転職魔女、パーティーに勧誘される
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「魔力の暴走? 何だそりゃ?」
「魔晶石は触れた人の魔力を強制的に吸収して、それを波動で放出するんです。そして、レイカさんから吸収した魔力が濃厚すぎて、魔晶石が放出する前に破壊されてしまったんです」
「シャネルさん、魔力って何ですか?」
「魔力は全ての生命体の体の中に流れています。魔力を消費して魔法を使う事も出来ます」
魔法はよく知っている。王宮に呼ばれる前の子供の頃は、魔法に憧れて国立図書館に足を運んだものだ。
「皆さん、これを見て下さい」
シャネルさんはカウンターから薄い板のような物を取り出し、頭上に上げる。
「これは、魔晶石から放出された波動を読み取り、能力値を数値にする機械の画面です。莫大な波動のせいで計測は途中で止まってしまいました」
シャネルさんが話した途端、冒険者達が次々と口を開く。
「う、嘘だろ?!」
「こんな数値、有り得ねぇ……」
「この子の服……やっぱエロい……」
ごく一部を除いて冒険者達は画面に釘付けになる。かなり戸惑っている様子だ。
「画面の数値を読み上げます。俊敏力:300、筋力:130、耐久力:520。体力:1000」
シャネルさんが体力の値を読み上げると冒険者達は驚きの声を上げた。
「重要なのはこれです。魔力:360000000!!」
明らかに桁が違うデタラメのような数値に、誰もが呆然とする。
「一般人の平均は各能力値500程です。冒険者の平均でも合計3800程、魔王討伐の為に召喚される勇者様でも10000程度です」
私は予想外の出来事に驚きつつも、ヘインを奪ったあの女勇者より能力値が高いことに嬉しくなる。
「このお嬢ちゃん、人間じゃねえよ!」
「まさか……魔王?!」
「……このエロさ……半端ねぇ」
冒険者達が私のことを化け物扱いするので、私は全力で否定する。
「私は人間です、信じて下さい!」
「そうです、レイカさんは正真正銘人間、魔晶石は人間の魔力しか吸収出来ません」
シャネルさんが私の人間証明をしてくれる。すると、冒険者達の言葉は化け物から勧誘に変化する。
「レイカちゃん、人間でそんなに強いんなら俺らのパーティーに入ってくれよ!」
「いや、レイカちゃんが入るのは俺たちのパーティーだ! ご馳走するから、ね?」
「(エロいので)うちのパーティーに入って下さい!」
反射的にエロ目的のパーティーは断ったが、他の冒険者達が近づいて来る。シャネルさんが止めようとしてくれるも、それだけでは抑えられない。
遂に先頭が私の目の前まで来てしまった。
「「「さあ、うちのパーティーへ!」」」
「あ、あのっ……」
私はお腹に力を込め、全力で叫ぶ。
「私は冒険者にならないので、お断りしますっ!!」
「「「うわああっ!」」」
私が叫ぶと周りにいた冒険者達は全員吹き飛ばされ、ギルドの壁に衝突した。
予想外の事態に私は困惑する。
「え? 何で皆吹き飛んだの?」
「レイカさん、ちょっとこっちに来て下さい!」
私はシャネルさんに手首を握られ、『関係者以外立ち入り禁止』の部屋へ強引に連れていかれてしまった。