転職魔女、復活する
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私が目を覚ましたのは、意識を失った10秒後だった。
私は水の中にいた。私の周りには半透明の魚が泳いでいる。自然と息はでき、苦しくない。手を握ったり開いたりして、自分に異常がないか確認する。
「上を見ろ、レイカ=フレーアールン」
どこからか少女の声が聞こえる。指示に従って顔を上げると、そこには14歳程の少女がいた。両耳に付いたイアリングと少女の赤い眼が水中で輝く。
「初めましてだな、魔女レイカ=フレーアールンよ。私の名はナルーシャ=ネクロン、同じく魔女だ」
ナルーシャはこちらに降りてくると、私の背中を触る。
「ふう、私が間に合ってなければ間違いなく死んでいたぞ。ここの傷口から裏世界の霧が体内に入り込み、やがてお前を殺す」
私はナルーシャの言葉のおかげで大事な事を思い出す。
「はっ、私災害を止めなくちゃ……!」
「そうだな、はやく止めなければ裏世界が滅びてしまう」
「何とかしなくちゃ……」
私はここから出る手段を探すが、何も見つからない。まず、ここが何処なのかも分からない。私が頭を捻っていると、ナルーシャは私の疑問を察して口を開く。
「この世界はお前の空想だ、お前と私以外は全てお前の空想だ。この水も、魚達もな」
そういってナルーシャは近づいて来た魚に手を当てる。
「さあ、レイカ=フレーアールンよ、裏世界を助けたいのなら強く思え! ここから出たいとな。現実へと繋がる扉を想像するのだ!」
「わ……分かった!」
私が目の前に扉を想像すると、本当に想像した通りの扉が現れる。私はその扉を力一杯押して開けた。
「私は一足先に、現実に戻っているぞ」
ナルーシャはその言葉を残して跡形もなく消えるが、私はその事を気にせず扉の外へ向かった。
■
「会いたかったです、魔女様!」
パチッ
私は目を開ける。周囲を見回すと、目の前には腕を地面に付けたファーナさんが、横にはナルーシャがいた。背中の痛みは消えている。
「あれ? 魔女様? どうして……」
「どうしてって……いや、私も分からないですけど、今会いたかったですって……」
「私が説明しよう。率直に言うが、私も魔女だ。厳密に言えば、レイカ=フレーアールン、お前の先代の魔女ということになるな」
「えっ、ナルーシャがせ、先代の魔女!?」
いかにも、と放ったナルーシャは指を鳴らす。すると空中に青い水晶玉が現れ、ナルーシャは水晶玉を覗く。
「ふむ……ゆっくりと説明したいところだが、そんな時間は無いようだ。裏世界がそろそろ不味い」
ナルーシャは赤く染まった空を見上げる。そうだ、一刻も早く裏世界を救わなければ!
「早く魔法を詠唱しないと……」
「いや、お前は唱えなくても良い。魔力消費1億は今後の生活に困るだろう。私なら魔力消費0で魔法を唱えられる」
「「ゼ、ゼロ!?」」
「ああ、魔女だけに出来る芸当だ。いずれお前にも教えてやる。だが、取り敢えず今は裏世界を救うのが優先だろう?」
「う、うん!」
ナルーシャは目を瞑ると、手で変なマークを作り上げた。




