間話ー魔王城での出来事
今回は間話ですが内容はとても重要なので、是非読んで下さい!
「これより、魔王城成果報告会議を開始する!」
魔王の秘書である悪魔のヒリー=デビルの発言によって、席に座っていた3人の幹部達は一斉に起立する。
長方形のテーブルを囲んでいる者は、魔獣族のガウェイン=リザード、魔人のルーラー=リケイド、金髪のラテナ、そして1人豪華な椅子に座っているのが、魔王のマグマ=モルドスだった。ヒリーはマグマの傍で手元の資料を読んでいる。
「魔王様、此度もお姿を拝見することができ、ルーラーは幸せの限りでございます」
「ほう。では今、我が死ねと申せば死ぬか?」
「勿論でございます!」
マグマは少し黙ったあと、大きな声で笑い出す。
「ハッハッハ! 冗談はさておき、この半年の成果を聞こうか」
そのマグマの言葉を聞き、ラテナは誰よりも先に口を開く。
「私ラテナが先日祭りにて人間達を観察していましたところ、なんとあの魔女を発見致しました」
まっ、魔女だと? とガウェインは驚きの声を上げる。
すると、ルーラーがラテナの話を引き継ぎ、口を開く。
「そのことをつい先日ラテナに伝えられた私は、魔女を偵察しに行って参りました。仲間が3名ほど居ましたので、只今策を練っております」
「次の成果報告会議までには必ず殺せ。そして、我の力を解き放つ儀式の材料にするのだ!」
「御意っ!」
「では、続いては私ガウェインが……」
魔女の話は終わり、続いてはガウェインが話し出した。
■
「これにて、魔王城成果報告会議を終了する!」
ヒリーはそれを言い終えると、マグマと共にその場から消える。別の場所へ転移したのだ。ガウェインも退室し、会議室はラテナとルーラーだけになった。
「ルーラー、約束が違うではないか。お前がこの会議で魔女を連れてこられると言ったから任せたのたぞ!」
ラテナは髪に付けた金のかん刺しを抜き取り、ルーラーを目掛けて投げる。かん刺しの先は鋭く尖っており、断面がキラリと光る。
ルーラーはそのかん刺しを人差し指と中指で挟んで止めると、床に落とす。会議室にカランカランと鳴り響き、やがてその音も消えた。
「まあ、そう焦るな。これにはちゃんと訳がある」
「大した訳で無ければ……お前のその首を掻っ切るぞ」
ラテナの脅しに耳を貸さず、ルーラーは落ち着いた声で話し始める。
「お前の命令通り、透明化を使って魔女の偵察に行ったんだが、魔女の仲間らしき者の中で珍しいのが2人ほど居たんだ。1人は一昔前に魔王軍のかなり大きい部隊を1人で壊滅させた『鉄拳のファーナ』」
「なっ、鉄拳のファーナだと!?」
「そしてもう1人、ゴースト族のユイという名の少女だ」
「ユイ? 聞いたことの無い名前だが……」
ラテナは首を傾け、それは誰だ、と答えを催促する。
「こう言えば分かるか? 『創世の魔法使いユイネル』、遥か昔に突然現れ、そして姿を消した伝説の魔法使いだ。きっとユイネルに何らかの出来事が生じ、ゴースト少女になったと思われる」
「鉄拳のファーナに創世の魔法使いユイネル……強者ばかりではなないか、どうなってるのだ!」
「安心しろ。仲間同士で殺し合いをさせる魔法や、半径1キロメートルに及ぶ爆発の魔法の罠も張ってある。幾らユイネルでも防ぎようがない」
「そうか、まあお前がファーナに戦闘を挑んだところで秒殺だろうしな……」
その言葉を聞いたルーラーは一瞬でラテナの近くへ移動し、大きな刃をラテナの首に当てる。
「調子に乗るなよ、お前のような人間などいつでも殺せるのだからな?」
「フッ、殺れるものなら殺ってみろ。魔王様は忠実な人間が喉から手が出る程欲しいのだ。我を殺すとお前は間違いなく死刑だぞ?」
ルーラーはチッと舌打ちをうつと、荒々しく会議室を出ていった。
「……人間なんてとうに辞めておる」
ラテナは少し悲しげな声で1人呟くと、会議室を出ていった。




