転職魔女、お願いをされる
魔法を使ってから1時間後、ドラゴンが目を覚ました。
雨はもう止んでおり、太陽がドラゴンの鱗を照りつけている。
「気がつきましたか?」
ドラゴンの横の椅子で野菜作りの本を読んでいた私は、立ち上がってドラゴンの元へ駆け寄る。
「あなたは……?」
「初めまして、レイカ=フレーアールンと申します。家の外に出たら、あなたが倒れていたので……」
「私はファーナ=エルドラゴンです。あなたが、噂の魔女様ですね? ここに来る途中、雷に撃たれてしまって。あ、その前に……少々お待ち下さい」
噂の魔女様か……
その発言にため息をついていると、ファーナさんの周囲に白煙が出現し、ファーナさんの赤い鱗や爪、尻尾までも無くなり、大きな体も段々と小さくなっていく。
「あのっ……ゴホゴホッ!」
どうなっているのか伺おうとしたのだが、煙のせいで上手く話せない。私は目を閉じ、辺りの煙を除けようと精一杯に腕を振る。ようやく煙がはれ、目を開ける。すると、目の前に居たのは赤い髪と眼を持った、一切の衣を纏っていない1人の少女だった。
「お願いです、力を貸してください!」
「へ? いや、あなた誰……」
「魔女様ぁどうしたのですか? って誰、この子!?」
「レイカ、何があったんですか?」
後ろからシャネルとユイちゃんの声が聞こえる。
「あなた達、何者!?」
「何者って、そっちが何者なのよ!」
「良いわよ、シャネル。やっちゃいなさい!」
見知らぬ少女とシャネルとユイちゃんの声が混ざり合ってカオス状態だ。
「と、取り敢えず服を着よっか……」
私は家に置いてあるロングコートを取りに行った。
■
「では、第1回、自己紹介会議を始めます!」
私達は家の外に置いてあった椅子に座り、円形テーブルを囲む。
「では私から! 私の名前はシャネル=リースン、この街のギルド受付をやっています」
「ユイ=ゴーストです、よろしくお願いします」
泥だらけのシャネルとユイちゃんが自己紹介を行う。何故泥だらけかと言うと、畑作業をさせていたからである。
「私はレイカ=フレーアールン。あなたは何処から来たの?」
私は赤髪の少女に問いかける。
「いや、私はファーナ=エルドラゴンなのですが……」
「え、もしかして……さっきのドラゴン? 何で人の姿に……」
「ドラゴンは、人の姿になることが出来るのです。それはそうと魔女様、助けて頂いたご恩は一生忘れません。ですが、一体これは何なのですか?」
「ファーナさんって気づかなくてごめんなさい。あの、それの事なのですが……」
それとは、『復命の鎖』の副作用の事である。副作用とは、魔法をかけられた者の体力を全回復する代わりに、その者は魔法をかけた者に一生従わなければならない、という効果であった。
魔法をかけさせたユイちゃんはその事を知っていたらしく、悪気ありありでやったようなので、罰として1人で畑作業をやって貰う事にした。しかし、ユイちゃんがどうしても1人では出来ないと言って駄々をこねるので、シャネルを呼び出して、手伝って貰っていたのだ。
「本当にすみませんでした! どうか許してください!」
たとえ助ける為だったとはいえ、酷い事をしてしまったのだ。しかも相手はドラゴン、神話に出てくる幻の生物だ(私もそうなのだが)。大きな牙で串刺しにされても可笑しくはない。
ファーナさんは少し考えると、1つの答えを出した。
「悪気は無いようなので良いですけど……1つ、お願いを聞いて貰えませんか?」
豆知識:登場人物の好きな食べ物!
レイカ・・・新鮮な野菜
シャネル・・・焼いた牛肉
ユイ・・・キャベツ太郎(お菓子)
ファーナ・・・エルソルラルコッセの生肉
明日は休載致します




