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クソジジイ(神様)と対面

目の前のジジイをにらみながら茶を荒々しく飲んでいる俺に諸君は疑問を思うだろう。何故そんなに怒っているのかと。それを理解するには少し前まで起こったことを全部説明しないといけない…


<数時間前>

いつも通りに学校から帰ってくる俺の周りに一緒に騒げる人はいなく、静かだ。なんなら少しい遠目の場所にいるカラスの鳴き声が良く聞こえる…何が悲しくてこんな学生生活を送らないといけないんだよ。そう思いながらも日が沈み始めた空を見上げたら何か黒い物体が見える。見間違いかと思い、目をこすってからもう一度見直してもその物体は確かにある、なんなら前より大きくなっている。そして、俺に向かって飛んでくる…非常に素早く…


「ってやべ!逃げねーと!!」


俺は持っていたかばんを放り捨てて必死に走った。そりゃもう息が上がって足が痛くなるほ勢いで走った…だがここで覚えていて欲しいのは俺が帰宅部であることだ。つまり学校カーストでも下の方、その上に運動能力は皆無。そんな人間にこの物体から逃れるすべはあるか?正解はない。


「嘘だろー!!??」


そう叫びながらも俺は後ろを振り向くと物体はもう目の前にあった。そのとき俺はわかった。あー…死んだな、と。そして強い衝撃と共に俺は気を失った。それからどれ程の時間が経ったのか分からない。だが、目が覚めた時は空の上だった…なんなら自分も雲の上に座っていた…まさか俺、死んだ?


「おーい、あんさん大丈夫かい?」


「人!?」


未だに状況が理解できてないが、人がいるなら好都合だ。もしかしたら夢かもしれないし、あるいは何かのテーマパークかもしれない。そのような淡い期待を持ちながら笑顔で声の主に向かって振り返る。声をかけてきた人は真っ白なローブを身にまとっていて、少し長めの白ヒゲと、杖を手に持っている。そしてそれに関しては全く問題はない…だが…


「あのー…その背中についてる羽って?」


「おーこれか?神様じゃからの、これぐらいなら好きに操れるぞ。」


うん…俺死んだな。


「それじゃ…ここって天国ですか?俺、死んじゃったんですか!?」


少し声を上げてしまったが、これくらい当たり前の反応だろう。そう思いながら続けて質問をしようと思ったが神様に止められた。


「いや、そのなんというか君の状況は少し変わっていてね…最後に覚えていることは?」


「覚えていることって、あっ!まさかあの飛んできた物!?」


「うむ、それによって君は死んでしまった。そしてその物体じゃが…その…あれ、わしのおもちゃなんじゃ。」


んっ?今このジジイなんつった?


「あのー、おもちゃですか?」


「そうじゃ、バスケットボールじゃったけな。あれを下界で見た時面白いと思ってな。買って少し遊んでいたらつい手から滑らせてしまって下界に落ちって行ったんじゃよ。」


「あー、それでそのボールがたまたま僕に当たって死んじゃったんですね。」


「そういうことじゃ、話がわかるやつで良かったわい!」


「いえいえ、それほどでもー。」


「「あっはっはっはっはっは」」


「ってなるかクソジジイ!!!」


「すまなかったー!!」


胸ぐらを掴みジジイの顔を覗き込んで叫んだ。そりゃ叫ぶわ、だってボールだよ?俺の死因ジジイが落としちゃったボールなんだよ?ジジイは泣きべそかきながら「すみません」と繰り返しているが俺の怒りはこれなんかで収まらない。


「分かった!お主が起こっているのは分かったから少しだけ話を聞いてくれ!!」


ジジイは降参の印で両手を高くあげて涙を流している。流石にここまで言われれば俺も罪悪感を感じる…一応下ろしてやるか。


「この件に関しては本当にすまなかった。だが、代わりにと言ってはなんだが君にとっていい話があるのじゃ!君ならわかるであろう?」


「まさか!?」


「そう!異世界転生じゃ!!」


「おーーーーーー!!!」


「そうじゃ!君がいつも夢みてた異世界転生じゃ!嬉しいじゃろ!?」


確かに嬉しい、少し癪だが、結果的には最高だ。


「それじゃあチートスキルとかも貰えるんだろ!?」


「あっ…いや…その…」


「…お前…まさか。」


「あっちの世界の言語は全て使える上に、何個か有用なスキルを与えるから!!」


「テメーふざけんなよ!!」


「それじゃ達者でな!」


「クソジジイーーー!!!」


またジジイの胸ぐらを掴もうとしたが、掴める前に体が透き通り始め、眩しい光に包まれた。


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