転職魔女、正体がバレる
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王宮の一室で、私は王女様に呼ばれるのを待っていた。壁に掛けられている金色の時計は、午後10時を指している。ここに来てからもう30分が経過している。
襲ってくる睡魔に必死に抵抗しながら椅子に座っていると、さっきの警官が入ってきた。
「フレーアルーン様、王女様がお呼びになられました。ついて来てください」
ふう……やっとか。私は速やかに身だしなみを整え、王女様のもとへと向かう。やがて、私は他の部屋とは明らかに装飾が違う扉の前に連れて行かれる。
警官によると、どうやらこの部屋に王女様が居るらしい。
「王女様、先程申した女性をお連れ致しました。お入りになってもよろしいでしょうか?」
「構いませんよ」
部屋の中から女性の承諾の声が聞こえ、扉の前にいる警備員は速やかにその場所を離れた。
警官は何の躊躇も無く扉を開け、部屋に入っていく。
「しっ、失礼しますっ!」
私は扉の前で挨拶してから、中に入る。部屋はとても広く、ドーム状になっている。部屋の左右にはそれぞれ10人ほどの男性が地べたでしゃがんでいる。きっと、王女様直属の家来達だろう。
そして、奥にはとても美しい女性、王女様が座っていた。豪華な椅子に座り、美しい装飾のカップを啜る姿は、切り取って額縁につけて飾りたいと直感的に思ってしまうほど、とても美しいものだった。
そして、私と王女様は目が合った。その瞬間、王女様は手に持っていたカップを落としてしまったのだ。ガシャン! という刺激的な音と、家来達の慌てる声が部屋に響く。
「すまないのですが、皆は席を外してくれませんか?」
王女様の発言に家来達はまたも慌てた声を漏らすが、頼みます、との王女様の声を聞くと、何も言わずに退室していった。
そして、部屋の中は私と王女様の2人きりに……はならなかった。
警官が、まだ部屋の中にいるのだ。警官の行動が理解出来ずに私が困惑していると、王女様が口を開いた。
「ヘレン、どういうつもりですか? 私は退席をお願いしたのですが」
ヘレンとはこの警官の名前だろう。すると、ヘレンは何故か敬礼のポーズをする。そして、ヘレンは敬礼のまま口を開いた。
「嫌です!」
きっぱりと発言し、あっさりと王女様の命令を拒否したヘレンに、私はあまりに驚いてしまい、心の中で叫び声を上げてしまう。王女様の命令を拒否するなど、処刑に値する重罪だ。しかし、何故か、王女様はそれ以上ヘレンに何も言わずにため息だけつくと、私に話しかけてきた。
「突然呼んだりして本当にすみません、名前はなんと言うのですか?」
「いえいえ、滅相もありません! 名前は、レイカ=フレーアルーンと言います」
私がそう言うと、ヘレンは何故か不気味な笑みを浮かべる。
「あなたは今、嘘をつきましたね」
「え?」
「あなたの名前はレイカ=フレーアールン、16歳で血液型はA型、好きな食べ物は新鮮な野菜。そして、職業は……魔女」
「なっ、何でそれを!?」
正体がバレてしまい、私は混乱した。
明日は休載致します。




