眠ることすら出来ませんでした……)
そして……
「はぁぁぁぁ……はぁっ!」
私が腕を振り上げると、地面から高さ10メートル程の大きな岩が現れる。
「やったやった! 出来ました!」
私は岩の上で踊り回り、10メートル下のナルーシャに手を振る。今振り返ってみれば、盗賊を追い払った周辺を吹き飛ばす技も、無意識に無詠唱魔法を使っていたのかもしれない。
私は岩から飛び降り、それをナルーシャが受け止めてくれる。
「レイカさん、やりましたね!」
「流石レイカです!」
「レイカ、お祝いに1杯飲みましょー!」
応援してくれていたファーナさん、ユイちゃん、シャネルが褒め言葉を送ってくれる。
「よし、じゃあ今夜はパーティーに……」
突然、地鳴りのようなものが聞こえ、とんでもない圧力がかかる。私は不意に空を見上げた。その瞬間、私は腰が抜けて、その場で尻もちを着いてしまった。
「何、あれ……?」




