転職魔女、裏世界に到着する
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泉へ飛び込んだ瞬間、私は強力な何かの力によって下へ下へと吸い込まれていく。きっとこの感覚は他の皆も一緒だろう。不思議と息はできたので、私達はその力に抗わずにゆっくりと進む。
下に進むにつれ力は弱まっていき、やがてなくなってしまった。その瞬間、泉の水は跡形もなく消え去り、代わりに何処までも続く地平線と、複数の空を飛ぶ影が現れる。
「もしかして、ここって……」
「はい、間違いありません!」
「何処までも続く地平線、沢山の空飛ぶドラゴン……ファーナさんの言ってた通りだよ!」
「「「来たぞー、裏世界ー!」」」
私達は盛大に叫ぶが、サーニャだけはノリに乗ることが出来ずぽかんとしている。
裏世界に無事着くことが出来て安心したのも束の間、近くを飛んでいた数匹のドラゴンがこちらに気づき、物凄いスピードで飛んできた。
裏世界での初めの会話の内容によって、これからの私達の運命が決まる。上手く説明出来れば災害を止めるのを手伝ってくれる可能性もあるが、下手なことを言ってしまえばその場で殺されてしまう可能性もある。
そんなことを考えている内に、ドラゴン達は私達の目の前で着陸する。緑色の鱗を持ったドラゴンと、黒と水色の鱗を持ったドラゴンの2人(匹)だった。緑色のドラゴンが、ギラリと輝く牙の生えた大きな口を開いた。
「初めまして、レイカさんにシャネルさんにユイさんにサーニャさんですね。よくぞ裏世界にいらっしゃいました」
私はその一口で噛みちぎられてしまいそうな大きな口から放たれた言葉に動揺を隠せない。
「はい、初めまして。でも、な、なんで名前を……?」
「レイカさんもご存知でしょうが、鏡でレイカさん達の行動を見ていました。なので、ファーナのことも災害のこともほとんどのドラゴンが知っていますよ」
災害について説明する工程が省かれたので良いのだが、見られていたというのは少し恥ずかしい。
すると、黒と水色のドラゴンがようやく口を開く。
「私はレイン=ベールドラゴン、横のこの子はビージュ=プランドラゴン。よろしく……」
レインさんはそうとだけ言うと、口を閉じてフイとそっぽを向く。
「すみません、この子はいつもこんなので、敬語も使えなくて……」
「いえいえ、大丈夫です。レインさん、ビージュさん、よろしくお願いします!」
レインさんが私の発言を耳に入れた瞬間、物凄い形相で私に顔を近づける。
「お前、何ビージュをさん付けしてんの? ビージュの名前を呼んでいいのは私だけだから! あんたは神様とでも呼びなさい!」
「「「は、はい……」」」
怒られていない皆さえも返事をしてしまうような鬼怖い迫力を見せつけた後、レインさんはバサッバサッと飛んで行ってしまった。
「あっ、こらっ! 皆さん、本当にすみません……」
「あはは……」
苦笑いさえもろくに出来ない引きつった顔を何とか解し、ビージュさん──いや、神様に質問する。
「神様、裏世界での状況を詳しく教えて頂けませんか?」
「それは良いですけど、神様は止めてください、恥ずかしいので……」
早くも神様呼びが破棄されたことに私は少し安心して、ビージュさんの言葉に耳を傾ける。
「実は……ファーナが裏世界を出た次の日、私達は裏世界から出られなくなりました」




