転職魔女、能力値を測る
「では、次はギルドですね!」
家の購入手続きは時間がかかるらしいので、その間に冒険者ギルドへ行く事になった。馬車で移動している最中、物件を見にも行かずに購入したのを話すと、流石に驚かれてしまった。
馬の鳴き声と共に馬車が止まると、私達はお金を払って降りる。
「ここがギルドです」
建物は木で出来ていて、カーネル不動産程では無いがかなり大きい。木製の看板には『冒険者ギルド』の文字が大きく彫られている。
ギルドの中に入ると、沢山の冒険者らしき人達で賑わっていた。飲食店や酒場が幾つか並んでおり、そこから少し離れたところにカウンターが設けられている。
「冒険者ギルドというのはダンジョンに出て来る魔物と戦う冒険者達の広場のようなものです。カウンターで登録して頂くと、給料をこちらで渡したり、設けている格安の飲食店も使用する事が出来ます」
私は冒険者が給料制である事に少し驚く。
冒険者は自由奔放に世界を旅しているイメージなので、少し意外だ。
シャネルさんはカウンターに近づいていくと、はめ込まれている水晶のような物に触れる。
「これは"魔晶石"と言いまして、魔晶石は人が触ると特有の波動を出すんです。その波動を機械で読み取ると、あら不思議! 触った人の能力値が分かるんです」
「能力値って?」
「その人の強さが数値で表されているものです。私はギルドの受付や案内係をしているって言いましたよね? 毎日この魔晶石の近くにいると、いつの間にか人の能力値が分かるようになっていて、この人は少ないなぁとか、あの人は多いなぁとか分かるようになってしまったんです」
「シャネルさんがそんな神業を持っていたなんて……驚きです!」
「そんな、神業なんて大袈裟ですよ。分かると言っても正確な数値は分かりませんから。それで、時々入国門に足を運んで、冒険者をこのギルドに案内出来るよう探しているんです。レイカさんは能力値が高いと感じたので冒険者と思ったのですが、違ったようですね」
不動産屋に向かっている時に冒険者と疑った事もそれが理由だったと言う。
「もし良かったら触ってみますか?」
「良いんですか? 是非!」
私は魔晶石に近づき、少し期待しながら掌で触れる。
すると魔晶石が強く光り出す。その光はギルド全体を包み、食事中の冒険者達は驚きの表情で魔晶石と私を見る。
「何ですか、この光は? 魔晶石が光るなんて今までで一度も……」
ピキッ!
魔晶石に亀裂が走る。その数秒後、パリンという爽快な音と共に波動のようなものが私の体に直撃する。
「きゃあっ!」
吹き飛ばされて魔晶石から手が離れると、じきに光は収まった。
光が収まってからしばらくは沈黙が続く。
「ま、魔晶石が……割れた……?」
シャネルさんがやっと口を開くと、ポカンとしていた冒険者達が次々と話し出し、魔晶石と私の周囲を冒険者達が囲む。
「誰だ? こいつがやったのか?」
「魔晶石が割れてるところなんて初めて見た!」
「……この子の服……エロいな」
冒険者達は色々な感想や疑問を吐き出す。逃げ場が無いこの状況に困惑していると、シャネルさんが群衆を掻き分けて私の所までやって来た。
「辞めてあげて下さい! レイカさんが困ってます!」
「おお……シャネルちゃん、それはすまんかった」
冒険者達は素直に私から離れてくれる。
「だが、さっきのは何だったんじゃ?」
「あれは……魔力の暴走です」
その言葉にシャネルさん以外の全員が首を傾げた。
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今回はシャネルの補足話を載せておきますので、是非ご覧ください。
補足話:シャネルの初期設定はラルドーラ王国の王女様でした。つり目で、美しいと言うよりはカッコイイ感じで、いつも黒服の3人の男が護衛をしています。
男達の名前はゴリラー、サイマン、ダチョーです。