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転職魔女、裏世界を救う

評価ありがとうございます!

 

「この地に宿りし銀翼の神よ、邪悪たる破滅の魔神から世界を護らんとする為、姿を現せ! その美しい銀翼の抱擁で、この世界から愛を再び蘇らせよ! 『聖なる抱擁(フォーリー・ハグ)』」


 ナルーシャが詠唱を済ませると、赤く染まっていた空が白い光に飲み込まれる。赤い霧は光を浴びると跡形も無く消え去る。その白い光はまるで神様が世界を抱擁しているようで、とても暖かく心地よい感覚だ。


 これで裏世界は救われた……

 私は安堵すると目を閉じて、少しだけ眠った。


 ■


「さて、裏世界の災害は無事止めることが出来たが、あそこに倒れている女といい、この災害で命を落としてしまった者は多いはずだ。蘇生するか?」


「そ、蘇生って……そんな事出来るの!?」


「ああ、勿論出来るさ。ただそれでは私の利益が無い、ギブアンドテイクといこうじゃないか。そうだな……表世界へ行った時、住まいが無くては困る。だから、お前の家に住まわせろ」


 無理難題を出されるのではないかとヒヤヒヤとしていた私は、そんな条件で良いのか! と内心で喜ぶ。


「全然良いよ!」


「よし、では契約成立だが……誰を蘇生させる? お前の友人のユイ=ゴーストで良いのか?」


「うん!」


 どうやらナルーシャは魔法を使う時に指を鳴らすのが癖らしい。今も指を重ねて鳴らそうとするが、直前で止めて私に質問する。


「本当にユイ=ゴーストだけで良いのだな?」


 私は少し考えた後、意志を固めて返答した。


「いや……」


 ■


「「「ええーー!! ルーラーまで蘇生しただって!?」」」


 合流したシャネル、ビージュさん、レインさんは同時に声を上げる。


「一応ドラゴンさん達も蘇生したけどね」


 私の補足には誰も耳を貸さず、シャネルはギャーギャーと騒ぐ。


「それでも敵を復活させるって……どれだけお人好しなのよ!」


「それはもうお人好しじゃなくて唯の馬鹿」


「も、もう2人とも落ち着いて! レインは言い過ぎ!」


「私も初めはそんな気なんて無かったです。でも、やっぱり誰かの命を奪うのは違うと思うの。だから、今回だけは許して、お願い!」


 蘇生されて元気になったユイちゃんは私達のやり取りを聞いて何とも言えない表情をしている。その横でナルーシャに縛られているルーラーとサーニャは、不服そうな顔をしていた。


「……今回だけだからね」


 シャネルは溜め息を漏らすと、ナルーシャの話を切り出す。


「それで、一体何者なのよ、この魔女は」


「それは私も知らなくて……前まで知っていた気がするんだけど……」


「私は私個人の事は余り知られたくないのでな、お前の頭の中に入っていた私の情報も全て消去してある。だが、私が先代の魔女であることは確かだ。それ以外に教えてやる気は無い!」


 本人が教えたくないと言っているものを力ずくで聞き出そうとは思わない。皆もそのつもりらしく、その話を掘り下げようとする人はいなかった。


 でも、大体は理解出来る。きっと魔女の宿命はこの裏世界を救うことなのだろう。でないと、わざわざ情報を伝えたり、魔女にしか解くことの出来ない仕掛けを作ったりする理由が分からない。


 私は魔女としての宿命は果たせた。これで肩の荷が降りた。だから……これからはスローライフを満喫せねば!

 私はもう何度目かも分からない意志を心に刻んだ。


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