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転職魔女、ラルドーラ王国を発つ

ブクマ&評価ありがとうございます

 

「はああっ!」


 王女様は一切の躊躇無くユイちゃんの懐に飛び込み、斬撃を繰り出す。ユイちゃんはどうにか剣を避けると、即座に魔法を唱える。


「我に純白なる翼を与えよ『瞬きの翼(ジャステラ・ウィング)』!」


 王女様が次の斬撃を繰り出す前に、ユイちゃんは背中に翼を生やして空中へ逃げる。


「ちっ、降りてこい、卑怯者!」


「王女様、取り敢えず話を……」


 駄目だ、止められない。

 王女様は今もユイちゃんに向けて何度も斬撃を飛ばしている。ユイちゃんはまだ全ての斬撃を避けているが、いずれ当たってしまうかもしれない。


「一時の眠りにつけ『入眠波動(スリープ・ウェーブ)』!」


「うっ……」


 王女様は剣を下ろしてフラフラとその場を歩いた後、膝から倒れて眠ってしまった。ユイちゃんの魔法の効果のようだ。

 ヘレンは倒れた王女様に駆け寄り、ユイちゃんに魔法の効果の説明を求める。ユイちゃんは床に足をつけて翼を消す。


「この魔法は一時的に眠らせる魔法です。王女様は1時間程で目を覚ますと思います。さあ、今のうちにここを出ましょう」


「ちょっと待って下さい!」


 ヘレンが立ち去ろうとするユイちゃんの腕を握って引き止める。


「王女様に説明せず出発するんですか? 王女様はきっとあなたを死に物狂いで探しますよ、もしかしたらあなたを倒せなかったことで……自害してしまうかもしれません。そういう人ですから。でも……それはちょっと無責任過ぎませんか?」


「……では、ヘレンが王女様に説明してくれる?」


「……すみません、俺は着いて行けません」


 ユイちゃんは無言のまま出口に向かっていく。ヘレンは眠った王女様の傍で座っていた。


「ちょっとヘレ……」


「シャネル!」


 私はヘレン達を呼ぼうとするシャネルを止める。この2人の問題なのだ。私達が手を出していいものでは無い。

 王女様に魔王軍のスパイだと言われていた時、ユイちゃんはとても悲しいような、虚しいような顔をしていた。きっと、こういう風に人間からも魔物からも蔑まれ、敵対されて来たのだろう。


 私とシャネルはユイちゃんの後ろをついて行き王宮を出て、商店街にて食糧や鞄を購入して、馬車で南の王国門へ向かった。


 ■


「よし、出ていいぞ」


 ラルドーラ王国を出た私は、少し感傷に浸りながらファーナさんとヘレンが居る王国の方を振り返る。

 2人もチームから抜けるのは随分寂しいな、と思いながら、目的地の方向に続いている舗装されていない道を少しだけ歩く。


「さて、もう門番達からも見えないだろうし、魔法の絨毯を開こう」


「そうですね」


 ユイちゃんはもう一度小さくする魔法をかけた魔法の絨毯をポケットから取り出し、元の大きさに戻す。


「それでは、今から絨毯を操作する練習ですね」


「そうだけど、ちょっと休もうか」


「……そうですね」


 いつもは時間がもったいないと言って滅多に休もうとしないユイちゃんも、珍しく休むのに賛成する。

 地面から半分飛び出している大きな岩に腰を下ろし、私は先程買ってきたペットボトルの天然水を取り出して、一気に飲みほす。


「っぷはぁ! 生き返るー」


「あの……レイカは寂しくないの?」


 私はシャネルの顔を見ずに口を開ける。


「寂しいよ。ファーナさんが眠ってることも、王女様がユイちゃんを誤解してることも、ヘレンが一緒に来れないことも、全部悲しいし、嫌だよ。でも、そう言って落ち込んでも仕方ない。私達には時間が無い。まあ、今休んじゃってるから矛盾してるんだけどね」


「……そうだね、私達には使命があるんだから!」


「そうですよ。さあ、レイカは練習です!」


 それからユイちゃんの地獄のような練習に食らいつき、やっとの事で魔法の絨毯を操作することが出来た。


ご覧頂きありがとうございます!

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