転職魔女、思い出す
「ヘレンが言っていたユイさんですね! 事情は聞いています、誠に申し訳ありませんでした」
出会って直ぐ攻撃! を予想していたであろうユイちゃんは、突然王女様の謝罪を受けてポカンとして放心状態に陥っている。数秒後に我に返ったユイちゃんは、「い、良いですよ」と戸惑いながらも言葉を返す。
私達がラルドーラ王国を発った後、ヘレンが王女様に事情を説明し、説得してくれたのだろう。
偶には役に立つじゃん! とヘレンを褒めようとしたが、そうするとまた調子に乗るので止めておいた。
私はビージュさんとレインさんが首を傾げていることに気づく。
「さっ、じゃんじゃん飲みましょう!」
説明するとまた色々面倒なので、私は大きな声で誤魔化して空いているコップにお酒を注いだ。
楽しい時間は直ぐに終わりを迎え、夕焼け空の下で裏世界へと戻っていくビージュさんとレインさんに手を振った。
「フゥー、楽しかったぁー」
私はリビングのソファに腰掛けると、机の上にぽつんと置かれたコーヒーに手を伸ばす。コーヒーを啜りながら、偶然ニュース番組を映していたテレビに目を向ける。
『速報です。ファルオード王国にて召喚された女勇者様・カリン=シノハラがラルドーラ王国に宣戦布告と思われる発言をしました。女勇者様は、ラルドーラ王国には魔女がいる、と発言しています』
「ブッ……ケホッケホッ!」
私は思わずコーヒーを吹き出してしまった。そのせいでコーヒーが気管に入り、豪快にむせてしまう。
テレビ画面上部には『ファルオード王国の女勇者 ラルドーラ王国に宣戦布告。ラルドーラ王国に魔女がいると発言』と映っていた。
画面は変わり、あの憎たらしい王女様の顔が大きく映った。
『ラルドーラ王国にはレイカ=フレーアールンという魔女がいます。私達ファルオード王国はこれを軍事兵器の秘密所持とみなし、軍事兵器をファルオード王国に譲渡することを要求します。もしそれが出来ないのであれば、少々強引な手を使わざるを得ないかもしれません。以上!』
画面は変わり、先程のニュースキャスターの姿に戻る。
「これは不味い……あっ!」
私はふと思い出した。この家が誰かによって荒らされていた時のことを。あの時は未だ犯人に挙げられていたアサシンが災害だと分かる前であり、アサシンの行いだとして解決されていた。しかし、アサシンが災害だったのなら、一体誰がどうしてやったのだろうか。
そう言えば裏世界に現在も過去も未来も見ることの出来る鏡が存在するとファーナさんが言っていた。その鏡を見れば分かるかも──と思ったところでインターホンが鳴った。
私は急いで玄関に移動し、ドアを開く。ドアの向こうにいたのはナルーシャだった。
「少々遅くなってしまったな。デパートに行ってきたのだ。ほら、お土産のアイスも……」
「あっ、丁度良かった! ナルーシャ、裏世界に飛ばすことって出来る?」
ナルーシャは取り敢えず大量の荷物を床に置き、私の質問に返答する。
「世界が違うから裏世界に飛ばすのは出来ないが、エルフの森の泉に飛ばすことは出来る。だが、一体何故裏世界ヘ行くのだ?」
変な終わり方になってしまい申し訳ありません!




