転職魔女、エルフクイーンと談笑する
「……私、実は魔法を上手く使えないんです。エルフクイーンって呼ばれてますけど、剣を振ることしか出来なくて。なのに……私よりもこんなに小さい子があんな凄い魔法を……!」
小さい子、というのに不快感を覚えたらしいユイちゃんは、フンと顔を横に向ける。
「ユイちゃんって、正確には何歳なの?」
「私は……2080歳ですけど……」
「「ええーっ!?」」
「どうですか? 少しはユイの凄さが分かりましたか?」
ユイちゃんは今度は手を腰に当てて威張ろうとするが、その姿が可愛くて私はついにやけてしまい、それに気づいたユイちゃんはまた不機嫌になってしまった。
「セルフィーさんは何歳なんですか?」
「私は今年で120歳になります。エルフの寿命が300年程なので、人間の寿命で換算すると……30〜40歳くらいですかね?」
「それでも私の2倍っ!」
「エルフの寿命はかなり長い方だと思うのですが……ユイさんはゴースト族ですよね? ゴースト族は寿命が長いと聞きますが、流石に寿命2000年を超える種族は……」
「私はある特別な人間から生まれたので、特別寿命が長いのです。ゴースト族の平均寿命は500歳なので」
特別な人間。私はとても気になったが、そのことを話していたユイちゃんの表情があまり良くなかったので、これ以上掘り下げるのは止めておくことにした。
「レイカ、コレ見てー!」
私達が談笑していると、先程飛び出していったシャネルが両手に紙袋を持ってこちらに走って来た。
シャネルが私達のところに着くと、そそくさと紙袋から何かを取り出し、私に見せる。
「レイカ、このマークに見覚えない?」
それは、横三角に三日月のついたマークが刻み込まれた、黒く澄んだ石だった。
そして、シャネルの言った通り私はこのマークに見覚えがある。
「これってもしかして……!」
私は頭に被っていた帽子を外す。そして、その帽子の端には私の思った通り、シャネルが渡してきた石と同じマークが刻まれていた。
「うん、それは多分魔女のマークだと思う。レイカじゃない方の魔女のマーク」
「なるほど……」
よく思い返してみると魔女の本にもこのマークが書かれてあった。あまり覚えていないが、転職の書にも書かれてあったのかもしれない。
「えっ、どういう事ですか? 魔女ってあの神話の?」
あ、そういえばセルフィーさんに伝えるのを忘れていた。
「言い忘れていましたが、私魔女なんです」
「……は?」
セルフィーさんは少し遅れて私の発言を理解すると、何言ってんだこいつ? と心の声がこもったような「は?」を繰り出した。
「黙っていてすみません、もっと早く言うべきでした」
「え? 本当の事ですか? 冗談じゃなくて? 魔女? どういう事!?」
リアクションを期待しているシャネルとユイちゃんは、ニヤニヤとセルフィーさんを見つめる。その視線と表情に気づいたセルフィーさんは、何故か一瞬真顔になった。
「へえ、魔女なんですか……凄いですね。……あー、私は少しお手洗いに行きたくなってきました。では、エルララ村をお楽しみ下さい」
セルフィーさんが歩いていった方向から飛んで来た叫び声は聞かなかったことにして、私達はエルララ村を散策した。
明日は休載致します




