転職魔女、エルフの村に案内される
「エルフクイーンとは、エルフの中で1番戦闘能力の高いエルフが与えられる称号です。つまり、最強のエルフです」
ユイちゃんが私達の疑問に素早く答えてくれる。
「このエルフの森は私の故郷で、今丁度帰省しているところなのです。タイミングが悪かったようですね、ルーラー」
エルフクイーンはルーラーと呼ばれる者に対して腰にかけていた剣を抜き、躊躇無く構える。
「エルフクイーンにユイネル……これは分が悪いな、一時撤退しよう」
そう言い残すと、ルーラーは伸びている仲間を放って姿を消した。同時にエルフクイーンが群青色の剣を収める。
「逃がしましたか……まあ、いいでしょう。ところで、貴方達は何故ここへ? 返答次第では斬ります」
「ひえぇ」と漫画のような声を出して腰を抜かすシャネルを見て、私がもっと頑張らなくちゃ! と意志を固める。
私は堂々と立ち上がり、岩場から離れてエルフクイーンに近づく。エルフクイーンの剣の間合いに入らないよう注意しながら、エルフクイーンとの交渉を試みる。
「あのっ、私達は裏世界というここと別の世界を助ける為に来たんです。そのためには裏世界と繋がっている泉を探さないといけなくて、それがこの森にあるという情報があり、ここへ来ました! ちなみに、さっきの人達には勝手に攻撃されただけで、何も知りません!」
「あの……何を言っているのかさっぱり分からないのですが……」
そんな……私の脳細胞全てをフル活用して頑張って説明したのに……
自分の語彙力の無さを改めて感じ、ガーンと鳴り響く脳内を必死に活用し何度も説明して、ようやく理解してもらう事が出来。(途中ユイちゃんがフォローしてくれました)
「……なるほど、そういうことなら構いません。どうぞ森へお入りください、案内します」
「信じてくれるのですか?」
「はい、嘘を言ってるようには思えませんし。あと、万が一の事があってもこの剣で斬るまでですから」
腰の剣を2回ほど軽く叩くエルフクイーンに、先の戦闘よりも遥かに強い恐怖心を覚える。
私達は森へ入り、エルフクイーンの後ろをついて歩いていく。
「私はセルフィー=エルフと言います。セルフィーで良いですよ」
「私はレイカ=フレーアールン、後ろの私と同じ歳くらいの人がシャネル=リースン、小さい子はユイ=ゴーストです。セルフィーさん、改めてよろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ。しかし、ゴーストを連れているというのは珍しいですね。それもとても可愛らしい……」
「ですよね! とっても可愛いですよね!」
「可愛いって言わないでください! レイカより歳上なの忘れてませんか?」
「あ、そうだった……」
セルフィーさんは私とユイちゃんの会話に笑顔を見せた。それはとても美しくて、私は思わず見とれてしまった。
はっ! と現実に戻ってきた私は、ところで、と話をきりだす。
「さっきセルフィーさんと話していたあの女の人は誰だったんですか?」
「ああ、ルーラーのことですね。彼女は……」
「あっ、セルフィー! さっきの嵐は大丈夫だった?」
突然、金髪の女性が現れ、セルフィーさんに抱きついた。
「サーニャ、大丈夫だったわよ。それより、客人の前だから、そういうのは止めて」
「あっ、ごめんなさい……」
その女性は私達の存在に気がつくと、セルフィーさんから離れ、段々と後ずさる。
「すみません、ここのエルフ達は人見知りなので……」
そう言って前に歩き出すセルフィーさんの後をついて行くと、今まであった周囲の木が無くなり、代わりに家と沢山のエルフ達が現れた。
セルフィーさんは此処ぞとばかりにありがちな台詞を放つ。
「皆さん、エルララ村へようこそ!」




