転職魔女、王宮の書庫に行く
ブクマありがとうございます!
時刻は午前8時、私達は王宮の書庫ヘ向かっていた。
くじ引きで、私とヘレンは災害を止める魔法を、シャネルとファーナさんとユイちゃんは災害について調べることになった。
今朝聞いたところ、災害を止めるような魔法はユイちゃんも聞いたことがないらしい。
「着きました、お入りください」
すっかり敬語に抵抗が無くなったヘレンが、書庫への大きな門を開けた。中はどこを見渡しても本だらけ、天井は3階まで吹き抜けになっており、上の階にもびっしりと本があることが分かる。
「凄い量……!」
「ここには高価な本だけでなく、国内の図書館に置いてある全ての本を保管しています。災害の情報が得られるものの殆どは3階の奥の部屋にあります」
私達は3階への階段を上り、いかにも貴重な物を保管しています、と伝えてくる金庫のような部屋に入った。
「じゃあ、私達はあっちの方を見てくるから」
私はシャネル達と離れると、『魔導書』と書かれた本棚を見て回る。
「……やっと邪魔者が消えた」
「ん? ヘレン、なんか言った?」
「いえいえ、何も言ってないです!」
「? そう……」
私はヘレンの慌てっぷりが少し気になったが、今はそれどころではない、と忘れて魔法探しを再開した。
30分後。
「はあ……今のところ収穫なしか……ヘレンはどうだった? ってわあ!」
ずっと本棚と睨めっこしていた私は、少し疲れてきてため息をつく。私が振り向いてヘレンに手がかりの収穫を聞こうとすると、私の真後ろにヘレンは立っていた。
「……レイカさん、僕と付き合って下さい!」
「……は?」
私は跪いて意味不明のことを言うヘレンに、思考が追いつかない。呆気に取られて自然と出た第1声の5秒後、私はやっと理解する。
「え、急に何言ってるの!? それって本を探すのを付き合ってって事だよね?」
「違います、これは誠心誠意、愛の気持ちで放った言葉です。是非、結婚を前提にお付き合いを……」
ゴン!
突然ヘレンの頭上に現れた拳は容赦なくヘレンの頭を殴り、殴られた本人はぐはぁと声を上げてその場に倒れた。
「すみません。ヘレンは気に入った女性を見つけるとすぐにこうなるもので……」
「いえいえ、大丈夫でございます。それよりも王女様、何故こちらへ足を運んでくれたのですか?」
「仕事が予定よりも早く終わりまして。時間があるので、少し立ち寄ろうかと」
「それは有り難き幸せでございます」
私は王女様に礼をするが、それを見て王女様は少し怪訝な顔をする。
「レイカ殿は礼儀がよろしいようですが、何処かで習ったことがあるのですか?」
この質問からして、王女様の『真実の眼』は、前の職業(私の前の職業は貴族)や、本人の記憶は分からないようだ。
「はい、礼儀に関する本を読んで、少々勉強致しました」
「そうですか。それで、裏世界の災害について何か情報は得たのですか?」
「それが……」
「ありましたよ!」
私が王女様に未だ手がかりは無しだ、と答えようとすると、倒れていたヘレンが飛び起きて、赤い本を両手に持って会話に割り込んでくる。
「この本に載っている魔法『聖なる抱擁』は、世界に結界を張り、邪悪なものを消滅することが出来るそうです!」




