転職魔女、ナンパされる
「はあ、着いたぁ……」
私はラルドーラ王国の入国門の前で行列に並ぶ。
この門を抜けると、ラルドーラ王国の王都"メイメール"が広がっている。
太陽はとっくに顔を出して、露出している白い肌を攻撃してくる。
私はあまりの暑さにロングコートを脱ぐ。すると、火照っている肩からゴワゴワとした手の感触が伝わってきた。
驚いた私は反射的に変な声を出してしまう。
「お姉ちゃん、かなり大胆な格好してるね。俺達と少し遊ばない?」
振り返ると、明らかに悪そうな男達が私をいやらしい目で見ていた。
彼らは派手な色の髪をして、耳や鼻、唇にもリングを付けており、腕にはドクロや英語や変な模様のタトゥーがびっしりと入れられている。
身の危険を感じて男の手を振り払おうとするが、肩を強く握られ身動きが取れない。
「それにしても良いおっぱいしてんな、ちょっと触らせてくれよ」
男は私の胸へ手を伸ばしてくる。必死に逃げようとするが、男は決して握力を弱めない。怖くて声も出ず、目を瞑ったその時だった。
「やめなさい!」
突然の声に男の手は止まる。周囲から花の甘い香りが漂う。すると、男達の後ろから先程と同じ声が聞こえて来た。
「その女性から離れなさい、この下郎共が!」
男達は声を聞くとすぐさま後ろを振り返る。男達の体の隙間から長い髪が見える。女性のようだ。
男達はその女性の言葉が気に入らないらしく、獣のように鋭く睨みつける。
「おい、姉ちゃん。あまり調子こいてると痛い目会うぞ」
女性の一番近くにいた眼帯の男が、太い腕を動かして女性の腹部を殴ろうとする。が、女性はそのパンチを容易く避けると、とても太いとは言えない華奢な腕で眼帯の男の腹部を殴り返す。
「おごっ!」
眼帯の男は軽く吹き飛ばされ、白目を剥いてその場で倒れてしまった。
女性は眼帯の男から視線を離すと、私を取り囲んでいた男達をたちまち倒していく。女性がパンチやキックを放つ度に甘い香りが漂い、私は思わず見とれてしまう。
女性が男達を一人残らず成敗すると、私の方に歩いてくる。
「大丈夫ですか?」
女性は私に手を差し伸べる。その女性は白色のウールに赤のラインが入ったドレスを着ていて、手には白の手袋を着用している。栗色の髪をしていて、金色の髪飾りを着けている。
背が高くて顔は小さく、とても美人だった。
綺麗な人だなぁ、と私はまた見とれてしまう。
「あの……大丈夫、ですか?」
「あっ! はい、大丈夫です」
私はその女性の手を握り、立ち上がる。
「助けて頂き、ありがとうございました」
「いえいえ、礼には及びません。ところで、あなたはこの国に来たのは初めてですか? 私はメイメールに長らく住んでいますので、良ければ案内しますよ」
「良いんですか? ありがとうございます!」
「はい、それでは行きましょうか」
こうして、私はメイメールを案内して貰う事になった。
続きは明日! 楽しみにしていて下さい!
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