転職魔女、魔法を見つける
ブックマークありがとうございます!
「邪悪なもの……それって災害は含まれるの?」
「大地震が起こった時に、この魔法を使って防いだことがあると書かれています。きっと大丈夫でしょう。しかし……」
「ヘレン、何か別の問題があるのですか?」
王女様は下を向いたヘレンの顔を覗き込む。
「実は……この魔法を使う魔力が、なんと1億も必要だと書いているんです」
「「い、1億!?」」
私と王女様は有り得ない数値に声を上げて驚く……ん? 有り得ない数値……私の魔力の数値って何だったっけ?
私は冒険者ギルドでの出来事を思い返す。
「あの、それは大丈夫だと思います。私、確か魔力3億くらいあったので……」
「「さ、3億!?」」
今度はヘレンと王女様が驚く。2人に冒険者ギルドで起きた事を説明し、取り敢えず、その赤い本を持ってみんなの元に1度戻ることにした。
王女様は次の仕事の時間が来てしまい、書庫を離れていった。
「あ、シャネル!」
1人で本棚を見ているシャネルを見つけ、声をかける。
「あ、レイカ、あとヘレンも。魔法は見つかった?」
「うん、ただ本当かは分からない。ここに書いてあるのが全部デタラメだったら……」
普通ならば1億もの魔力を持っている人は存在しないはずだ。私のような例外が現れたのか、それとも昔はそれが普通だったのか。
「私はまだ災害の情報の進展はないの。でも、ユイさんとファーナさんは何か見つけたかもしれない」
「おーい、レイカー!」
丁度いい所にユイちゃん達が来た。しかし、そこにファーナさんはいない。
「ユイちゃん、ファーナさんは?」
「確かあっちで本を探していたと思います」
ユイちゃんも情報は未だ見つけていないらしく、私達はファーナさんの元へ向かう。
「レイカは魔法見つかりましたか?」
「うん、ヘレンが見つけてくれたこの赤い本に載っていたの」
ヘレンが自慢げに胸を張り、魔法の情報を語り出す。
「その魔法は『聖なる抱擁』といって、どんな邪悪なものも消すことが出来るんです」
「『聖なる抱擁』……聞いたことないですね……」
ユイちゃんが知らないのなら、やはり嘘かもしれない。私が少し不安になっていると、前方にファーナさんの後ろ姿が見えた。
「あっ、ファーナさーん……?」
私はファーナさんに駆け寄るが、その途中で異変に気づき、歩みを止める。鋭い何かを感じる。これは……殺意!
「貴様が……貴様がやったのかぁ!」
その瞬間、ファーナさんはこちらに振り向き、怒声と共に私をめがけて突進してくる。あっという間に私の元へ辿り着いたファーナさんは、何かの魔法を早口で詠唱する。
次にファーナさんは拳を突き出す。その拳の肌色は瞬く間に黒色に変化し、拳からは蒸気が発せられている。
私は慌てて回避し後ろに下がるが、ファーナさんは一瞬にそれに追いつきまたも拳を突き出す。今度は回避することが出来ない。
……死んでしまう。そう覚悟して目を瞑った瞬間だった。
「『爆ぜる鉄拳』……!」
ファーナさんの拳は突然現れた謎のバリアによって跳ね返され、その勢いで体ごと飛ばされてしまった。その衝撃によってか、ファーナさんは床に倒れたまま気絶していた。




