転職魔女、泳ぐ その1
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ナルーシャは腰の鞄から黒い水着を取り出す。触り心地も良く、ちゃんとした水着なのだが……
「何でビキニなの!? 面積も小さいし……」
「希少な素材なのでな、水着があるだけ良いであろう? それとも、要らないか?」
「きっ! 着ますよ、着ますから!」
私は黒いビキニを強奪する。やはり面積が小さく、着るのにはかなり抵抗がある。全く、かつて男達に絡まれたこともあった魔女の衣装といい、ナルーシャの趣味ではないのか! と不満を心の中で唱える。
「お前の今の服装も貴重だからな。私が預かっておいてやる。早く着替えろ」
「えぇーっ! ここで着替えるの!?」
「ああ、そうだ。早くしろ」
そうだ、って……確かにここへは誰も来ないだろうが、それでも外で着替えるというのは、女性の大切な何かを失くしてしまいそうだ。
「うぅ……」
私は呻き声を漏らして顔を赤らめながらも、服を脱いでいく。ロングコート、ワンピース、ミニスカート…………下着姿になった私は、チラッとナルーシャの表情を確認する。
私はナルーシャの表情に目を疑った。なんと、ナルーシャは恥ずかしがる私を見てニヤニヤと笑っていたのだ。私と目が合ったナルーシャは、急いだ素振りで後ろを向き、顔を隠した。
この瞬間、私は確信した。
ドSだぁぁぁーーーー!!
人が野外で服を脱いだり、変な衣装を着せて街を徘徊させて恥ずかしがる様子に興奮するSの人だ! それも女の子好きの! レズの!
私は心の中で叫びながらビキニに着替えた。
「私は別件があるので、失礼する」
ナルーシャはこちらに顔を向けず、私の服を回収してどこかに行ってしまった。私はナルーシャの性癖にドン引きしながらも、シャネル達の元に向かった。
それから10数分後、私達が海で泳いでいると、ナルーシャの声が後方から聞こえた。
私たちは同時に後ろを振り向く。と、その瞬間、シャネルが声を出した。
「ファーナさん! それに、皆さん!」
「私を置いて海に行くなんて酷いですよ」
ナルーシャの隣に並んでいるのは、ファーナさんと王女様、ヘレンにセルフィーさんだった。ナルーシャが皆のところに出向き、連れて来てくれたようだ。全員水着を着用しており、海に入る気満々である。
「皆で泳ぎましょう!」
ファーナさん達は大きな水飛沫を上げて海に飛び込む。
「では、あそこの岩まで1番速く泳げた人が勝ちです! それでは、よーいドン!」
シャネルの声に合わせて、200メートル程先にある岩目掛けて皆が泳ぎ始める。初めの50メートル程進んだところで、順位がはっきりしてくる。
先頭からファーナさん、王女様、私、ヘレン、セルフィーさん、シャネル、ユイちゃんの順だった。
「私は、泳ぎが……苦手ブク……なんですブクブク……」
ユイちゃんが沈んでいく。私は急いで助けようとするが
「命に危険があれば私が救助する! お前達は勝負に集中しろ!」
というナルーシャの声が聞こえたので、私は再び泳ぎに専念する。やはりドラゴンは運動神経が良いのか、ファーナさんはどんどん加速していく。
「王女たる者、日々の訓練を欠かさないのは基本、泳ぎなんて余裕のよっちゃんです!」
そう告げると、王女様も加速していく。私も必死に2人に食らいついていく。いつの間にかヘレン達はいなくなっていて、ファーナさん、王女様、私の3人の戦いになった。




